家電製品ミニレビュー

健康に不安を感じる40代、「黒にんにくメーカー」で黒にんにく作りに挑戦

 40代になると体力の低下をしみじみと感じ、無理できなくなったな、すぐ疲れるようになったなと思うことが増えた。

 年々、ドラッグストアやコンビニあるサプリメントなどに頼りがちだし、ダイエットやジョギングなどを始めてみても、なかなか長続きしないもの。そんな私が出会ったのが……、と続くと深夜の通販番組のようだがちょっと違う。

 健康食品とまではいかないが、体にいい食べ物として、最近口にしているのが、「黒にんにく」だ。これはにんにくを長期間加熱・熟成することで、ポリフェノールやS-アリルシステインなど、にんにくに元々含まれる成分を増加させたもの。名前の通り、中まで真っ黒なにんにくだが、それほど苦くなく、しっとり、ややねっとりした食べ応えだ。非常にフルーティで甘みも感じられ、これを毎日一片食べている。

 その結果、具体的な数値に現れるわけではないが、食べていなかった頃に比べて、ちょっぴり元気になったような、疲れがたまらないようになった、気がしている。もちろんこれは、個人の見解だ。

にんにくを長期間加熱熟成させた黒にんにく、体に良いと言われている

自宅ガレージでの黒にんにく作りに挑戦

 と、そこに面白い製品が登場した。それがエムケー精工の「黒にんにくメーカー BG-05T」、家庭で黒にんにくが作れる専用の家電だ。

 炊飯器ほどのサイズで、内釜とにんにくを置くためのトレイを内蔵。Mサイズのにんにくを16~18個セットして熟成する仕組みだ。

エムケー精工「黒にんにくメーカー BG-05T」。本体サイズは280×290×280mm(幅×奥行き×高さ)と炊飯器ほど
メーカー名エムケー精工
製品名黒にんにくメーカー BG-05T
販売価格19,800円

 実は黒にんにくは、専用家電がなくても作ることができる。ザルに入れたにんにくを炊飯器に入れて保温。そのまま10~18日ほど置けば黒にんにくができる。ネット上にも炊飯器を使ったレシピは数多く掲載されているが、当然作っている間は炊飯器が使えなくなる。

 またにんにくのニオイが炊飯器にこびりつくため、ご飯を炊くと強烈なにんにく臭がしてしまい、使いものにならなくなるのだ。また炊飯器で作る場合、こまめににんにくの位置を動かしたり、いつまで加熱熟成するか判断して、手動で保温を止める必要がある。

 しかし、「黒にんにくメーカー BG-05T」なら面倒なにんにくの位置替えの必要がなく、12日が経過すると自動的に電源が切れるため、加熱しすぎる心配もないというわけだ。

本体前面に液晶ディスプレイと開始ボタンを装備

 「黒にんにくメーカー BG-05T」で熟成にかかる期間は12日。電源を入れると本体正面のディスプレイには「288」と残り時間が表示される。ディスプレイの表示は内部温度(78℃など、時期によって加熱を休むこともある)と残り時間を交互に切り替わるが、この後は特にすることはない。12日間待つだけだ。

 ただし、黒にんにく作りにはひとつ注意がある。にんにくを加熱熟成させる以上、黒にんにくを作っているは結構なニオイがするということだ。今回エムケー精工さんから製品を借りる時に、ニオイに関しての注意を頂いていたので、自宅内での黒にんにく作りは断念し、自宅前の屋根付きガレージの中にある、物置の上に「黒にんにくメーカー BG-05T」を置いて黒にんにく作りに挑戦した。

トレイににんにくをセット。背が高いと入らない場合もある。
トレイについた取っ手をもってにんにくを釜に入れていく。

 用意したのは青森産と、大分産のにんにく。釜内にはにんにくを置くための2段トレイが用意されており、それぞれ8~9個のにんにくを置いていく。このときにんにくが大きかったり、背が高いとうまくトレイに収まらないことがあった。

 ただし、トレイの2段目と3段目には一部穴が空いているので、そこに芽の部分をはめることで、トレイに納めることもできた。後はふたを閉めて、「開始」キーを押すだけだ。

スイッチを入れるとガレージは常にペペロンチーノの香りに

 変化に気づいたのは電源を入れてから2日後だ。ガレージの奥とはいえ、風通りがある構造なので、それほどニオイはこもらなかったのだが、車に乗ろうとガレージに近づくとペペロンチーノを作っているようなニオイが漂ってきた。まさに刻みにんにくをオリーブオイルで炒めているようなニオイだ。

ガレージ内にある倉庫の上にセット。ここなら雨がかからない上に風も抜けるのでニオイもこもらない。

 とはいえ、ガレージの入り口は「黒にんにくメーカー BG-05T」の設置場所から数メートル離れていることもあり、ニオイは決して不愉快ではない。「ペペロンチーノ食べたくなるね」と冗談を言えるレベルだった。日によって匂いの強いときと弱い時があったが、それから十日間ぐらいはペペロンチーノのニオイを感じていた。

 ただし、屋外ガレージというオープン空間ではっきりとニオイを感じるくらいなので、屋内などの閉鎖空間で使うとそれなりに強い匂いになりそうだ。

 8日目に一度、中の状態を確認した。この時の残りの表示時間は77時間。この時点ですでににんにくの皮はかなり茶色になっているのがわかる。そして12日後、にんにくを取り出す。8日目と比べても皮の色は濃くなっていた。

スタートして200時間以上が過ぎた8日目。表面もしっかり色づいている。途中で開けると画面表示が切れるが、ちゃんと再開できる。
12時間が経過した後の状態。乾燥が進み、一部の皮はむけ始めていた。

 トレイから取り出したにんにくは3日ほど新聞紙の上に置いて陰干しする。この頃はもう強いニオイは感じなくなっている。

 そうして完成した黒にんにくが写真の通りだ。3日干したこともあり、市販の黒にんにくと比べると、熟成と乾燥が強めの印象。

 実際に食べてみると、黒にんにく独特のねっとりした食感で、やや苦みは強めだったが、市販の黒にんにくとの違いそれほど感じなかった。にんにくの乾燥状態によって仕上がりが変わってくるため、10日が過ぎたあたりから状態をチェックするのがよさそうだ。

真っ黒になったにんにく。市販品と比べるとやや乾燥が強め。陰干しがやや長かったかも知れない。このあたりは元のにんにくの状態にも左右される。

 こうして完成した黒にんにくは冷蔵庫なら約6カ月間冷凍庫に入れると約1年間食べられるとのこと。にんにく16個部分だから 1つ6片だとしても96片。1日1個食べるとして、約3カ月分の黒にんにくが1度に作れる計算だ。

課題は安い国産にんにくの入手とニオイ対策

 約100片の黒にんにくが作れる「黒にんにくメーカー BG-05T」。使ってみていくつかの課題がみえた。ひとつは前述の通り、ニオイに伴う設置場所問題だ。都市部では屋外で使う場合も近隣への配慮は必要だ。

 そしてもう一つがコスト問題だ。国産にんにくのMサイズは大体200円ぐらいで購入できるが、市販の黒にんにくは青森産の100g(18~20片)で500円~1,300円が相場。つまり、普通に買うと生のにんにくの方が高いのだ。中には90g入りで約400円というパックもある。

こちらは市販の黒にんにくのパッケージ。青森産にんにく90g(20片)で約400円と格安。
市販の黒にんにくとの比較。左が「黒にんにくメーカー BG-05T」で作った黒にんにく。にんにくそのものの見かけは変わらなかった。

 普通にスーパーで売っているにんにくを買っていては、割高になってしまうため、電気代や本体価格を考えると、できる限り安くにんにくを入手する必要があるというわけだ。ちなみに球がほぐれてバラになったにんにくが安く売っていることもあるが、残念ながら「黒にんにくメーカー BG-05T」では利用できない。

 コスト度外視で手作りにこだわりたい、福地ホワイト六片などブランドにんにくで作りたいというニーズには最適だろう。市販の黒にんにくを頻繁に食べているなら、ハードルはやや高いものの、手作りしてみるのも手だ。

 さらに作った黒にんにくはそのまま食べるだけでなく、ペペロンチーノや黒にんにく入りサラダなど、料理に使うこともできる。我が家では黒にんにくで作ったペペロンチーノが普段よりも美味しいと好評で、食べ方の幅も広がった。黒にんにくで元気になるだけでなく、アレンジした食べ方を考えるのも楽しいだろう。

黒にんにくで作ったベーコン入りペペロンチーノ。フルーティな甘みがクセになる味。我が家では普通のペペロンチーノより美味しいと評判だった

コヤマタカヒロ

フリーランスライター。1973年生まれ。学生時代より雑誌ライターとして活動を開始。PC、IT関連から家電製品全般までに造詣が深く、製品やビジネスを専門的ではなく一般の方がわかるように解説するスタンスで執筆活動を展開している。近年は、デジタルとアナログ、IT機器と家電が交差、融合するエリアを中心に取材活動を行なっている。雑誌やWebに連載多数。企業のアドバイザー活動なども行なっている。 Twitter:@takh0120