家電製品ミニレビュー

象印マホービン「コーヒーメーカー 珈琲通 EC-PA10」

~泡立ちコーヒーを1杯ずつ抽出できるカフェポッド式

象印マホービン「コーヒーメーカー 珈琲通 EC-PA10」

 これまで使ってきた自宅のコーヒーメーカーが壊れた。次のコーヒーメーカーはどれを買おうか? と考えた時に、目についたのが、象印マホービンのカフェポッド式のコーヒーメーカー「コーヒーメーカー 珈琲通 EC-PA10型」だ。

 カフェポッド式とは、約1杯分のコーヒー粉を個別包装したフィルター(カフェポッド)を本体にセットして、1杯ずつコーヒーを抽出できるコーヒーメーカーだ。カフェポッドは個別包装のため、豆が酸化しにくく、美味しいコーヒーを1杯ずつ手軽に味わえるというメリットがある。

メーカー象印マホービン
製品名コーヒーメーカー 珈琲通 EC-PA10
購入場所Amazon.co.jp
購入価格12,034円

 珈琲通 EC-PA10の本体サイズは320×165×270mm(幅×奥行き×高さ)。丸みを帯びたデザインで、一般的なコーヒーメーカーと比べて大差ないサイズだ。本体重量は3kg。消費電力はボイラー部が900W、ポンプ部が22W。本体カラーはレッドのみだ。

本体側面
本体天面の操作部
本体背面には、水タンクを搭載

 本体背面には、容量775mlの水タンクを搭載する。水タンクは半円筒型で、上部の赤いフタを外すと、水を注げる。

水タンクを外したところ
本体底面
外箱

 さっそくコーヒーを淹れてみよう。まずタンクに水を入れ、本体のふたを開けてその下の「ポッド受けセット」に、円盤状のカフェポッドを置く。

棚に設置した
ふたを開けたところ
ポッド受けセット
ポッド受けセットは、上部のポッドスペーサーと下部のポッド受けに分かれ、取り外して水洗いできる
キーコーヒーのカフェポッドを使用した

 カフェポッドは別売りで、「60mmサイズ」を使用する。この60mmサイズとは、日本カフェポッド協会の定めたレギュラーコーヒー用のカフェポッドの共通規格で、この規格に対応するカフェポッドであれば、どのメーカー、ブランドが発売しているものでも使える。

 今回はキーコーヒーの60mmタイプ「KPV-10」を購入した。1箱10個入りで、Amazon.co.jpで530円だった。

KPV-10は4種類のテイストが入っている
個別に密封されており、開けるとコーヒー豆の良い香りが広がる
カフェポッドは円盤型。1回きりの使い捨てだ
膨れている面を下に向けてセットする
ポッド受けセットに置くだけだ
しっかりフタをする

 カフェポッドをセットしたら、コンセントを挿して本体の電源を入れ、「ホット」か「アイス」か選択して、注ぎ口の下にカップを置く。そしてスタートボタンを押すと、タンクの水は抽出に最適な90℃まで沸き、約3分後、自動でコーヒーが抽出される。まずはホットコーヒーを作った。

カップを置く
スタートボタンを押すと、自動でお湯を沸かしてコーヒー1杯を抽出する
操作ボタンは最低限で、わかりやすい
電源を入れると「アイス」か「ホット」ボタンのランプが赤く点灯し、「スタートボタン」のランプが点灯する
抽出時のみ、「ブーン」という低騒音が響く

 抽出が終わると、「ピーピーピー」と音が鳴って知らせる。できあがったホットコーヒーは、深みのある香りと湯気が立ち、なによりきめ細かな泡立ちが目を惹く。抽出量は130mlで、小さめのカップ1杯分だった。

 飲んでみると、酸味が無く、すっきりしているのにコクがあって美味しい。買ってきたばかりの豆を挽いて、淹れたてを飲んだ時の味に似ている。さらに、冷めてしまっても、味が落ちにくいと感じた。温めたミルクを入れて、カフェラテにしても美味しかった。

こんなに泡が立つ
朝食のクロワッサンとも合う
カフェラテにしても美味しい!

 さらに美味しく感じられたのが、アイスコーヒーである。ホットコーヒー同様に、リッチな泡立ちも味わえるうえ、すっきりとした爽やかさとコクがある。珈琲通 EC-PA10のアイスコーヒーは、氷を入れてちょうど良い味になるよう、少量の90mlで抽出する。以前別のコーヒーメーカーを使っていた時は、ホットコーヒーに氷を入れてアイスコーヒーを作っていたので、味が薄まってしまうのが難点だったが、珈琲通 EC-PA10で淹れたアイスコーヒーは、徐々に氷が解けて薄まる前に飲み干せる量だ。

8分目まで氷を入れてグラスをセットする
アイスコーヒーを作る際は、最初に少しコーヒーが出て一旦止まり、再度抽出する。これはポッドを蒸らす時間がかかるためという
再度抽出する様子。氷を溶かしながら注がれる
抽出が完了すると「ピーピー」という音で知らせる

コーヒーにはうるさい家族も、味には大満足

今野季節にピッタリな涼しげなアイスコーヒーが完成

 我が家の母は特にコーヒーにうるさく、カフェポッド式を使うと言ったら、「所詮インスタントでしょ」と露骨に嫌な顔をされた。ところが、珈琲通 EC-PA10で淹れたホットコーヒーを一口飲むなり、「美味しい」の一言。さらにアイスコーヒーを飲むと、「特にアイスコーヒーが美味しい」と大満足していた。私も同意見で、アイスコーヒーは一般的には作るのが難しいが、珈琲通 EC-PA10ならボタンを押すだけで簡単に作れるし、味が安定しているのも良い。

 なお手入れは、水タンクや受け皿、ケース、注ぎ口、ポッド受けセットは水洗いに対応する。また、使っているうちに湯の出が悪くなってきたと感じたら、クエン酸を使って内部洗浄する。

使用後、残った水タンクの水は捨てる
受け皿には水やコーヒーが溜まるので、適宜洗浄する
注ぎ口も外して水洗いできる
一方の本体側面には、クエン酸を使った洗浄方法が記載されている

コストと入手性が課題

 味には大満足でき、コーヒーにはこだわりのある家族も納得させることができたが、気になる点が2つある。まず、コストだ。4人家族の我が家では、カフェポッドの消費が早く、10パックで530円、つまり1杯53円だと、コーヒー豆を買ってきたほうが安上がりだった。

 カフェポッドの入手性も課題だ。オンラインなら、Amazon.co.jpを始め、各所で売られているのだが、近所のスーパーや、輸入食料品店では扱っていなかった。ちょうどカフェポッドを切らしてしまい、今すぐ飲みたいという時にとても困る。結局、すぐに買いたい時は、面倒だが家電量販店のコーヒーメーカー売り場まで足を運んでいる。ただし、量販店の店頭でも、オンラインショップに比べて60mmタイプの品数が少ないので注意が必要だ。

 とはいえ、飲みたい時に淹れたてを1杯ずつ味わえるという機能と、泡立ちの美味しさは気に入った。コストや入手性を考えると、家族が多い方より1~2人の家族向けの製品。コーヒーをガブ飲みしたい方より、少量で美味しく味わいたい方にオススメだ。また、自分の飲みたいタイミングで1杯淹れたい方や、必要な分だけ淹れたい少人数世帯の方、手軽に泡立ちコーヒーの美味しさを味わいたい方に向いているだろう。

小林 樹