家電製品ミニレビュー
エレクトロラックス「Assistent Line(アシステントライン)」
エレクトロラックス「Assistent Line」 |
お菓子作りをする人の憧れの調理道具といえばスタンドミキサーだ。ミキサーとボウルがセットになったもので、手を添えることなく作業が行なえるものだ。パン、スポンジケーキ、生クリームなどの生地を、自動で捏ねたり、混ぜたり、泡立てたりしてくれる便利な調理器具で、ボウルを支えずにすむので、下ごしらえがラク。しかも、ムラなくしっかり泡立てなどができるので、お菓子作りのプロであるパティシエも使っている本格的なものだ。
お菓子作りが好きな私も、数年前から目を付けていたのだが、海外製のスタンドミキサーは非常に大きいうえに重く、据え置きを前提に設計されているので、なかなか購入するまで踏み切れなかった。我が家の狭いキッチンに置くには、大きすぎる。炊飯器、レンジ、トースターのように使用頻度が高い家電ならどうにかして置き場所を確保するが、スタンドミキサーを使うほどお菓子を頻繁に作るのかと聞かれると、正直自信がない。
しかし、そんな悩みを解消してくれそうな、スタンドミキサーが昨年末に発売された。それが今回紹介するエレクトロラックスの「Assistent Line(アシステントライン)」だ。アシステントラインの最大の特徴は、ミキサー部分だけを外して、ハンドミキサーとしても使えるということ。パンの生地や、多めに泡立てるときはスタンドミキサーで、ちょっとした少量の泡立てではハンドミキサーで……と使い分けることができる。使わないときはハンドミキサーを外して収納することもできそうだ。
メーカー | エレクトロラックス |
製品名 | Assistent Line |
希望小売価格 | 14,800円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 14,420円 |
■想像以上に軽い! ボウルはかなり大きめ
海外製のスタンドミキサーは、重量が10kgを超えるものも多く、据え置きで使うことが前提となっている。置き場所に躊躇して買うことをためらう方も多いと思うのだが、アシステントラインは、2.8kgで女性でも軽々と持てる。ハンディミキサーとして使用する時の重量は1.2kg。
スタンドとハンディミキサーとボウルは分離するので、分けて収納できる。これなら、常に出しっぱなしにする必要はなく、用途に応じてハンドミキサーだけ出す……といった使い方もできそう。
憧れのスタンドミキサー。日本ではあまり見かけないが、欧米では一般的な調理家電 | ボウルも回るようになっている | ハンドミキサーを持ち上げてからボウルをはずす |
サイズは345×230×315mm(幅×奥行き×高さ)で、消費電力は280W。定格連続時間は10分となっている。
ボウルはステンレス製でフタが付属している。量は3.2Lと大きめ。保存用のフタと、作業に便利なスパチュラが付属する。なお、ステンレス製のボウルは底が平らで、裏側にはスタンドにセットするための溝がある。スタンドミキサーを使用する場合は、この溝をスタンドに合わせてセットする。
ボウルは底が広く、大容量 | ボウルには便利なフタ付き | スタンドにセットするため、ボウルの裏側は溝がある |
ミキサー用のアタッチメントは、卵やクリームの泡立てに使用する「ウィスク」と、パン生地を捏ねたり、挽き肉を混ぜる時に使用する「ドウフック」の 2種類が付属する。アタッチメントは食器洗い乾燥機にも対応している。
ウィスクは高速回転、ドウフックは低速回転で、1~5段階まで回転速度をそれぞれ調節できる。また、ボタンを押している間だけ回転するパルス機能もついていて、細かくスピード調整できるようになっている。アタッチメントだけでなく、ボウルも回転するのは、スタンドミキサーならでは。ボウルのスピードも2段階で調節できる。
ハンドミキサーの取り外しは、本体のハンドミキサーリリースボタンを押しながら行なう。
上のボタンはリリースボタン。下のダイヤルはボウルスピード調節ダイヤル | ハンドミキサーリリースボタンを押せば、ハンドミキサーの装着・取り外しができる | スタンドにもモーターが入っている。下のボウルをセットする場所が回転する。すべて取り外してしまうとコンパクト |
少量ならハンドミキサーとして使用できる | アタッチメントは2種類。食器洗い乾燥機にも対応している。ウィスクは卵白の泡立て、ピューレ、ソースなどを作るのに向いている | ドゥフックはイースト生地、パイ・タルト生地用だ |
■泡立てが大変なカステラ作りもラクラク!
全卵8個の泡立ては時間がかかって大変! |
シンプルな材料で簡単にできて、子供に人気のおやつといえば、我が家ではカステラ。カステラは卵、はちみつ、砂糖、強力粉があればできてしまうので、家にある材料で、思い立ったときに作ることができる。
しかし、レシピは手軽なものの、泡立てるのは大変だ。シフォンケーキのように卵白だけ4~5個を泡立てるだけならハンドミキサーでもできるが、カステラは、1度に全卵を7~8個も泡立てなければならないので時間がかかる。キメの細かいカステラを作るには、しっかり丁寧に泡立てるのがコツ。時間にして10分ほどはかかる。この間ずっとボウルを支えながらつきっきりで、大量の卵を10分間泡立てるという作業は、意外に大変なものなのだ。
今回は、ハンドミキサーでさっとほぐしてから、スタンドミキサーにして全卵8個を泡立ててみることにした。
切り替えスイッチを高速にし、スピードは一番速い「5」に設定。ボウルの回転も速い方の「2」で設定する。ボウルが回転しながら、どんどん卵が泡立っていく。
全卵8個がどんどん泡立っていく。モーター音は大きめ | 7分ほど経過すると、こんなにかさが増している。放って置いてもまんべんなく泡立ててくれるので便利 |
ボウルの開口部が広いので、材料を足すのも便利 | スタンドミキサーにおまかせで、こんなにふんわり仕上がった! | 新聞紙とアルミホイルで作ったお手製カステラ型に生地を流し込み、表面の気泡をつぶす |
あっという間に卵が泡だっていく様子を見るのは、とても楽しい。8分ほどスタンドミキサーで泡立てたのだが、勝手にやってくれるので、子供がバタバタ騒いでいる中で作っても、心にゆとりがあり、焦らない。とにかく気分的にラクチンだ。
残念なのは、構造上、湯煎ができないという点。全卵や卵黄を泡立てる場合は、ボウルを湯煎にかけながら温めつつ泡立てると成功しやすいのだが、スタンドにボウルをセットするので、ボウルの下に湯煎用のボウルを置くことはできない。事前に湯煎して少し温めてから、セットしたほうがよさそうだ。
完成したカステラはヒビも割れず、キメ細かくふっくら。直径25cmの大きいカステラが完成した。ラップをして一日置いておくと、しっとりする。これをカステラらしく長方形にするため、三等分に切ってラップをしておく。
素朴な味だが、市販のカステラよりも卵の味が濃く、とてもおいしい。栄養価も高く、子供達も喜ぶので、おやつとしてもぴったりだ。
カステラは材料費がとても安い。これだけ大きいカステラを作っても、原価はたった250円。何度にも分けて食べることができるので、親としてはありがたいおやつだ。抹茶やココアなどを混ぜれば、バリエーションも広がる。卵の泡立てが大変だったが、アシステントラインがあれば、気軽に作ることができそう。
手作りながら本格的なカステラが | 子供にも大人気。素朴な味のしっとりしたカステラをいただきまーす |
■2本分のバウンドケーキもあっという間
実家へ帰るとき、手土産としてパウンドケーキを2本作った。黄身とバターをスタンドミキサーですり混ぜてみたのだが、こちらもとても簡単にできた。2本分でもあっという間だ。
室温に戻しておいたバターと黄身も、スタンドミキサーにおまかせ | 多めの材料で一気に作りたいときはスタンドミキサーが便利! |
■少なめの材料はハンドミキサーで
次に、ハンドミキサーにしてスポンジケーキを作った。別立てのレシピで、卵白を4つ入れて泡立てる。少ない分量だが、ハンドミキサーで泡立てる前に、スタンドミキサーにして泡立つかどうか実験してみた。
やはり、卵白のみ4つでは、明らかに量が足りない。ボウルは底が平べったくなっているので、卵白が横に広がってしまい、これでは底に少量の卵白が貯まっているだけ。スタンドミキサーで泡立ててみたところ、ウィスクが届かず、全く泡立たなかった。
いつまで経ってもずっとこんな感じで空回り。これ以上、泡立つことはなかった |
アシステントラインでは、用途に応じて、スタンドミキサー/ハンドミキサーを使い分けられる。少ない分量の時は、ハンドミキサーで泡立ててしまったほうが早く、簡単だ。家庭で作るスポンジケーキやシフォンケーキ、パウンドケーキを1つ作るくらいなら、わざわざスタンドミキサーにする必要はなさそうだ。
もちろん、ハンドミキサーとしてもパワーは十分。スポンジケーキもパウンドケーキも、問題なく作ることができた。
ハンドミキサーで泡立てることにした | ハンドミキサーで作ったスポンジケーキは問題なし! | デコレーションして18cmのホールケーキが完成。この程度のケーキ1つなら、ハンドミキサーで作った方が早い |
■ドゥフックでパン作り。振動がチョット気になるが…
いつも総菜パンなどを作るときは、ホームベーカリーを活用している。今回は残っていたリンゴを使って、リンゴパンを作ってみることにした。使用した強力粉は200g。切り替えスイッチを低速にしてからドゥフックを装着し、速度を「3」で始めてみた。
ホームベーカリーでの捏ね方は、パンケースの真ん中にハネが付いていて、生地全体をグルグル回転させ、パンケースにたたきつけるようにする。しかし、ドゥフックでの捏ね方は全く違う。
ドゥフックは、たたきつけるというよりも、生地の中心までドゥフックが入り込んで、生地全体を混ぜながら捏ねていく。最初は粉っぽい状態だが、どんどんまとまって丸くなっていくので、見ているだけでも楽しい。
いつまで経ってもずっとこんな感じで空回り。これ以上、泡立つことはなかった |
数分経って表面がなめらかになってきたのだが、捏ね加減の見極めが非常に難しい。ホームベーカリーはいつも使っているので時間は読めるのだが、このような捏ね方ではないので、よくわからないのだ。
連続稼働時間は10分までという制限があるため、時間が足りなかったらどうしよう……と不安になったが、10分経過したところで表面がツヤツヤになり、弾力も出てきたようなので、一次発酵に移った。慣れてしまえばわかるのかもしれないのだが、初心者用の簡単なレシピを付けて欲しいところだ。
「これくらいかな」というところで一次発酵、二次発酵、成形をして焼き上げてみたところ、大成功だった。生地がふわふわに仕上がっている。
ツヤツヤの生地ができた! | 紅玉があったので、レーズンとリンゴを入れた。大成功! | ちぎってみると、中はふわふわ |
気になったのは振動だ。スタンドが軽く、ハンドミキサーの部分は重いので、バランスが悪いようだ。ガタガタとかなり揺れしまう。もう少し振動を抑えるような設計にしてほしい。
■一度にたくさんのお菓子を作る人に
購入前に一番気になっていたのは「置き場所」の問題だったので、ハンドミキサーとバラバラして、収納できるというのは嬉しい。一般的なスタンドミキサーとしては、手軽な価格なのも魅力的だ。
不親切だと感じたのは、Assistent Lineを使用したレシピが紹介されていないこと。スタンドミキサーの初心者なので、「強力粉がこれくらいなら○分程度捏ねる」というだいたいのめやすが知りたかった。いくつか基本的なレシピで作ってみれば、最適な分量などのコツがつかめて自分なりのアレンジもできる。簡単なものでよいのでぜひ付けて欲しい。
少量ならハンドミキサー、大量作るならスタンドミキサーと便利に使い分けができるAssistent Line。カステラを作ったり、手土産用に多めにお菓子を作ったり、お友達が来たときのためにたくさんケーキを焼いたりする我が家では、ハンドミキサーだけでなくスタンドミキサーとしての出番も多い。少量のお菓子作りしかしない方はもてあましてしまうかもしれないが、子供がいるご家庭なら楽しく使いこなせるだろう。
2011年1月24日 00:00