家電製品ミニレビュー

和平フレイズ「屋台こまち 電気おでん鍋」

~おでん屋さんの雰囲気が楽しめる専用電気鍋
by 但見 裕子

家でもお店みたいにおでんを煮てみたい

和平フレイズ「屋台こまち 電気おでん鍋」

 お住まいの所によっては季節はずれに感じるかも知れないが、2月の東京はまだまだ寒い。熱いおでんが嬉しい季節だ。

 おでんといえば冬のあったか料理の代表格だが、難しいことを言わなければ作りやすい料理だと思う。

 包丁を使うのは大根を切るときくらいだし、一番簡単な作り方としては、そこに市販の「おでんの具セット、スープ付き」を入れて火にかければいい。時間さえかければ、何となくできてしまう。さらに、煮崩れにくい材料がほとんどなので、煮込み料理としての管理がしやすい。また、汁気たっぷりなので、焦げつきにくい。

 たとえばカレーやシチューの場合、ジャガイモは煮崩れやすいし、目を離すと焦げつくだろう。そういうリスクが少ないのだ。作りやすく、管理しやすく、アツアツを食べればまず間違いなくおいしい。家庭料理でも人気があるわけだ。

 ただ、そうした家庭のおでんがもう1つ盛り上がらないのは、「台所から、器に盛って出てくる」からではないのだろうか。お店みたいな区画を切った四角い鍋で、目の前でグツグツ煮えていたら、格段に面白くなるような気がする。

 早い話コンビニのおでんだって、あの四角い鍋で煮えてるから、おいしそうな気がするのだ。そこで試してみたのが和平フレイズの「屋台こまち 電気おでん鍋」だ。


メーカー和平フレイズ
製品名屋台こまち 電気おでん鍋
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格4,280円

 「屋台こまち 電気おでん鍋」は、熱源である本体、はめこんで使う四角い鍋(ちゃんと仕切り用の板もセットされている)、木製のフタ、電源コードにダイヤル目盛りがついたコントローラーで構成されている。これにおまけとして、おたま、穴あきおたま、菜箸がつく。

 全体の大きさは380×240×155mm(幅×奥行き×高さ)。総重量は約2㎏。一般的なホットプレートに比べると小さめで軽く、楽に取り扱える印象だ。鍋はフッ素樹脂加工された鋳物で、厚手でよく熱がまわりそうだ。

左から菜箸、コントローラー、おたま、本体と鍋、2枚の木ぶた。手前に仕切り用の金具本体内部コントローラー。「おでん」と印字してあるのはホットプレートなどと間違えないためだろう

 使用後の手入れは、基本的に拭き取りが推奨されている。汚れがひどいときは洗剤で水洗いしてもよいが、差し込み口や裏側に水がかからないようにと取説で注意されている。万が一にも濡れた状態で通電するような事態にならないよう、保険をかけている感じだ。

鍋を裏返した状態。中心の丸い部分が蓄熱板

 それでも使用前に一度水洗いしたいので、自己責任で洗ってみたが、裏側に水がまわらないようにというのは少し難しい。赤ちゃんに沐浴させるような慎重な姿勢になる。濡れ布巾でぬぐうぐらいで我慢しておいた方が良さそうだ。

 コードは1.4mと、それほど長くないので、床近くのコンセントから取ってテーブルにのせて使うような場合、延長コードがあった方がいいと思う。コントローラーのダイヤルに「おでん」と印字してある。これは、ほかのホットプレートなどの付属コードと間違えないようにという親切設計だと思われる。


おでんを煮る

 さて、おでんを煮てみよう。

 張り切って、少し遠くのおでん種屋さんまで行って、種物を買ってきた。この店は、魚を自分の所でおろしてすり身を作っているとかで、なかなかおいしいのだ。生しいたけにすり身を詰めた「しいたけ揚げ」、すり身に赤唐辛子を混ぜてモミジ型に成形した「からし揚げ」などの独自な製品がある。

いかげそ半杯分が入った「げそ揚げ」生しいたけを使った「しいたけ揚げ」赤唐辛子が入った「からし揚げ」

 大根は買い物に行く前に下ゆでしておいた。コンニャクは、撮影効果を考えて(普段はそんなことしないのだが)竹串に刺してみた。やはりおでん種屋で買った「おでん汁の素」を水で割って鍋に入れ、十字に仕切った区画に具を並べていく。

 このときすでに気分は、「おでん屋のおやじモード」になっていて、「お客さんから見ておいしそうな配置はどうかな。こうかな」と工夫している自分がいる。

全員集合おでん屋のおやじ気分で配置まで工夫したくなる

ふたをして煮込む
 材料を並べ終わったところで、フタをし、ダイヤルを最強にして加熱していく。カセットコンロなどで鍋料理をするときは、まずキッチンの火力の高いガス火である程度煮ておいてから、食卓まで運ぶというショートカット法があるのだが、この鍋は直火にかけられないので、じっと待つことになる。

 電気なので加熱の立ち上がりは遅い。ずっと強火で、15分ほど経過した頃、やっと、おでん汁の暖かそうな匂いがしてきた。鍋のふちにそっと触ると熱いが、まだヤケドを心配するような熱さではない。

 20分経過で、本格的にぐつぐつと煮立ってきたので、弱火にする。煮物は、いったん沸騰したら、ある程度弱火にしてしまっても大丈夫だ。特におでんの場合、強火であまり煮立てると必要以上に汁が濁ったりしていけないそうだ。

 さらに40分ほど煮た(つまり放置しておいた)。サーモスタットが切り替わるたびに、微妙にグツグツいったり、静かになったりしているのが何か一生懸命な感じでいい。


煮えるおでん鍋

「早めに仕込んで、しばらく忘れる」のがコツ

 この、計1時間ほどの時間、電気おでん鍋をじっと見張っているのは愚かなことである。普通は、テレビを見るなりほかの用をするなり、違うことをしていればいいと思う。一旦煮たって弱火にした後は特に、だ。

 鍋の面倒は鍋自身が見てくれるのだから、家の中にいさえすれば、目を離して時々忘れていても大丈夫だ。

 もし、来客があって、もてなしの一品におでんを出そうと思ったら、まず最初におでんの仕込みをしてダイニングテーブルに置いてしまおう。これでとりあえず一品が確保されたし、テーブルに人数分のグラスと取り皿を出しておけば、万一予定より早くお客さんが来てしまっても、最低限の格好はつく。おでんが勝手に煮えている間に、何品かほかのおつまみを作ることができるだろう。

付属の穴あきおたまで種物をすくう

 さて、40分経って、だいぶダシが染みたようだ。大根に透明感が増し、種物はいい感じにつやが出てふくらんでいる。さっそくアツアツを食べてみよう。

 おいしい。煮えているところから出したてを食べるので、本当のアツアツで、思いなしか辛子もよくきくようだ。食べているすぐそばでクツクツと湯気が立っている感じが、またいい。

 そんな鍋の景色を眺めながらちびちびやっていれば、おでん専門店とはいわなくても、「カウンターの一画でおでんもやっている小料理屋さん」ぐらいの気分は出ようというものだ。

 加熱のほかに保温の機能もあり、また鍋が厚手なので余熱がわりと保つ。帰りの遅い旦那さんに用意しておくのにも便利そうだ。カセットコンロなどのガスを使う場合に比べて、電気は裸火を使わないので、小さい子がいる家庭でも安心度が高いと思う。

 冬のおでんの幸せを演出してくれる、楽しい商品としておすすめできる。





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2010年2月23日 00:00