家電製品ミニレビュー

アイリスオーヤマ「efeel 強力ハイブリッド加湿器 KHH-800」

~サーキュレーターの力でミストを拡散。パワフルな超音波式加湿器

アイリスオーヤマ「efeel 強力ハイブリッド加湿器 KHH-800」

 このところとにかく寒い日が続くが、それに併せて空気の乾燥も厳しい。加湿器を付けずに眠ると、翌日は喉がカラカラに乾き、体の調子もおかしくなることが多い。加湿器は、エアコンなど暖房器具と併せて、冬の必需品になりつつある。

 というわけで、今年も何か加湿器を使いたいと考えていたのだが、数ある製品の中からアイリスオーヤマの「efeel(イーフィール) 強力ハイブリッド加湿器 KHH-800」を選んだ。

 この加湿器、普通の加湿器と比べるととても個性的。加湿方式は、ヒーターで温めた水を超音波振動でミスト化する「超音波 + ヒーター」のハイブリッド式なのだが、このミストを本体に内蔵のサーキュレーターで部屋に広げる点が特徴。製品名で“強力”と謳っているが、それはこのサーキュレーター機能のことを指している。

 大阪に家電事業の開発事業部を開設するなど、このところ家電に力を入れているアイリスオーヤマの製品を使ってみたいという興味本位もあり、ネット通販にて購入してみた。イオン機能が付いた「KHH-800Z」という機種もあったが、イオンがないKHH-800の方が2,000円ほど安かった。

メーカーアイリスオーヤマ
製品名efeel 強力ハイブリッド加湿器 KHH-800
購入場所yodobashi.com
価格オープンプライス
購入価格14,800円

確かな加湿能力。ミストをサーキュレーターで吹き上げるため本体の周りも濡れない

 本体サイズは420×220×390mm(幅×奥行き×高さ)と、コンパクトではないものの大きすぎもしない、加湿器としてはよくあるサイズだ。カラーはホワイトで、本体正面から向かって右側に水タンク、左側に空気の吹き出し口がある。

 吹き出し口の中には、本製品の特徴である、サーキュレーターのような大き目の羽根が内蔵されているのが確認できる。適用床面積は最大21畳、1時間当たりの加湿量も750mlと、超音波式にしては非常に高いスペックを備えているが、恐らくこのサーキュレーターによる強力な吹き出しに拠る部分が大きいのだろう。

本体サイズは420×220×390mm(幅×奥行き×高さ)。加湿器としてはよくあるサイズ
裏側。写真右側のメッシュ部から空気を吸い込む
1時間当たりの加湿能力は750ml。適用床面積は最大21畳までと、超音波式としてはハイスペック
本体左側に備えられているサーキュレーター部。中には羽根が見える。分解はできない

 使い方は、普通の加湿器と何ら変わらず、タンクに水を入れて電源ボタンを押すだけ。タンクは4Lと容量が大きい。本体内には、水に含まれるミネラル分による白い粉の発生を防ぐための「イオン交換樹脂カートリッジ」というフィルターが用意されている。

 電源を入れると、ブオーという低い運転音とともにサーキュレーターが回転し、その脇にある横向きの吹き出し口から、白いミストがモクモクと断続的に発生する。サーキュレーターとミストの吹き出し口は別々で、ミストをサーキュレーターの風で勢い良く部屋の上方へ飛ばす、というのが基本的な仕様だ。

タンクの容量は4L
ちなみに持ち手部分はタンク上部にある
超音波式にありがちな白い粉(水に含まれるミネラル分)の発生を防ぐ「イオン交換樹脂カートリッジ」
本体内部のようす。イオン交換樹脂カートリッジはここにセットする。その左隣りは、超音波振動部
ミストはサーキュレーターの隣にある小さな吹き出し口から出る。ここから出てきたミストをサーキュレーターで強力に飛ばすというのが基本的な構造だ
運転中のようす。ミストは白くて見えづらいが、ミストの影が本体上部に飛んでいるのが確認できる。ミストは断続的に発生する

 サーキュレーターの勢いは強く、発生した白いミストはキレイに部屋の上部に舞い上がって行く。よくある安い超音波式加湿器は、ミストが本体の周りにしか届かず、本体の周囲が水滴だらけになってしまうことがあったりするが、本製品はまったくそんなことはなかった。白い粉も今のところほとんど発生していない。

 効果もしっかりあった。今回は狭めの8畳の部屋で使ったが、使い始めから30分も経たないうちに、40%台から50%台に回復。1時間後には55%前後に落ち着いた。この頃になると、空気の乾燥はまったく感じられず、室内はとても快適だ。超音波式加湿器は加湿力が非力な印象を勝手に抱いていたが、本製品はかなりパワフルだ。また、温風を使っていることもあって、室温の低下も特に見られなかった。

 サーキュレーターということで風切り音がうるさいのではと懸念していたが、運転音は普通の加湿器と変わらない印象。特にうるさいということはなかった。

会社から帰宅後、本製品で加湿してみると、1時間で湿度は9%上昇した。室温も落ちていない(エアコンは使用していない)
翌日も使ってみたが、湿度は55%まで回復した。この日はエアコンを使用した

湿度センサーも搭載。ウイルスの危険を知らせるモニターも

 本製品にはいくつか運転モードがあり、湿度を55~60%に保つ「おまかせ」と、65%にする「うるおい」、加湿量を50%に抑えて静かに運転する「静音」の3つが用意されている。いずれも、操作ボタンの左隣にある湿度のインジケーター「湿度目安ランプ」に合わせて運転することになる。

 もう1つ、「温湿度ナビランプ」というインジケーターも用意されている。これはウイルスの活動を抑えるための指標のようなもので、部屋の絶対湿度が7g/立方m以下の場合に、赤いランプで「低温・低湿度」を警告し、7~11g/立方m以下の場合には黄色ランプで「注意」を知らせるというもの。11g/立方m以上の場合は、緑ランプで「ほぼ適正」となる。

 このランプは運転モードには一切影響されないため、オプション色の強い機能だが、あって困る機能ではないので、たまに“赤ランプになっていないか”くらいに見るのが良いだろう。ちなみに、このランプをOFFにもできる。

操作パネル。電源ボタンは一番右にある
ウイルスが活動する危険性を知らせる「温湿度ナビランプ」。基本的に運転とは連動しないためオプション色が強いが、写真のような赤ランプにならないように気をつけよう

 このほか、2/4時間のオフタイマーも備える。オンタイマーはない。

 手入れについては、1週間に1度の吸気フィルターの掃除と、2週間に1度の本体内拭き掃除が指示されている。面白いのがイオン交換樹脂カートリッジで、効果が落ちた場合は、食塩水に浸すことで繰り返して使えるらしい。

背面パネルに挟んでいるたけの非常にシンプルな吸気フィルター。掃除は1週間に1度
イオン交換樹脂カートリッジは、濃度12%の食塩水に8時間以上浸すことで、能力が回復できるらしい

水交換時の水滴とチョロチョロ音が気になる

 1カ月ほど使っていて、基本的な加湿能力には満足しているが、若干不便に思えるところもいくつか出てきた。

タンクの裏側、円筒状の部分に水滴が付いており、水交換の度に拭くのが面倒くさい

 まずは、タンクに水滴がつきやすいところだ。タンクを本体から取り外すと、タンク底面の円筒状の部分に水滴が付いており、床に水を垂らしてしまうことが多い。この円筒状の部分は、本体の超音波振動のプール内に浸っているため、ほとんどの場合で濡れている。そのため、本体脇に布巾を置いて毎回拭くハメになっている。これはちょっと面倒くさい。

 もう1つが、本体から「チョロチョロ」という水の音がするところ。タンクから本体へ水を送っている音のようだが、これが水道の栓を締め忘れて、チョロチョロと水が流れている時の音にそっくり。寝ている時に「あれ、キッチンの水止め忘れたかな」と思ってしまうことが何度かあった。「静音」モードにすればこの音は抑えられるが、一方で通常運転よりも加湿量が減るというデメリットもある。何とも痛し痒しだ。

 また、連続運転がない点も若干気になったが、これについては納得している。どうも本製品は、本体の湿度インジケーターが「湿度70%」を超えると加湿運転がストップするようで、リビングに置いた湿度計が湿度50%台でも、本体が70%台と判断して加湿がストップすることが度々ある。“もうちょっと加湿して欲しい”とも思うが、逆にムダな加湿が抑えられることで、結露の発生を抑制し、水の交換の頻度も抑えられるというメリットもある。

 ちなみに、本体を部屋の隅に置くと、本体の湿度インジケーターが無駄に高く表示されるようなので、説明書の指示通り、壁から数十cm離れた位置に設置しておきたい。

 いろいろ不満を言ったものの、基本的には確かな加湿能力を持った加湿器だ。使用前は超音波式ということで不安を抱いていたが、サーキュレーターや樹脂カートリッジを備えるなど、デメリットを回避するための工夫が見て取れる。家電に力を入れ始めたアイリスオーヤマらしい意欲的な製品だ。消費電力が約144Wと低めなので、省エネ性を求める方に特にお勧めしたい。

正藤 慶一