家電製品ミニレビュー
しずくも積もれば水。ボッシュの窓用クリーナーで、面倒な結露の拭き取りも超ラクに!?
2021年1月27日 08:00
今年もこの季節がやってきた。結露の冬だ。朝起きれば窓やサッシにびっしり水滴が張り付き、下に水たまりができていることもある。ただでさえ冬は結露しやすいのに、空気が乾燥しているからといって加湿器を一晩中動かしていると、なおのこと結露がひどくなる。悪循環だ。
結露を放っておけば汚れを呼び込むし、カビの原因にもなる。かといって毎日のように家中の窓を雑巾で拭いて回るのも面倒このうえない。半ばあきらめてここ数年はほとんど放置してしまい、気が向いたら拭くか、くらいの感じでいたら、見事、カビがすくすくと育ってくれたようだ。あちこち黒ずんでいる。ああ、このまま我が家は朽ちていくのか……。
いや、そうはさせんぞ! と意気込むも、やっぱり七面倒な拭き取り作業はしたくない。どうにかならないものかなあ……と思っていたところに見つけたのが、ボッシュの窓用バキュームクリーナー「GlassVAC」だ。雑巾で拭くより少しは楽になるだろうか。期待半分不安半分といった心持ちで、我が家に導入してみた。価格は16,000円。
結露は「拭き取り掃除」じゃない、「排水作業」だ
GlassVACは、いってみれば窓用のコードレス掃除機みたいなもの。なので、どちらかというと「窓のクリーニング」という性格の方が少しだけ強い気がする。セットになっているスプレーボトルを併用して洗剤を使った窓掃除ができ、おまけに結露も吸い取れる、といったような位置付けだ。まあ、筆者としては結露の吸い取りがメインなのだけれど。
使い方はごくシンプル。USB充電器を使って充電した後、電源ボタンを押して、柔らかいラバーのワイパー部分を窓に押し当ててゆっくり一方向に動かすだけでいい。
ウィーンという掃除機らしい動作音とともに窓の水滴がぐんぐん吸い込まれ……るほどではないが、拭き取るように動かした後の窓は、ほぼ水滴がなくなっている。吸い取っているので、雑巾で拭いたときのように水滴が垂れることも少ない。
吸い取った水は本体のタンクに貯まっていく。「MAX」のラインが本体のわりと下の方にあるので、夢中で吸い取っているとあっという間に満水になってしまうが、赤いキャップを開けて捨てようとすると「まじか」と思うくらい大量の水がどばどば出てくる。なるほど、この量だ。そりゃあ拭き取るのは大変だわな。
雑巾で拭いては絞って、拭いては絞って、と繰り返していたことを思い出す。水滴だからと軽く見ていたけれども、結露というのは意外とまともに「水」なのだな、と納得した。「しずくも積もれば水」となるのだ。
GlassVACを使って最初に感じたメリットというか、気付いたことは、まさにこの部分だった。雑巾で拭くこと自体は、実はそこまで面倒じゃない。拭いた後、その水分をたっぷり含んだヤツを垂れないように慎重に持ち、わざわざシンクや洗面台に捨てに行って、また窓に行って……の往復作業がネックであり、そもそもたっぷたぷの雑巾の不快さも嫌なのである。
バケツとともに作業すればいいのかもしれないが、ただの水滴だと思って甘く見ているから事前にそこまで思い至らない。そもそも大げさな感じの作業にもしたくない。でも結露の拭き取りは、実際のところ立派な「排水作業」と考えるべきなのだろう。そこでGlassVACさえあれば、そんな排水作業を大げさにすることなく、簡単にこなせてしまうのだ。
横向きでも、狭い隙間でも、自在に吸い取れる
ちなみにこういった窓用のクリーナーは、より安価な他社製品も少なくない。GlassVACは比較的お高めな方だ。そのなかからGlassVACを選んだ理由は、なんといっても「横向きでも使える」こと。これはGlassVACの最も重要なポイントといってもいいかもしれない。
GlassVACは軽く窓に当てて動かすだけで水滴を吸い取れるものの、そのためには一定の角度を維持してワイパーを窓に押し当てる必要がある。ワイパーを窓に対して立て過ぎるとだめだし、角度が浅すぎてもいけない。だから、常にいい感じの角度で使うわけだけれど、そうすると窓の下端を吸い取ろうとしたときにタンク部分がつっかえる。これはおそらく他社製品も同様だろう。
なので、必然的に本体を横向きや逆さまにして吸い取りたくなるのだが、製品によってはタンクに貯まった水が逆流して噴き出してしまうことがあるようだ。この点、GlassVACなら横にして使ったところで噴き出すことはないし、なんなら(製品の仕様上、可能とはされていないけれど)逆さまにしても問題なかった。窓の下に溜まった水は、場合によっては逆さまにした方が吸い取りやすかったりしたのでありがたい。
小と大2サイズのワイパーが付属しているのもうれしいところだ。基本的には小さな窓用に小サイズ、大きな窓で効率良く作業するには大サイズ、という使い分けになるけれども、ほとんどの場合は大サイズで良さそう。なぜなら、大サイズは左右端がより細くなっていて隙間に届きやすいから。
たとえば筆者宅のいくつかの窓では、引き出し式の網戸が窓の手前に取り付けられている。その網戸の収納部分が張り出しているせいでサッシが陰になり、小サイズのワイパーだとつかえて奥まで届かない。これが大サイズの細いワイパーなら楽々届く。本体の向きを変えても、狭い隙間があっても、広い窓でも問題なく、あらゆる部分の結露を自在に吸い取れたのがGlassVACなのである。
加湿器をガンガン使いたいなら、GlassVACも揃えるべき
満充電の状態で吸い取れる面積は、スペックシート上では約105m2とのこと。この性能はいまいちピンとこないかもしれないけれど、少なくとも筆者宅の20枚ほどある窓全部を合計しても20m2以下だから、充電せずとも1週間は毎日使える計算になる。動作音については、個人的な感覚では決して静かとは思わないものの、家族がテレビを見ている横で使っても文句が出るほどではなかった。
ただ、GlassVACは結露を1滴も残さず完璧に吸い取れる、というものでもない。窓の隅々まで吸い取り作業はできても、やっぱり多少の取りこぼしは発生してしまうのだ。なので、きっちり窓の水分をゼロにしたいのなら、GlassVACの後に雑巾などで軽く乾拭きするのがベスト。結局手で拭き取る必要があるのか……と思うかもしれないけれど、ゼロから拭き取るのに比べれば雲泥の差だ。たっぷたぷの雑巾を途中で絞りに行くことがなくなるだけでも作業性は数段アップするし、不快さも一切ないのだから。
GlassVACのおかげで、これまでただただ面倒でやりたくなかった結露掃除が、なんだか楽しくなってきた。本来なら結露なんてものは発生しない/させないのが一番いいに違いないけれども、なんとなく毎朝「今日はどれくらい結露しているかな」と期待してしまうほど。結露対策の習慣づけができている限り、遠慮なく加湿器も動かせるわけで、空気が乾燥しがちな冬こそGlassVACがあることのありがたみを感じるはずだ。