家電製品ミニレビュー

三洋電機「加湿空気清浄機 ミストリーム ABC-VWK71C」前編

~ハイパワーでLDK向き! ウイルスウォッシャー搭載機
Reported by 小林 樹

三洋電機「加湿空気清浄機 ミストリーム ABC-VWK71C」

 今回紹介する三洋電機の「加湿空気清浄機 ミストリーム ABC-VWK71C」(以下、ミストリーム)は、加湿しながら空気を清浄にしてくれる空気清浄機だ。わが家では特に冬場の乾燥がひどいので、この加湿と清浄の2つの機能を兼ね備えている空気清浄機を選んだ。

 




メーカー三洋電機
製品名加湿空気清浄機 ABC-VWK71C
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格42,100円

 ミストリームのウリは2つある。1つは、なんといっても空気清浄の適用床面積が約33畳程度まで(54平方メートル)と広いこと。適用床面積は、先行機種では14畳程度だったが、ミストリームでは一気に倍以上に拡大。LDKのような一つの空間が広い間取りにも十分に対応できるようになったという。これだけパワーがあれば、木造2階建て、築約30年、隙間風で通気性がすこぶる良い我が家なら、かなりの効果を発揮してくれるんじゃないかと、期待が高まる。

 もう1つは、脱臭、清浄のスピートが、従来品の約1.5倍のスピードになったことだ。これは、「デュアル空間清浄システム」という機能が搭載されているからである。「デュアル空間清浄システム」とは、空気中にミスト状に放出される「除菌電解ミスト」と、部屋の空気を取り込んできれいにする「除菌電解エレメント」という2つの空気清浄機能を同時に行なうしくみのことだ。

 要するに、空気中に直接除菌機能のあるミストを放出させながら、部屋の空気を吸い込んできれいにして吐き出しているので、従来よりも素早く空気をきれいにすることが可能になったのだ。広範囲に向けてパワフルに、素早く機能できるのが、ミストリームの長所なのである。

 次に、ミストリームの加湿機能と清浄機能について確認しておこう。この加湿と清浄の機能は、先行機種から引き続き採用されている。

 ミストリームの加湿機能は、フィルター気化式で行なわれる。フィルター気化式とは水を吸い上げたフィルターにファンで風を当てて、加湿する方式だ。

 空気清浄機能としては、三洋独自のウイルスウォッシャー機能を搭載している。ウイルスウォッシャー機能とは、水道水を直接電気分解してOHラジカルや次亜塩素酸を発生させ、脱臭や、空気中に漂うウイルス/菌の抑制に効果を発揮する電解水技術のことだ。2009年に、「新型インフルエンザに対して抑制効果がある」と世界で初めて発表し、注目を集めた。

適用範囲が広いぶん、設置場所がポイント

 さっそく、本体を1階のダイニングキッチンの隅に設置した。なぜ今回はダイニングキッチンに置いたのかというと、いつも乾燥気味ということもあるが、家族4人が過ごすので、色々な生活臭が発生するからだ。調理や食事をするのはもちろん、タバコを吸ったりテレビを見たり、髪を乾かしたり、本を読んだり……暖房が効いてて暖かいダイニングキッチンは、冬場は皆が集い、必然的に滞在時間が長くなる。一応、扉1つ隔てて隣にリビングがあるが、この部屋は父の趣味の部屋で、名ばかりリビングになってしまっている。

 大の大人が4人もいると、生活時間帯もバラバラで、食事中に近くで煙草を吸われたり、髪を乾かす時のヘアケア剤の臭いがキツかったりして、小競り合いがあとをたたない。ミストリームの、スピーディーな脱臭&清浄機能は、この部屋にピッタリだと思ったのだ。

 本体は想像した以上にデカい。サイズは、398×308×600mm(幅×奥行き×高さ)で、本体重量は水タンクが空の状態でも12kgある。水タンク容量は4Lなので、給水後に本体を動かすのは重くて厳しそうだ。まぁ33畳まで効果があるというのだから、それなりの大きさは覚悟の上だ。真上から見ると、正方形に近いような形をしている。

 本体の前面のパネルを外すと、黒い「脱臭フィルター」と、その奥に白い「集じんフィルター」が現れる。集じんフィルターはホコリを捉え、脱臭フィルターはニオイや花粉、ダニなどに効果があるものだ。この2つは取り外して手入れでき、10年間交換不要という。

本体横。給水タンクのあるほうだ操作パネル。シンプルでわかりやすい
本体前面のカバーを外したところ。カバーは軽く、簡単に取り外せる黒い脱臭フィルターと、白い集じんフィルターが層になっている

 本体は、操作パネル以外の部分は無地に近く、部屋の隅に置いていても悪目立ちせず、シンプルな印象を受ける。今回使用した製品のカラーはシャンパンゴールドだ。他に、メタリックブラウンもある。

 使うにはまず、本体横に付属する水タンクを取り外し、満水まで水道水を注ぐ。タンクの容量は4Lで、たっぷりしていて重い。すぐになくなってしまう量ではないけれども、なるべくなら水道の近くに設置した方が楽に給水できるだろう。

本体横に給水タンクがある給水タンクを取り出す本体から外したところ
給水タンクは、約450mmほどの高さがある。水道で給水すると、流しにつっかえそうになった給水口は広口で、直径約90mmほど

 給水タンクの高さは約450mmほどあるため、水道で水を注ぐにはややかさばる。ただ、給水口が広くて使いやすい点と、タンクの容量が大きくて、いちいち水汲みに行く手間がかからない点はありがたい。

給水→電源入だけ。面倒な設定もなく運転開始

 タンクに給水したら、本体にセットして、本体上部の操作パネルにある、運転入/切ボタンを押す。

 操作パネルには、運転入/切ボタンのほか、加湿清浄/空気清浄を選べる運転切換ボタン、急速/標準/静音/おまかせ自動の4つから風量を選べる風量ボタンなどがあり、現在の湿度の目安や、給水が必要かどうかもひと目でわかるようになっている。

 最初に使用する際には「おまかせ自動」に設定されている。おまかせ自動モードでは、ニオイ、ほこり、温湿度、光の4つのセンサーによって、風向きや風量、加湿具合を自動的に調整している。難しい設定は一切いらずに、電源をいれれば勝手に動きだすので、難しい設定は特にいらず、すぐに使い始めることができる。

電源ボタンは右から2番目にある「おまかせ自動」モードと「加湿空気清浄」の緑のランプが点灯ルーバーが開いたところ

 運転を開始すると、部屋の温湿度計で徐々に湿度があがっていくのが確認できる。以下の画像をご覧いただきたい。普段のダイニングキッチンは乾燥気味で、ミストリームの電源を入れる前は湿度37%。温湿度計に表示されるアイコンマークも困り顔をしていたのだが、ミストリームの電源を入れてものの3、4分程度で、部屋の湿度が45%まで上昇している。操作パネルの湿度表示も、快適の目安といわれる50%程度のところでとまった。アイコンも笑顔になっている。加湿機能はしっかり機能しているといえよう。

普段のダイニングキッチンの温湿度。乾燥気味でアイコンマークが困り顔ミストリームを運転中の室内。湿度が高まり、アイコンが笑顔になったのがおわかりになるだろうか

 では、空気清浄機能はどうだろうか。ある日の朝、本体を運転させながら、横のレンジでピザパンを焼いていたところ、部屋に煙くささが充満していないことに気づいた。

 いつもなら、朝、食べ物ニオイがすると「今朝はピザパンを焼べたの? 」と起きてくる家族も、全然起きてこない。あとからと今朝はピザパンを食べたんだね、と言われることもなかったので、本当に誰もにおいに気づかずに寝たままだったのようだ。

 普段、1階の調理臭は2階まで立ちのぼってしまうものなのだが、本製品を運転したままにしていたところ、二階の階段を登っても煙臭さを感じないので、これが空気清浄の効果なのか、と実感した。

 ちなみに、本体を動作中、ひとつ気になったのが、パネル左側の穴から噴き出しているミスト状のものだ。気化式の加湿方式なのにどうして蒸気が出てくるのだろう…と不思議に思い、説明書を確認すると、なるほど、これが空気中に直接飛び出て空気をきれいにする「除菌電解ミスト」なのだそうだ。なぜミストを目に見える形にしているのかという技術的なことは、こちらの記事で技術者の方のお話を載せているので、ご確認いただきたい。


ミストが吹き出す様子。バックにたまにテレビの音が聞こえることからもわかるように、吹き出し音などはない

空気の汚れやニオイのひどさが、目で見て確認できる!

 操作パネルの下部には、クリーンモニターというものがある。このモニターは、緑、黄色、赤の3色に発光して、部屋の空気の汚れ具合を表すものだ。

 空気がきれいだとモニターが緑色に点灯するが、近くでタバコを吸ったり、髪を乾かしたりすると、黄色いランプがつく。調理ですごく煙が出たり、よりニオイが強かったりすると、赤いランプが点灯する。黄色や赤のランプの時は、吐き出す風量が大きく、ルーバーの動きも目立つようになる。

 こんな風に、ニオイや汚れの種類や位置を目で見て確認できる空気清浄機は初めてだったので、面白い。

 試しに近くで香水を噴射した。一気にモニターが赤く点灯し、急速に空気清浄を始めた。音は大きく、吹き出し口に手を当てるとかなりの風量で手が寒かった。 2、3分するとモニターの色が赤から黄色に変わり、比較的静かになった。空気が清浄され、はじめの緑色に戻るまでは5分強かかった。香水だろうが、生ゴミ臭だろうが、人間の臭いの好みには左右されずに、強い臭いのものに反応するのだということもわかった。


試しに近くで香水を噴射。強い臭いに反応し、一気に赤いランプが点灯し、急速に空気清浄を始めた2、3分でランプの色が赤から黄色に変わり、静かになった。緑色に戻るまでは5分強かかった
左から、ニオイセンサーと、湿度、温度センサー

 ルーバーは、ニオイや空気の汚れのもととなる方向に向かって動く。これを可能にしているのが、本体のカバーを開けた時にセンサー感度の下に見える、ホコリセンサー、ニオイセンサーと、湿度、温度センサーだ。

 カバーの左右と本体下部の3カ所から部屋の空気を吸い込みながら、ホコリなのか臭気なのか、汚れの種類を判断して、ルーバーの動きを決めているのだ。


キメの細かい運転を可能にする手動モード

 最初のころはすべて自動でおまかせ運転で行っていたが、慣れてくるとだいたいこういう空気の状態のときはこういうふうに運転するんだな、というのがわかってくる。

 製品の動きがつかめてきたら、各種の運転モードを、手動で設定してみるのもいいと思う。テレビを観ているときに静音モードに設定したり、来客がある前に急いで脱臭したりと、キメの細かい運転が可能になるからだ。

 運転モードには加湿空気清浄と、加湿せずに部屋の空気をきれいにするただの空気清浄の2つがある。加湿なしの清浄機能なら、じめじめとした梅雨の時期にも気兼ねなく使えるわけだ。

 風量は、急速/標準/静音の3種類から選べる。急速は部屋の空気を早くきれいにしたい時、標準は連続で運転したい時、静音は静かに運転したい時にちょうどいい。


風量を選択。静音でははっきりとテレビの音が聞こえるが、急速だと全く聴こえなくなることがおわかりになると思う

 一番よく使ったのは、急速と静音の風量ボタンだ。湯上りにドライヤーで髪を乾かしていて、ちょっと香りがきついかな、と思ったので、急速ボタンをピッと押した。すると、突如ゴーッと大きな音を立てて脱臭を開始。数分間はテレビの音が聞こえなくなるほどだったが、数分後にその部屋に戻ったところ、臭いがかなり軽減されているのに気づいた。たった数分間に、こんなに臭いが消えるのかと思った。とにかく早い。これなら他の家族の邪魔にならない。

 家族が朝の連続テレビ小説を見ている横で朝食をとる際は、静音モードで運転した。静音モードは、電源が入っているのかわからないほど静かだ。本当に動いているのか心配になって本体を覗き込んだが、操作パネルのランプはしっかり点灯している。これなら、テレビの音声もしっかり聞き取れるし、食事の臭いが部屋で充満するのを軽減できた。

 素早くミストを放出して、部屋の空気を早くきれいにしたい時には、「パワーモード」が便利だ。パワーモードでは、除菌電解ミストを30分連続で放出し、部屋の空気を早くきれいにすることができる。パワーモードボタンを押すと、ランプが点灯し、30分間パワー運転を開始する。急速ボタンを押した時のように、運転音はゴーッと大きく、うるさくてびっくりした。


パワーモードだと運転音はゴーッと大きい。再生の際は音が大きいので注意して欲しい

 また、「エコ自動」という機能もある。エコ自動とは、1時間続けて部屋の空気がきれいだと、5分間の運転停止と1分間の運転を繰り返し、消費電力を抑える機能だ。エコ自動での消費電力は、1番強力に運転する「パワーモード」時の10分の1近くになるという。

 通常運転にしていても、レンジと併用してブレーカーが落ちることはなかったが、レンジや炊飯器などいくつもの電化製品を同時に使う際には、エコ自動を押すと消費電力を抑えることができて、安心だ。夜、皆が寝静まっている間もエコ自動にしていた。

 LDKやDKの間取りの部屋だと、調理や食事だけでなく、テレビを観たり、パソコンに向き合ったり、本を読んだり、タバコを吸ったり…とにかく色んな行動を他の家族と同じ空間で行なうことが多い。空気に切れ目はないから、臭いを遮断することは難しい。だが、こうしてすぐさま脱臭や空気清浄が行なえれば、家族が同じ空間でもお互いの生活時間を気にせずに、快適に過ごせる。

 ということで、前編ではミストリームの特徴や機能についてお伝えした。明日の後編では、その後の使用感や手入れについてまとめるので、どうか最後までお付き合いいただれればと思う。





2011年2月24日 00:00