家電製品ミニレビュー

プロジェクターとシーリングライトが一体なんて夢のよう! 「popIn Aladdin」はまさに魔法のランプ

 シーリングライトは奥が深い……いや、天井という空間が奥深いのかもしれない。家の中で上を見上げれば、必ずそこに「天井」がある。なのに、天井についているものといえば照明器具と火災報知器ぐらい。こんなに広いのに活用されていない、未開拓なスペースだ。

 以前、シーリングライトにサーキュレーターを合体させた画期的な製品を紹介したが、今回はそれに引けを取らない、とても変わったシーリングライトを手に入れたので、そのレビューをお届けしよう。

 今回紹介する製品は「popIn Aladdin(ポップイン・アラジン)」である。

「popIn Aladdin」
メーカー名popIn
製品名popIn Aladdin(PA18U02VN)
価格(編集部調べ)79,800円

 popIn Aladdinは、シーリングライトにプロジェクターとスピーカーを内蔵した、かなり尖った製品だ。実はこの製品、インターネットで開発資金の調達を募集する「クラウドファンディング」生まれで、9,000万円強の資金調達に成功し、市販までこぎ着けた注目デバイスなのだ。

クラウドファンディングサイト「Makuake」で大成功!

カチャ・ポン・グルッの3ステップ簡単取り付け

 popIn Aladdinの設置はとても簡単で、まさに「カチャ・ポン・グルッ」なのだ。

女性でも取り付けラクチン!

 ローゼットや引掛シーリングにはさまざまな形状があるが、どの形状であっても問題なく取り付けが可能。もちろん取り付けができない場合もあるので、事前に確認しておくことをオススメする。

説明書から抜粋:取り付け可否の一覧

 取り付け時に気になったのは「ちょっと重いけど、大丈夫かな?」という点。popIn Aladdinの重量は4.9kg。引掛シーリングとローゼットの耐荷重は、それぞれ5kg/10kgまでとなっており、いずれも耐荷重範囲内に収まっている。とはいっても、地震大国の日本では心配なユーザーも多いと思うので、落下防止ワイヤーの追加が望まれるところだ。

初期設定も簡単! 取り付けから15分で壁に投写!

 天井設置後に壁スイッチONで、照明の点灯と共に初期設定が始まる。手順はプロジェクターで投影されるが、最初はピントが合っていないため、冒頭のみ音声アナウンスで案内してくれる。同梱リモコンの登録とピント合わせが完了したら、あとは画面の指示に従っていくだけ。接続が必要な無線LANの設定などもここで行なう。

設定冒頭のみ音声ガイダンスで案内される

 ゆっくりやっても30分は掛からない。面倒な配線は一切不要で、自分の部屋にプロジェクターが設置できてしまい、きっと面食らってしまうだろう(笑)。

11月末に実施されたアップデートで、待望のAmazonプライム・ビデオが追加された。日々進化し続けるのがpopIn Aladdinの素晴らしいところだ

 Appleユーザーならば「AirPlay」が利用できることも大きなアドバンテージだ。試しにiPhoneでスマホゲームを動かし、AirPlayで飛ばしてみたところ、映像も音声もスムーズに再生された(一部、動作しないアプリもあるので要注意)。iPhoneなどで見ている画面を、家族みんなで一緒に見たいときに使えそうだ。

「画面ミラーリング」の設定画面で表示される「popIn Aladdin」を選ぶだけで、iPhoneの画面が投写される

 AndroidスマホやWindows 10 PCなどの画面を表示できる「Miracast」という機能も近日中に搭載予定だ。こちらも楽しみにしておこう。

 さらにネットワーク対応(正式にはDLNA対応)のBlu-ray・HDDレコーダーがあれば、録画した番組や放映中のテレビも投写できる。コンテンツ盛りだくさんで可能性無限大!

「DIXIM Play」アプリでレコーダーのコンテンツを再生できる。筆者宅ではPanasonicのテレビとレコーダー、Sonyのtorneと接続して投写できた

 なお、DIXIM Playは有料のアプリ(月額100円/買い切り1,300円)だが、2018年12月31日までにpopIn Aladdinを購入すれば、「Aladdin Discovery」アプリ内で無償ライセンスを入手できる。TV視聴が目当ての人は急ごう!

 さて、ひととおり操作してみたところで、壁スイッチをOFFにしてみる。照明もプロジェクターもすべてがいっぺんに消え、まるで動作中のパソコンのコンセントを抜いてしまったような罪悪感に襲われる。説明書によると、誤った方法ではないようだ。再度、壁スイッチをONにすると照明のみが点灯し、プロジェクターは起動しない。プロジェクターのON/OFFは連動していないので、リモコンのスイッチでONにする必要がある。

シーリングライトとしての明るさは3,800ルーメンで、68個のLED素子により照射される。明るさ/発光色は、リモコン操作でそれぞれ6段階の調整が可能。対応する部屋の広さは8畳まで

 popIn Aladdinのリモコンは、照明のON/OFFのみ、実は赤外線送信になっている。Nature Remoのようなネットワークリモコンを持っていれば、Google HomeやAmazon Echoによる音声コントロールも可能だ。お持ちの方は試してみて欲しい。

照明のON/OFFのみ「OK、Google」での操作が可能。Amazon Echoでも操作できた。今後、プロジェクター側とも連携することを願う

天井から高音質のミュージックが降り注ぐ!

 popIn Aladdinは、5W+5Wのステレオスピーカーが内蔵されている。このスピーカーは、Macや高級車の高音質スピーカーを製造販売する、あの有名な「harman/kardon」製。音質にも抜かりがない。

レンズ上部にさりげなく記載される「SOUND BY harman/kardon」
スピーカーは本体背面部に内蔵される。本体左右にも穴があいているが、そちらは吸排気口だ

 通常の音声を鳴らすことはもちろんのこと、単体でスマートフォンやミュージックプレイヤーとBluetooth接続し、お気に入りのミュージックを高音質で天井から再生できる。

Bluetoothスピーカーとしても抜群の音質だ

自分の部屋に設置したら、いったい何インチになるの!?

 ここからは、皆さんが気になりそうなことを調べてみたのでお伝えしたい。

 まず、投写される画面サイズだが、公式サイトで次のように説明されている。

本機から壁までの距離が1mで40インチ。そこから1m離れるごとに40インチずつサイズアップしていく

 popIn Aladdinは「寝室用」を謳う製品だが、リビングなどへの設置を考えている方は多いはずだ。そこで実際に、筆者宅の3つの部屋に取り付けて測定してみた。

 筆者宅は一般的な2LDK+Sのマンションで、一番広い部屋で8.9畳だ。一番広い部屋でも本機から壁面までの距離が2mを越えることはなく、60インチ以上の大きさを出すことはできない。

 とはいうものの、壁に50インチほどの画面が表示されると「超デカい!」と感じた。

ダイニング・リビング・寝室での投写の具合。補足として、手動で台形補正を行うため、縦横比が正確になっていないことを付け加えておく

 ちなみに、120インチの大画面にするためには、本機が壁から3m以上離れていなければならない。広いお部屋のある自宅であれば可能かもしれないが、実際の日本の住宅事情ではなかなか厳しい。6~8畳の部屋に設置するようであれば、40~60インチ程度に収まると考えておいたほうがよいだろう。

梁(はり)がある壁でも大丈夫!?

 我が家の場合、リビングと寝室の壁面に梁があり、天井から38cm、壁面から7.5cm、出っ張っている。「台形補正」設定内にある「映像の位置調整」で、画面全体を29cmほど下げることができ、無事に梁を避けられた。

画面位置を一番下まで下げることで、梁の下まで画面を移動できた

 スペック上では「上下稼働域 0〜18度」となっており、三角関数で動かせる距離の理論値を計算できそうな気もする(壁までの距離×tan18度?)。国内の各プロジェクターメーカーでは、投写サイズなどを自動計算してくれる「投写シミュレーター」なるものをWebサイトで公開しているところが多いが、popIn Aladdinでも同じようなものを用意してもらい、投写サイズや位置調整範囲をシミュレートできると便利かもしれない。

実際にこれだけレンズが動いている

明るい部屋でもキチンと見られるの!?

 プロジェクターの明るさは「700ルーメン」だ。一般的なホームユースのプロジェクターだと、軽く2,000ルーメンを越えるため、決して「明るい」とは言いがたい。暗い部屋であれば全く問題ないが、シーリングライトを点灯した状態や、日光が差し込む状態ではどうだろうか。

日光が差し込む部屋での投写。かなり厳しい感じ……
夜間、シーリングライトを点灯した状態での投写。問題なく見られる

 結論として、日光が差し込むリビングのような場所だと、映っているものが識別できないくらいになってしまったが、夜間の照明点灯程度では問題なかった。日光が差し込むような環境で使う場合は、カーテンを閉じれば問題ないというレベルだろう。

投写される画質はきれい?

 popIn Aladdinのプロジェクターは「単板(1-Chip)DLP方式」、投写の光源はLEDだ。この投写方式の特徴として、残像が発生しにくく、コマ飛びや映像の粒感が軽減されることが挙げられる。例えば、動きの速いスポーツ中継のような動画を再生してもヌルヌル動くのだ。実際、自宅にある液晶テレビよりもスムーズに動いているように感じた。

 また、壁をスクリーン代わりにするのってどうなの? と思われる方もいるだろう。プロジェクターといえばスクリーン設置もセットに考えるのが一般的だ。

 筆者宅の壁は、白色の壁紙だが凸凹している。しかし実際に投写してみると、大して気にはならなかった。YouTubeやテレビの動画コンテンツもストレスなく観ることができる。

壁紙が凸凹していても、投写される絵は気にならない。間近で見れば別だが、そのような使い方はされないはずだ

 さらに、色の付いた壁ではどうか。木目の引き戸に投写してみたが、見るに堪えないというほどではない。もちろん色の再現性は損なわれるが、かるく視聴する程度なら問題ないだろう。

青いものは青く、緑のものは緑と、色はキチンと認識できた

 有効活用されにくい天井と壁を使って、配線なしで手軽に大きなスクリーンを追加できるpopIn Aladdin。団らんの場を新たに彩るアイテムとして、活用してみてはいかがだろうか。

畑中 二四