家電製品ミニレビュー

象印「ジューサー BM-JF05」

~サラッと飲みやすいフレッシュジュースが作れる
by すずまり
象印のジューサー「BM-JF05」

 食べ物に好き嫌いがないのが自慢だが、普段の食生活を振り返ると、全ての食材を常に満遍なく食べたいわけじゃないことに気づいた。特にトマトや人参は単独で食する機会が少ない。例えばトマトなど丸ごと1個食べる機会など皆無に等しく、せいぜいサラダに1切れあればいいほう。食べられるが、あえては食べず、あれば食べるといった状態だ。

 これに気づいてからは常に冷蔵庫に野菜ジュースを常備し、料理をみて彩りに欠けるような場合、つまり緑黄色野菜がないときは市販の野菜ジュースをコップ1杯飲むように心がけるようにしている。

 すると今度は違う方面で問題が生じた。野菜ジュースをたっぷり飲むと、妙にお腹を壊しやすくなるのである。繊維質を大量に摂取した影響であることは間違いない。体のためにもありがたい繊維質だが、体質によってはとりすぎると都合が悪いときもあるようだ。

 「栄養分だけとれたらうれしいときもあるな」と思った瞬間、思い浮かんだのが「ジューサー」の存在だ。それまで「野菜ジュースが売っているのに必要かしら……?」なんて侮っていた「ジューサー」。その存在価値を認識できた瞬間が訪れた。そこで、サラッとしたフレッシュジュースが作れるという象印のジューサー「BM-JF05」を試してみた。


メーカー象印マホービン
製品名ジューサー BM-JF05
希望小売価格16,800円
購入場所ヨドバシ.com
購入価格10,800円(ポイント還元10%)



毎分14,000回転する「フィルターカッター」でサラッとしたジュースを

 「BM-JF05」は200×255×280mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3kg。3kgというと大きそうだが、凹凸が少ないため意外と場所はとらない。背面に「コードケース」がついており、使わないときはコードを収納しておける。

 パーツは全部で8つ。「押し棒」、投入口と窓のついた「本体ふた」、「ファイバーケースセット」(下から、ファイバーケース、仕切り、ファイバーケースふた)、チタンコートカッターを採用したすり鉢状の「フィルターカッター」、「ジュース容器」と「ジュース容器ふた」で構成されており、掃除用の「へらつきブラシ」が1本と取扱説明書が付属する。本体以外のパーツが完全に分離するため丸洗いしやく、衛生的だ。

本体に「ファイバーケース」をセットし、上に「仕切り」を乗せる中央に「フィルター」をセットする上に「ファイバーケースふた」を乗せる
「本体ふた」をかぶせる投入口に「押し棒」を入れる容器をセットしたら完成
本体の裏側には「コードケース」がある電源スイッチ「BM-JF05」の全パーツ。本体(右上)以外は丸洗いできる

 本機の最大の特徴は、チタンコートカッターを採用した毎分14,000回転する「フィルターカッター」により、材料が瞬時に細かく砕かれ、よりサラッと口当たりのよいジュースが作れることだ。ミキサーではなく、あえてジューサーを使ってフレッシュジュースを作る理由にはサラッとした飲みやすさがあげられるだけに、これは非常に大事なポイントである。

 このほか安全対策として、部品が正しくセットされていないとスイッチが入らない「安全ボタン」や、材料の入れすぎによるモーターの加熱を防ぐ「入れすぎストップ機能」が搭載されている。

 付属の取扱説明書には「胃腸の弱っているときに」「生活習慣病の予防に」「疲れがとれないときに」など、ケースに応じたレシピが紹介されているほか、材料の切り方や絞る順番、しぼりカスの利用方法なども解説されているので必見だ。

チタンコートカッターが採用されている「フィルターカッター」投入口から見た「フィルターカッター」の様子。スイッチを入れると高速で回転する注ぎ口のついた「ジュース容器」と「ジュース容器ふた」。持ちやすく、ジュースが飛び散らないなど機能的にできている
「フィルターカッター」の掃除に活躍する「へらつきブラシ」ブラシはフィルターの掃除がしやすいように、カーブしている。カッター部分とフィルターが同時に掃除出来る仕組み

切った材料を入れるだけ

 電源スイッチを入れたら、適当なサイズにカットした野菜や果物を投入口に入れ、押し棒で中に押し込む。すると瞬時に粉砕され、分離されたジュースが容器の中へ勢いよく流れこんでいく。一通り素材を投入し終わったら電源を切り、容器の中にジュースが落ちなくなったことを確認したらグラスに注ぐという流れだ。

 容器は最大容量約450mlなので、コップにすると約2杯分作れる。別に専用の容器を使わなくても、直接グラスをおいてもいいだろうと思うかもしれないが、この容器と専用のふたのおかげで、出てきたジュースが周囲に飛び散る心配がないのである。

 しかも、ふたから容器に伸びている管のおかげで、絞られたジュースからさらに泡を取り除けるのだ。口当たりにこだわる方には必須アイテムといえるだろう。

 なお、とろろいもやバナナ、マンゴー、メロンなどねばり気の強いもの、もも、イチゴ、パイナップルなど水分の出にくいもの、繊維質の多い生姜やゴボウなどはジューサーに向いていないという。また、スイカやザクロといった小さい種の多い材料も使わないほうがいいようだ。

 というわけで、早速ジュースを作ってみた。

デコポンとレモンのジュース

完熟のデコポン2個と、レモン1個を用意

 たまたま完熟テコポンの安売りに遭遇したので、あえてジュースにしてみることに。デコポン2個、レモン1個を皮をむいてジューサーへ。すると酸味のあるさわやかな甘さのフルーツジュースができあった。そのまま食べても十分おいしいデコポンだが、ジュースにしてもまたおいしい。朝食に添えればビタミンCの補給になりそうだ。口当たりにはいかにも絞りたてというクリーミーさを残したさっぱり感があった。


切ると結構な量に見える

できあがったデコポンとレモンのジュース(左)
簡単に済ませがちな朝食に添えると栄養アップ!


デコポンとレモンのジュースができるまで

トマトとセロリのジュース

トマト2個、セロリ1/2本、リンゴ1個を用意

 野菜ジュースの定番、トマトを使ったジュースに挑戦だ。トマト2個、セロリ1/2本、リンゴ1個を使用した。見た目はいま1つだが、飲んでみたところトマトジュースとは思えないサラリとした飲み口にびっくり! 仕上げにレモン汁を少々加えると味にアクセントがついてさらにおいしくなる。

 当初はあまり気にならなかったが、投入口にあわせてカットしたところ、かなりの量になって驚いた。体にいいからと言われても、これだけの量を一度に食べることはできないだろう。これがジュースになればコップに半分だから、あっという間に飲めてしまう。フレッシュジュースとはそういうことなのかと気づかされた。

 なお、ジューサーを使うとジュースの表面に特有の泡が生じる。個人的には全く気にならない、ふわふわした食感が苦手もいらっしゃるだろう。そんな方は、ある程度浮き上がってから付属の「ジュース容器ふた」をして注ぐと、簡単に分離できるのでお試しいただきたい。

投入口にあわせてカットしたところ、その量に驚く!

ジュースにすると付属のジュース容器に半分程度だ

注ぐだけで泡が分離できる。コップ半分程度のトマト(?)ジュースが完成した。泡状の部分もよく見るとトマトの繊維が多そうなのがわかる


リンゴとニンジンとデコポンのジュース

 リンゴ2個、ニンジン1本、デコポン1個を使って見た。それぞれ単品で食べてもおいしいのだが、あわせるとさらにおいしい! 特にニンジン、これはジュースになって改めてその良さを知る野菜かもしれないとすら思ったほど甘さを感じた。見た目にも色がキレイで、うれしい。

 実はこれをきっかけに、ニンジンジュースを作る機会が増えた。冷蔵庫で朽ち果てさせる確率がかなり低くなるかもしれない。

ニンジン1本、リンゴ1個、デコポン1個分。これもまとめて全部食べろと言われたら大変だ

3品があっという間にジュースになった

甘くておいしいが、色も鮮やかで元気が出そうだ


キャベツとセロリのジュース

 付属の取扱説明書で「胃腸の弱っているときに」の欄で紹介されていたのがこちらのジュースである。使用するのはキャベツ1~2枚、セロリ1/2本、リンゴ1/2個、レモン1/2個。ちょっと青臭さは残るものの、さわやかで酸味のあるフレッシュジュースが完成した。胃腸の調子がよくないときは当然食欲も減退しがち。固形物を敬遠したくなることもある。そのようなときこそ、口当たりのよいジュースの出番だろう。

キャベツ1~2枚、セロリ1/2本、リンゴ1/2個、レモン1/2個2枚程度の春キャベツでできるジュースは意外と少なかった!

最終的にできたジュースがこちら。リンゴの甘さも加わるので飲みやすい


しぼりカスも有効活用するのだ!

 素材の量だけ発生するのが繊維質たっぷりのしぼりカスである。まだまだ絞れそうなしっとり感があるので、集めてはスプーンと網、または絞り布に入れて力任せにしぼったりしていた。しかしこれがなかなか大変。苦労している間にジュースの鮮度が落ちてぬるくなってしまいそうなのだ。

スライサーと押し棒の隙間に相当する数ミリ分がどうしても残ってしまうのだニンジンやデコポンのしぼりカスはまだ絞れそうな様相柑橘系はしぼりカスも豪快だ

 そこで一度出て来たしぼりカスを集めて、もう一度投入口から入れてみた。すると、材料にもよるが、さらに10~30cc程度絞れることが分かった。リンゴやニンジンなどは最後の部分だけ残りやすい。それらが改めて細かく砕かれることや、遠心分離によってカスに含まれていた水分が改めて分離されるためだろう。

 その後のしぼりカスは砂糖を加えてジャムにしたり、ミキサーにかけてさらにペースト状にし、スープの具に使ったりしている。ハンバーグの具に混ぜてもいいだろう。寒天で固めてもおいしい。

 レモンの皮も捨てられない食材だ。細かく刻んで少しジャムに入れればさわやかな風味が加わる。もちろんお菓子の香り付けにもなる。案外無駄にならないものだ。活用に役立つレシピが取扱説明書に紹介されているので、そちらもぜひご覧いただきたい。

こうして一旦取り出してから、再投入するのであるしぼりカスから絞れたジュース絞り布を使って絞るという手もあるが……
再度ジューサーに入れたほうが簡単だ残りは砂糖などで味を調えればジャムにもデザートにもなる

後片付けは、フィルターがポイント

 なお、気になる後片付けだが、「BM-JF05」の洗い物は最大で7つ。その多さに最初はギョッとするのだが、付着しているのは野菜や果物の繊維なので水だけですぐ洗い流せることに気づく。もちろん洗い物は少ないに超したことはないが……

 フィルター部分だけは目に繊維が入り込んでいるので、水を流すだけでは落ちない。これは付属のブラシをつかって丁寧に除去しよう。また、本体にもこぼれた果汁や繊維が付着して固まることがあるので、点検を忘れずに。

ある日の洗い物。本体と本体ふた以外はみな流し行きとなる。パーツが大きいこともあり、慣れるまでは心理的な負担になることも特に丁寧に洗いたいのがフィルターだ。しぼりカスはもう少し取り除き易いとうれしい本体もよく見ると汚れていることがあるので、丁寧に拭き取ろう

フレッシュジュースはおいしくて飲みやすい!

 フレッシュジュースに懐疑的だった自分だったが、作る度に一気飲みに近い状態で、あっという間に飲んでしまった。やはりサラリとした作りたてのジュースは飲みやすい。これがジューサーの威力なのか。作れば作るほどハマってくるのも面白い。好きなジュースが作れるというカスタマイズの楽しみがあるからに違いない。

 「ジューサー」を使ってみてたどり着いた結論、それは「ジューサーは愛情家電」ということだった。

 経験するとわかるのだが、フレッシュジュース作りは少々手間のかかる作業だ。洗い物だって少なくない。しぼりカスも出るし、素材となる野菜や果物は決して安くない。何十種類もの野菜が入っているというジュースを買ったほうがはるかに手軽だと思ってもなんら不思議はないくらいだ。

 しかし、フレッシュジュースを作る意味は十分あるのだ。親は好き嫌いのあるわが子に対して、なんとか食べやすい方法で野菜を食べさせようとする。体調がすぐれないといえば、改善に役立つ栄養素をできるだけ摂取しやすく、かつ吸収されやすい形で提供しようと考える。それもこれもみな愛情だ。大切な人の健康、自分の健康、いずれも愛情がなければ、わざわざ手間隙かけてジュースにするという発想には至らないのではないか。作りながらそんなことを考えていた。

 夏を迎えると決まって食欲がなくなってしまうという方は、まずは自分の体のために、フレッシュジュースを食生活に取り入れてみてもいいのでは?





2009年5月13日 00:00