家電製品ミニレビュー

フカイ工業「ミニ卓上 ちょい焼きくん FCM-350」

~卓上でアツアツを味わえる、コンパクトな電気ロースター
by 但見 裕子
フカイ工業「ミニ卓上 ちょい焼きくん FCM-350」

 熱いものは熱いうちに食べるのがおいしい。できたての料理は、すぐお皿に盛って、食卓に出すのが一番だ。特に、鍋ものや鉄板焼きのような、卓上で熱を通す料理は、アツアツのまま口に運べるのがいい。ただし、1人や2人の食卓には、通常サイズのコンロだと少し大げさで、そぐわないことがある。

 今回紹介するフカイ工業の「ミニ卓上 ちょい焼きくん FCM-350(以下、ちょい焼きくん)」は、卓上でちょっとしたものを焼いて食べるのにはピッタリの、コンパクトサイズの電気ロースターだ。

 


メーカーフカイ工業
製品名ミニ卓上 ちょい焼きくん FCM-350
希望小売価格5,250円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,279円

 ちょい焼きくんの本体サイズは、255×225×110㎜(幅×奥行×高さ)で、重量は約1,05kg。片手で持てるほどのコンパクトなので、大げさ感が少なく、卓上に置いて使えるサイズだ。コードの長さは130cm。消費電力は600Wなので、ヘビー・クッキングに使うよりも、おつまみやちょっとしたおかずを焼くのに適していると言えるだろう。

 本体には、「焼き網」と、水を入れて下に置く「専用受け皿」が同梱されており、ヒーターの上に焼き網をかけて使用する。焼き網を支える位置は上下二段に調節でき、高い位置だとじっくり目に焼け、低い方の位置だとヒーターにより近く、高温で焼くことができる。使用するのは電源ボタン1つだけで、シンプルなつくりだ。

パッケージ左から本体、受け皿、焼き網スイッチはON/OFFの1カ所のみ。右下の小さなハンドルで網の高さを調節する

ソーセージは、油で炒めずにジューシーな味わい

 さっそく使ってみよう。焼き網を本体にセットし、受け皿に水を入れて下にセットする。水を入れておくことで、食品から油が落ちてもこびりつかず、きれいに使える。ガス台のグリルに水を入れるのと同じだ。スイッチを入れると、最初黒かったヒーター部が、だんだん赤くなってくる。電気なのでガスに比べて立ち上がりはやや遅い。手のひらをかざしてみて「熱い」という状態になるまで5分ほどかかった。

電源を入れると、黒いヒーター部が次第に赤くなってくる暗くした状態で見るとこんな感じ
ソーセージを焼く。熱がまわると油がしみ出しておいしそうだ

 まずはソーセージを焼いてみよう。とりあえず早く焼きたいので、焼き網の位置は低めに合わせた。袋から出したソーセージをそのまま網にのせて、ときおり転がしながら焼く。数分で「ジュッ」「チリッ」と音がしはじめて、焦げ目がついてきた。

 皮が割れて油がしみ出す感じになったところで、口に運ぶ。熱いので、ハフハフとしながら食べる。油で炒めていないにもかかわらずジューシーな味わいだ。ビールにぴったりだし、これに辛子醤油などつければ、ごはんのおかずにもなりそうだ。

さつま揚げ、ちくわを焼く

 次に、さつま揚げを焼いた。買ってきてそのままでも食べられるが、焼いて温めると、また別の風味が出る。焼き目の様子を見つつ、箸で返しながら焼く。「ちょっとこれは焦げ気味だから、はじっこに置いて、まだあまり焼けてないのをまん中に……」などと考えながら焼き上がりを待っているのも、なかなか面白い。好みの加減まで焼けたらできあがりだ。かじってみると、冷たくなっていたさつま揚げがフレッシュによみがえった感じがする。いい匂いでおいしい。

 そして、ショルダーベーコン。これも冷たいままでも食べられるものだが、あぶってちょっと焦がし、脂がしみ出した状態で口に運ぶと、おいしさがひとしおである。おかずとしてもおつまみとしても食卓に出せるので、おすすめだ。

ショルダーベーコンちょっと焦がすとおいしい

 さらに、油揚げ。何度かひっくり返して、表面をカリカリに焼く。ほどよい焦げ色になったら、皿に取り、醤油をかける。これも簡単においしく焼きあがった。ただし、油揚げはスーパーで安く売っているような薄手のもののほうがよりおいしく焼けた。上等な厚いものだと、片面がカリカリに焼くまでに時間がかかるので、一方を焼いているともう一方の面が冷めてきてしまうのだ。

あぶらげを焼く。上等の厚手なあぶらげより、薄いもののほうがいいようだ醤油をかけ、ネギを添えて食べるとおいしい市販のチルド餃子を焼いてみたが、これは残念な味だった

 この後、試しにチルドの餃子を焼いてみたのだが、こちらはうまくいかなかった。一応火は通るものの、本来、フライパンで油をひいて蒸し焼きにするものなので、餃子ならではの「アツアツのモチモチ」という感じが出せなかった。

乾き物のおつまみにもピッタリ

 今度はおつまみ系として、コンビニで売っている焼きするめ、うるめいわしを焼いてみた。どちらも、そのままでも食べられるが、ちょっとあぶって食べればよりおいしいはずだ。

 するめは、軽くあぶるって温めたところ、独特の香ばしい匂いがした。口に入れると、冷たい状態より柔らかくて、食べやすい。マヨネーズが合う。焼きすぎると固くなるので、一度にたくさん焼き網にのせるのではなく、ちょっとずつ乗せながら楽しむのがいいと思う。うるめいわしも、軽くあぶるくらいで、ほどよいしょっぱさと香りが立って、いいおつまみになる。

焼きするめ。あぶる程度でおいしくなるマヨネーズが合ううるめいわし。香りが立っていいおつまみに

 手入れはどうかというと、網と受け皿は普通に洗えるが、本体は洗えない。もしも油が飛んだりして本体が汚れたら、フキンなどで拭くことが推奨されている。とはいっても、使ってみた範囲では汚れが気になるようなことはなかった。取り扱い時に気をつけたいのは、片づける際に、急に動かすと受け皿の中の水がこぼれてしまうことがある。使用後すぐだと熱いので、ちょっとさめてから、受け皿をそっと出すといいだろう。

食材をじっくり見ながら焼く楽しさ

 ちょい焼きくんが得意なのはショルダーベーコンやあぶらげ、さつま揚げなど、薄手でちょっとあぶるのがちょうどいい食材だ。一方で苦手なのは、不得手なのは餃子や厚揚げなどの厚くてしっかりした食材である。食材を網の上でちょこちょことひっくり返したり、場所を入れかえたりと、食材をじっくり見ながら焼いて楽しむ製品なので、調理の手間を「面倒くさい」と捉える人より、「遊びながら食べるのが面白い」と捉える人に向いているだろう。

 限定された能力ではあるものの、「調理をする」のではなく「つまみをあぶる」気持ちで使うのなら、充分能力のある製品だ。使用法が簡単で、基本的に安全なのもいい。食卓に火があると、顔のまわりが温かくて、あったかい雰囲気も出る。「ちょい焼きくん」でお手軽に、卓上のあぶりものを試してみてはいかがだろうか。





2011年3月8日 00:00