家電製品ミニレビュー
シャープ「ヘルシオ ジュースプレッソ EJ-CP10B」
~使いやすさに感動しっぱなし! 音も栄養の流出も抑えられるスロージューサー
by すずまり(2013/5/27 00:00)
人気の初代発売から、1年を待たずしてバージョンアップ
元来面倒くさがりなため、「最小限の調理で、最大限の栄養を」をモットーにしている筆者は、野菜や果物から、新鮮な栄養がストレートに取れるジューサーの愛用者である。しかし、従来型の遠心分離タイプのジューサーは、動作音の大きさと、フィルタに詰まった絞りかすの除去が大変で、利用頻度が下がってきてしまった。
そこへ現れたのが、去年発売された、シャープのスロージューサー「ジュースプレッソ EJ-CP10A」(以下、EJ-CP10A)である。実は、2010年にご紹介した、ゼンケンの「vikura マルチクッカー」で、低速で絞ったフレッシュジュースのおいしさを経験済みだった筆者。場所も取らないコンパクトタイプの「EJ-CP10A」を見て、乗り換えようかとサイフと相談しているうちに品切れ状態に! 筆者と同じく、できるだけシンプルな形で野菜不足を補いたいと考えていた方が多かったようだ。
いつしか時が流れ……新バージョンの「ヘルシオジュースプレッソ EJ-CP10B-W」(以下、EJ-CP10B)が、名前も新たにヘルシオブランドで登場。1年を待たずしての新バージョンに、思わず飛びついてしまったというわけである。
メーカー名 | シャープ |
---|---|
製品名 | ヘルシオ ジュースプレッソ EJ-CP10B |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 25,998円 |
「EJ-CP10B」は、EJ-CP10Aの後継機種で、「低速圧縮絞り方式」を採用したジューサーである。1分間に32回転という低速のスクリューが、野菜や果物などの食材を押しつぶし、じっくり搾汁できるという製品だ。サイズは150×194×435mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約4.8kg。本体、フタ、スクリュー、タンクのほかに、プッシャー、ジュースカップ2個、ジュースキャップ、清掃用ブラシ、メニュー集が付属する。
使い方は極めて簡単で、本体をセットし、投入口に入るサイズにカットした食材を入れて、電源スイッチの「スタート」ボタンを押すだけだ。水分を多く含んだ野菜や果物なら、大抵の場合、プッシャーを使わなくても、放り込むだけでどんどん絞られ、絞りかすはタンクの「絞りかす排出口」から、ジュースは「ジュース注ぎ口」から別々に出てくる。乾燥した食材や桃の種など非常に固い食材は扱えないが、水に浸した大豆やバナナなどは、水分と一緒なら扱える。
スロージューサーのメリットは多い
じっくり搾汁するメリットは3つある。1つは動作音がかなり抑えられること。おなじみの高速遠心分離方式のジューサーは、1分間に10,000回転しながら、円盤状のおろし金で食材を細かく切り刻み、フィルターでろ過する。モーター音の大きさもさることながら、食材を刻む瞬間の、チェーンソーのような音もかなり響く。それらが相まって、利用環境やタイミングを相当気にしてしまうのである。
2つめは、高速遠心分離方式に比べ、栄養素が残りやすいこと。高速回転では、刻んだ食材を猛烈なスピードで空気に触れさせるため、ビタミンCやポリフェノールがほとんど壊れてしまうのだという。「低速圧縮絞り方式」なら、栄養素が十分に溶け出して、より摂取しやすいらしい。EJ-CP10Bの場合、整調作用のある「ペクチン」は約2倍、貧血予防効果があり、特に妊娠中の女性に欠かせない「葉酸」は約17%、残存量が増えるのだという。また、ポリフェノールやビタミンCが多く残りやすいことも実証されているそうだ。
3つめは、手入れのしやすさだ。高速遠心分離方式では、パーツにおろし金のような部分があり、洗浄時に怪我をするケースも見られる。実際、筆者の知人は、ウッカリ指を切ってから、怖くて使わなくなったという。また、絞りかすが非常に細かくなるため、フィルターの目詰まりも多い。目詰まりが早いということは、絞れる量に限界があることを意味する。また、詰まった絞りかすの除去に、ブラシで隅々まで丁寧にこすらなくてはならないため、洗浄の時間もかかる。
この点、押しつぶす「低速圧縮絞り方式」は、絞りかすが都度排出されるため目詰まりしにくく、水でサッと流せばほとんどが落ちるなど、洗浄もしやすいのが特徴だ。「EJ-CP10B」のジュースキャップは200℃、ジュースカップ125℃、清掃用ブラシ95℃、フタ95℃、スクリュー200℃、タンク125℃と耐熱温度も高く、プッシャー以外は食器洗い乾燥機が使える。
「フィルター 一体型スクリュー」の採用で、より扱いやすく、簡単になった!
初代の「EJ-CP10A」との変更点を見てみよう。デザイン的には、ボディにくびれができているほか、ジュースカップが2個に増え、使用後の液だれを防止するジュースキャップも用意された。
回転数は1分間に32回転で、性能としては変化はしていない。しかし、タンク内のパーツが「フィルター 一体型スクリュー」に改良され、非常にシンプルになった。「EJ-CP10A」では、タンク部分にタンククリーナーと、フィルター、スクリューの3点をセットしなくてはならかなった。当然使用後の洗浄パーツも増えるわけだし、組み立ての手間も生じる。しかし、新しいヘルシオジュースプレッソ「EJ-CP10B」は、タンクに新型のスクリューを入れるだけという簡単仕様になったのだ。
「フィルター 一体型スクリュー」は、EJ-CP10Aとは違うメーカーの特許技術を新たに採用しており、上部がスクリューになっており、下半分がフィルタになっている。投入された食材は、上部のスクリューですりつぶされ、タンクの側面とフィルタの間を、ゆっくり下に移動しながら絞られるという仕組みだ。絞られたジュースはフィルターを通して内側に流れ、「ジュース注ぎ口」から排出されるため、フィルター内部にかすはほとんど残らない。
残った絞りかすも、タンクからスクリューを抜き取るだけですぐ洗浄できる。付属のブラシも小回りが利くため、わずかに残ったかすも、付属のブラシを使えば簡単に落とせるのだ。
性能はそのままに、より使いやすくなったのが「EJ-CP10B」というわけだ。ではどんなジュースが絞れるのか、実際に見てみよう。
定番のにんじんりんごジュースで使用感をチェック
最初はおなじみのにんじんりんごジュースで試そう。にんじん1本とりんご1個を適当なサイズにカットし、フタの上の投入口から入れていく。材料を入れるだけで、搾汁はどんどん進み、200ml以上のジュースができた。途中で搾り切れない破片が生じたが、一度電源スイッチを切って、反対側を押し、しばらく逆回転させることで解消。できたジュースは、あまり空気を含んでいないせいか、口当たりが澄んだ感じがした。
タンクの側面には絞りかすが残ったが、スクリューを外してみると、付着しているかすはごくわずか。しかも内側にはほとんどついていない。これはうれしい。ジュースカップに排出された絞りかすは、少々粒感はあるものの、かなり絞られている。
葉物はどうか? りんごと小松菜のジュースを試す
にんじんやりんごのように、水分が多い食材だけなら扱いは簡単。一方、葉物野菜を扱う場合は、別途水分を与える必要がある。そこで、小松菜約100gに、りんご1/2個でジュースを作ってみた。
まず先に小松菜だけ入れてみたところ、案の定なかなか絞れなかった。水分が足りないのと、繊維が強いせいか、詰まってしまい、絞りかすの排出も難しい状態になってしまった。そこでりんごを追加投入してみると、徐々に絞りかすも排出され始めた。やはり、葉物を扱う場合は、あらかじめ適度なサイズに刻んだ上で、液体と一緒にするか、水分の多い他の食材と交互に入れるほうがいいようだ。
肝心の味だが、多少青臭さはあったものの、苦みやえぐみなどはなく、そのまま飲める。鉄分補給によさそうだ。栄養的にはにんじんもプラスしたいところだが、緑のジュースにオレンジをプラスすると、飲む意欲を失う色になってしまう。フレッシュジュースは、仕上がりの色も大事なのだ。
半固形物はどうなる? バナナのジュースを試す
取扱説明書には、対象食材としてバナナもあがっている。しかし、バナナの水分というのはなかなか想像しにくい。そこでバナナ1本と牛乳で試してみた。
まずはバナナだけを入れてみたところ、そのままペースト状になって排出されるだけであった。見事なほどなめらかなペースト状だが、液体はでてこない。そこで牛乳を200cc入れたところ、ジュース排出口から、牛乳入りのバナナがでてきた。“バナナから絞る”というのはかなり無理がありそうだが、ペースト状にしながら飲み物を作る、と考えればありかもしれない。飲み物としては、天然の甘さもあって、おいしいドリンクといえる。腹持ちもよさそうだ。
生姜の絞り汁は、すりおろし不要で楽だった!
そのまま飲めるわけではないが、あると便利なのが生姜の絞り汁だ。これまではせっせとおろし金でおろしてから絞るしかなかったのだが、「EJ-CP10B」があれば簡単だと判明。生姜2個(約96g)を刻んで入れてみたところ、あれよあれよという間に、約50mlの絞り汁がとれた。調子にのって、手元の生姜をすべて入れたところ、約200mlもの生姜の絞り汁が手に入った。
200mlも生姜の絞り汁を作ってどうするのか、と思うかもしれないが、製氷皿に入れ、冷凍しておけば、必要なときに1個(一杯分)ずつ使えるのである。寒い季節なら、蜂蜜とお湯で割って飲むとおいしいのだ。個人的には、喉からくる風邪のひきはじめなどに効果的だと感じており、以前から愛飲しているが、暑い季節なら、炭酸水に氷と一緒に入れるのがおすすめ。徐々に溶けて、ジンジャーエール風のドリンクに早変わりなのだ。糖分が気になる方でも、これなら甘くないドリンクが簡単に楽しめる。
なお、できた生姜の絞りかすは、おろし生姜として食卓に出すにはちょっとどうかな、という仕上がり。ただ、カレーなどの煮込み料理や、臭みとりには使えるので、やはり小分けして冷凍しておくと便利だ。
絞りかすは、工夫次第でいろんな食べ方ができる
材料によっては、水分補給が必要など、多少の配慮はいるものの、基本的には放り込むだけで、簡単に使える。ジュース作りが習慣化すると、悩みの種になるのが大量に排出される絞りかすだ。しかし、アレンジ次第でかなり食べられるのである。
たとえば、トマトジュースを作ったあとの絞りかすは、塩、砂糖、すり下ろしたニンニク、乾燥ハーブ、胡椒、オリーブオイルを混ぜればトマトソースに早変わりする。これをオーブントースターで焼いたフランスパンに乗せれば、ブルスケッタのできあがり。クラッカーにチーズとともにのせれば、立派なおつまみにもなる。
煮豆の絞りかす、つまり豆乳のおからの利用法として、レシピ集には「大豆バー」が紹介されている。しかし、焼くのが面倒なときは、マヨネーズ、塩、胡椒、ガーリックパウダー、ドライパセリを加えてよく混ぜてみよう。これだけでサラダとしても、パテとしても食べられる一品に早変わり。卵焼きに加えて、ボリュームを出してもいい。
絞りかすが少量なら、ホットケーキミックスに混ぜて焼くという手もある。以前ご紹介したスマイルベイカーを使って、にんじんりんごジュースの絞りかすを、ベーコンとともに焼いたところ、特に味にクセはなく、断面に人参の鮮やかなオレンジ色が加わって、彩りのよいパンケーキができた。パンケーキだけで食べると、どうしても糖質過剰になりがちだが、絞りかすを入れれば、繊維質と潰し切れていない食材の栄養がプラスされる。
また、ジュースの絞りかすは、小分けにして冷凍しておけば、スープやカレーのベースとしても使える。たとえば、ある日は、にんじん、りんご、セロリなどの絞りかすと、玉ねぎ、挽肉、トマト缶、コンソメスープ、クミン、コリアンダー、ガラムマサラ、唐辛子、バターを使って、キーマカレー風のカレーを作ってみた。にんじんとりんごの甘みが生きて、なかなかおいしくできた。
カレーやスープに使えば、まとまった量が消費できる。繊維質が豊富なので、うまく活用すれば、ダイエットメニューにもなる。これを作ってからは、絞りかすを捨てるのはもったいないと思うようになった。
おいしく野菜不足を解消したい方には、間違いなくおすすめ!
気になる点があるとすれば、本体とタンクが分離しやすく、持ち運びがしにくいことだ。くびれた分、手が滑りやすくなっているようなのだ。正しい持ち方のガイドはあるが、移動させるときのために、指をかける部分が欲しい。
しかし、不満はそれくらいで、購入してから今日まで使ってみて、おいしさと、扱いやすさに感動中である。初代より音が抑えられているし、扱いは極めて簡単。今回ご紹介した使用例以外にも、スープ作りや豆腐、おしるこ作りにも活用できるので、1年を通じて活躍できるところも魅力である。
健康意識は高まっているが、どうしても食生活を改善しにくい、外食メインで野菜不足が心配、という方は、「EJ-CP10B」のフレッシュジュースから改善を始めてみてはいかがだろうか。