家電ミニレビュー

アイリスのあったかベストは寒さ対策になる? 初詣で着てみた

「キルティングビジネスヒートベスト」(公式通販サイト・アイリスプラザでは9,280円)。サイズは、S、M、L、XLの4種類。色は、グレー、ネイビー、ブラックが用意されている。写真はブラック

冬真っ盛り。寒さが増し、光熱費が高騰する中、昨年末はとある大手ドラッグストアが店舗での暖房を禁止し従業員が凍えそうだと訴えるというニュースがバズりました。そんな世知辛い世の中ですが、コストをかけずに身体を温める防衛策として注目されているのが電熱ウェアの類です。直接体を温めるので省電力で経済的。このご時世にぴったりの暖房器具と言えそうです。

というわけで、アイリスオーヤマの「キルティングビジネスヒートベスト FC22600」をミニレビュー。やはり人気なようで、この原稿執筆中に、公式通販サイト「アイリスプラザ」ではサイズとカラーによっては在庫切れとなっておりました。

ベストの背面

軽くて違和感のない着心地

キルティングビジネスヒートベストは見た目も普通のベスト。素材はポリエステル100%で、表面裏地ともサラサラとした触感。ヒーターの薄さは約0.05mmとのことで、ゴワつきもなく、羽織っても軽い感じです。重さは実測値で268gありました(Mサイズ)。

【訂正】
記事初出時、ヒーターの薄さを誤っていたため訂正しました(1月13日18時50分)

前はスナップボタンで留めるタイプ。ジッパーよりも見た目のフォーマル感があり、これが商品名に「ビジネス」とあるゆえんでしょう。前面左右には手などを入れられるポケットがあります。

ベストの内側、左の脇の下にはモバイルバッテリーを入れるためのポケットがあり、そこから給電用のケーブルが伸びています。端子は一般的なUSB Type-A。これをモバイルバッテリーなどに接続し、左裾にあるコントローラー(ボタン)を押すと、ヒーターが加熱し始めます。ヒーターのレベルは4段階で、押す度に高温から低温へ、赤→紫→緑→白とランプの色が変わります。

温めるためのヒーターは、前面下の左右と、背面上部の計3カ所。ベスト全体が温かくなるわけではありません。3時間の自動オフ機能があり、引き続き使用するにはコントローラーを再度操作する必要があります(多くの場合、モバイルバッテリー側から給電を再開する操作も)。

給電用の端子はUSB Type-A。ケーブル長は約30cm
左裾のコントローラー。押す度に高温から低温へ(赤→紫→緑→白)と切り替わる
内側のバッテリーポケットの入り口は約13cm

まずは屋内でデスクワーク時に着用してみました(エアコンを切った部屋で数時間)。温かさを強く感じるのは、おなかの左右。背中の温かさはあまり感じなかったのですが、これは猫背だからかもしれません。全身がぬくぬくとあったかくなるわけではなく、体の中心(おなか)が温まると、空気の寒さが気にならなくなる、我慢できるレベルになる感じ。

そして屋外。今回は、初詣の際に着てみました。ダウンジャケットを上に羽織り、リュックサックまで背負うと、屋内で座っていた時とは温かさの感じが変わってきます。背中に圧がかかるので、より背中に温かさを感じることができました。

個人的に背中の上部が凝りがちなので、ここが温まるのは心地よさがあります。一方、腰の部分にはヒーターがないので、腰を温めたい人には最適な製品ではないかもしれません。

ベストタイプのメリットとしては、腕の動きを妨げないことがあります。また、冬場にフリースの上にダウンジャケットを着てウォーキングすることがあるのですが、時間が経つと腕や脇に汗をかきがちで、それが冷えてしまうことに困っていました。ベストだとそれがない。

気になるバッテリーでの使用時間ですが、取扱説明書に記載された目安は、6,700mAhのモバイルバッテリー使用で、レベル1(白)約8時間、レベル2(緑)約5時間、レベル3(紫)約4時間、レベル4(赤)約3時間です。

今回、10,000mAhのモバイルバッテリーで連続使用したところ(最高温のレベル4)、約6時間使用できました。1月の東京で、主に屋内、屋外ではダウンジャケットを着ていたことが、思った以上に使用時間が伸びた原因かもしれません。

電流は概ね00A〜1.5Aの幅で変化する
ダウンジャケットの内側に着用。普段は長袖のフリースを着ているが、ベストは腕の動きを妨げないのがメリット

ひとつ欲を言えば、ケーブルの長さがもう少し長いほうが使いやすいです。モバイルバッテリーはアイリスオーヤマ製の使用が推奨されていますが、実際には様々なタイプのモバイルバッテリーが使用されると思われます。10,000mAhサイズになるとバッテリーポケットには収まらず、モバイルバッテリーの電源の入れ直しの手間を考えると、ベストの前面ポケットや別の衣類などに入れることとなります。そうなると、約30cmという現状の長さでは少し足りないんですよね。

とはいえ、あまりケーブルが長いのも取り回しが煩雑になるので、ここは延長ケーブルで対処するのがベストかもしれません。ベストとしてシンプルな方が、電源を入れるほど寒くないときは普通のベストとして使えますしね。

ゴルフや釣りといったアウトドアスポーツはもちろん、暖房の使用が制限されたオフィスなどインドアでも役立つアイテムです。

おじさんベストとしては違和感ないのではなかろうか
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>