家電レビュー

東芝が掃除機の「毛がらみ」克服 メンテ楽で使いやすかった

2025年末に発売された東芝の最新トルネオ コードレス。最上位モデルのVC-CLZ74DS。ブラシにからまった毛をカットして、ダストステーションの紙パックに吸い込んでくれる

1931年、日本で初めての掃除機を発売したのは東芝。しかし登場から90年以上経つ今になっても未解決問題がいくつかある。それが「静音化」「吸引力と重さのトレードオフ」「髪・ペットの毛がらみ」だ。いずれも新型機では「従来比」で改善されているが、完全解決には至っていない。だが100年を目前にして「髪・ペットの毛がらみ」問題が解決したと断言したい。

それが東芝のスティック掃除機「トルネオ コードレス VC-CLZ74DS」だ。東芝のスティック史上で最強の吸引力かつ、ダストステーション機能でゴミ捨ては3カ月に1回。さらにステーションには、からんだ毛を自動でカットして回収する機能を新たに搭載している。

「ゴミ残しまセンサー」が進化! 見えないアレルゲンも可視化して逃さない

第一印象は、大型表示化された「ゴミ残しまセンサー plus」が非常に見やすくなったという点だ。ヘッドにレーザーやLEDを搭載して、見えづらいゴミを浮かび上がらせる掃除機(粒子状のゴミの横から光を当てるので、大きな影が出て浮き上がるように見える)もあるが、じゅうたんやマットの毛の隙間に入ったゴミまではさすがに見えない。

ゴミに横からライトを当てる

見えづらいゴミを浮かび上がらせるしくみは真横から懐中電灯で照らすのと同じ。ただじゅうたんの奥に潜む砂ゴミに対処できるものではない。

一方、東芝は微粒子のゴミでも検知できるセンサーを本体内に設け、ゴミが通ったかどうかを見分ける。床にゴミが残っていれば手元のランプが赤く光り、ゴミが無くなると消えるので、どんな床でもゴミの有無が分かるのが特徴だ。

ここまでのゴミセンサーを持ったスティック掃除機は数少なく、筆者の知る限り東芝以外に2社あるかどうか……という感じだ。中でも東芝は、掃除している床の方向、視線の先にランプがあるので、非常に見やすく、ゴミの有無だけでなく、掃除機の吸引力が棒グラフ状に表示される。そのため自分で吸引力を切り替えなくても、掃除機が自動で切り替えているのを確認しながら掃除が可能だ。

ゴミがない場合は、緑のランプが点灯。吸引力を落としてバッテリーを長持ちさせる
ゴミがあると赤ランプに切り替わり、吸引力MAXまで棒グラフが上がる。これで毛足の長いじゅうたんの奥に潜むゴミも吸い込む

じゅうたんに潜んだ砂ゴミを思い出してほしい。吸い込み時に「プチプチ」と音がするので分かりやすいが、花粉やPM2.5、ダニの死骸など音がしないゴミは、本当にキレイになったかどうかを判断するのは経験と勘が頼り。しかし「ゴミ残しまセンサー plus」なら、耳が聞こえにくい人や、お掃除初心者、アレルゲンが気になる人などにも、確実にキレイに掃除するのをアシストしてくれる。経験と勘に頼らなくても、誰でもお掃除上手になれるのだ。

ランプの延長線上には、バッテリー残量も色で表示されるので、急にバッテリーが切れて掃除が中断されるストレスも少なくなるだろう。

壁際の「残留ゴミベルト地帯」を一掃! 左右のキワまで極める新発想のヘッド構造

砂ゴミが多いご家庭や、ペットと一緒に暮らすご家庭でよくあるのが、壁際の1~2cmに帯状に残るゴミだ。まるでテープを貼ったかのように、ゴミが残っているエリアがある。ホコリやペットの毛なら、たいていの掃除機でもヘッド横の小さな隙間から吸い込めるようになっている。

しかしヘッド横の吸引力は極端に弱いため、重い砂ゴミや猫砂、ペットのフードなど重いゴミは吸い込めない。これはヘッドのブラシを回転させる幅数cmのモーターが、ヘッドの左右どちらかに入っているためだ。壁際1~2cmに残る「残留ゴミベルト地帯」の原因は、この2点にある。

しかし本機は、ヘッドを回転させるモーターを中央に搭載してて、ヘッドの左右いっぱいまでブラシがあり、壁際のゴミを残さない。さらに左右両端には、壁際専用ブラシまで設ける徹底ぶり。左右いっぱいまであるブラシを持つ掃除機は、本機以外にも2~3機種思いつくが、東芝は壁際専用ブラシまで持っている。だから「残留ゴミベルト地帯」がまったく残らなかった。

他の掃除機では壁際1~2cmほどの「残留ゴミベルト地帯」が残った。ブラシの回転数が変わらず、砂ゴミを弾き飛ばしてしまった
東芝はブラシ回転用のモーターを中央に配置。左右は壁の際のキワまで掃除できるように、専用の波型ブラシを設けている

自走式ヘッドや床材を見分けてブラシの回転数を制御する機能は、従来からの東芝製スティック掃除機を継承。じゅうたんを掃除する場合は、ブラシを速く回転させ、奥に潜むゴミを強力に掻き出しながらも、自走式ヘッドが楽々進む。

逆にフローリングに散らかるビーズのような小さい粒子状のゴミは、ブラシの回転数を落とすので、ビーズを吹き飛ばしてしまうことがなかった。

VC-CLZ74DSでは、残留ゴミベルト地帯がまったく残らなかった。フローリングではブラシの回転数を落とすので、砂ゴミが撒き散らかされない。この違いは大きい!

スタミナ50分のロングランを実現! 最強の吸引力を両立した新バッテリー

東芝のスティック掃除機は、現在すべてカセット式のバッテリーが採用されている。今回発売されたトルネオコードレス(VC-CLZ74DS)のバッテリーは25.2V/2.2Ahで、従来モデルのバッテリーよりも電圧が高く、さらにバッテリー容量も大きくなっている。

そのため吸引力を自動で制御する標準モードで掃除をすると、それまで連続運転時間が35~40分だったものが、50分まで使えるようになった。他社製品は連続運転が30分というものも多いが、東芝のお掃除できる時間はトップクラスで長い。

カセット式バッテリーなので、別途追加バッテリーを購入すれば連続運転時間が倍になり、余裕を持って大掃除に使える。一般的なスティック掃除機は、3~4年でバッテリーの寿命が来るため修理扱いでメーカーにバッテリー交換をお願いしなければならない。しかし本機の場合はバッテリーだけを購入して、自分で差し替えれば新品同様に長く使える。

カセット式バッテリーなので、予備を別途購入すれば運転時間は倍の100分! 年末の大掃除でも余裕。しかも3~4年でバッテリーの寿命が来たら、メーカーに修理依頼する必要がなく、バッテリーを買い替えるだけで済む

唯一の弱点は、吸引力が強力で大型バッテリーを搭載しているため2.3kgと重い点だ。ダストステーションから外そうと上に引き上げると重さを感じる。しかし床に置いてしまえば、自走式と重さのほとんどが床にかかるため、思ったほどずっしりとした重さを感じることはない。

現在のダストステーションは、本体を外すとき上に引き上げなくてはならないが、次のモデルで手前にカチッと引き出すようになるなどの改良が加えられることに期待したい。

壁やエアコンを掃除するには重いが、普段使いではほとんどの重さが床にかかり、自走式でスイスイ進むので思ったより軽い。ダストステーションからの取り出し方は、手前に引くだけで分離できるなどメーカーに工夫してもらいたいところ

掃除機がけと水拭きを同時進行! 超時短でツルツル床を裸足で歩く楽しさ!

「うちは掃除機がけをしたあとに、クイックルワイパーで水拭きしたり、乾拭きをして仕上げる」というご家庭も多いだろう。メーカー調べでは、フローリングを裸足で生活するスタイルが、ここ数年で増えているとのこと。そんな掃除スタイルを「時短」する人気のヘッドが、本機には添付されている。それが東芝独自の「吸い拭き2WAYワイパー」だ。

2年ほど前から東芝のスティック掃除機の上位モデルに添付され、クイックルワイパー用などのシートを取り付けることで、吸い込み掃除をしながら、同時に拭き掃除もできるというものだ。もちろんドライ、ウェットの両シートが使えるので水拭きも可能。つまり掃除機がけと乾拭き、または水拭きが同時にできるので、掃除時間を半分に時短できるというわけだ。

ヘッドの先端には、ゴミを吸引するスリットがあり、その後ろにワイパーシートが付けられる
掃除機がけとワイパーがけ、水拭きを同時進行できるから、お掃除の時間は半分に時短できる。裸足族も大喜び

その秘密は、ヘッドの裏側にある。ヘッドの前側には小さな吸い込み用のスリット穴があり、その穴の後ろはマジックテープになっていて、ワイパーシートがワンタッチで付けられるようになっている。標準のヘッドのようにブラシがないのでじゅうたん向けではなく、あくまでフローリング専用のヘッドだ。

一般的なウェットシートはアルコールを含んでいるものが多く、クレヨンや油分の多い汚れでも何往復かすると拭き取れるので、ときには標準のブラシヘッドよりも汚れ落ちがいいと、ユーザーにも好評ということだ。

驚きの「毛がらみカット」機能! ダストステーションが実現する“手を汚さない”自動お手入れ

新しいトルネオコードレスで最も進化したのが、ダストステーションだ。

ダストステーションは充電器とゴミ回収を兼ね備えていて、掃除を終えて本体をダストステーションに戻すと、本体のダストカップに溜まったゴミをダストステーションの紙パックに回収。のちに自動的に充電を開始する。

サイクロン式のスティック掃除機では、ダストカップのゴミがゴミ箱に落ちず、手で取り出したり、箸でつまみ出したりというお困りごとが上位を占める。本機ならゴミは自動でダストステーションの紙パックに回収されるので、ゴミ捨てで部屋にホコリが飛散したり、手を汚すことがない。

でもそれだけなら、ロボット掃除機をはじめ各メーカーのスティック掃除機でも多く採用されているが、東芝は一味違う。

ダストステーションの進化がビックリ! 先端ツールやダストステーションの紙パックの予備を片づけられる、左横のバスケットも使いやすい! 何で今までこれがなかったの? と思うほど

まず東芝独自の機能その1が、ヘッドのブラシに絡まった髪の毛をカットしてダストステーションの紙パックに吸い込んでくれること。たとえ自分や家族の髪の毛でも、ブラシに猛烈に絡まった髪の毛を、ハサミで切っては手で引っ張って掃除をするのは抵抗がある。

しかし手を触れずに、ブラシの毛がらみを自動で掃除してくれるのはかなりうれしい機能だろう。しかし筆者の知る限り、日本で販売されている海外製の掃除機も含めて、このような機能を持つ掃除機は東芝だけだ。

ダストステーションに戻した後のブラシ。中央のグレーの部分に短い毛が2本ほど残るだけで、ブラシに絡まっていた髪の毛はすべてダストステーションの紙パックへ! これは超便利だ!

ダストステーションの本体を支える部分には、極小のハサミが何個も並べられ、本体をダストステーションに戻すとハサミが動作して、ブラシに絡まっている髪の毛を細かく切り刻んで、ダストステーションの紙パックに吸引・回収する。ハサミを高速に動かすので、ガガガ! とけたたましく、赤ちゃんの寝ているときや壁が薄い集合住宅では夜間には使いにくいのが難点だ。ただしダストステーションの設定で、ゴミの回収と髪の毛のカットを停止することができる。

溝の奥にある黒い部分がハサミになっている。つまり何十個かのハサミで絡まった髪の毛を細かく刻む!

さらに東芝独自の機能その2が、本体のダストカップだけでなく、サイクロン機構やヘッドからダストカップにかけてのゴミの経路すべてを、自動でメンテナンスしてくれる点だ。

スティック掃除機をお使いの方はご存じの通り、ゴミを吸う経路やフィルター、サイクロンは何カ月か使うと汚れが溜まる。そこで定期的に水洗いして、ニオイを防止している人もいることだろう。東芝の自動メンテナンス機能は、本体をダストステーションに戻すたびにゴミの経路とサイクロン機構を、強力な吸引で吸い込んでキレイにするので、水洗いの回数を大幅に減らせるようになっている。

ダストステーションに戻すたび自動的にメンテナンス。ゴミが通る経路を強力なエアーで掃除
サイクロン機構も自動メンテナンス。普段のお手入れがグンと楽になる

毛ゴミの悩みから解放。忙しいあなたに使ってほしい「時短掃除機」

長い髪の毛の家族が多い、ペットと一緒に暮らすといった家庭は、どうしても掃除機のヘッドに毛がからみやすくなる。本機をオススメしたいのは、まずこれらのご家庭だ。

ダストステーションに戻すだけで、からまった髪の毛などをカット。さらに本体のダストカップに詰まってなかなか取り出せない毛ゴミに絡まったゴミも、強力な吸引力でダストステーションの紙パックに自動回収してくれる。

髪の毛が長い家族が多い家庭や、ペットと一緒に暮らす家庭にオススメしたい

本体のダストカップのゴミ捨てで、詰まりや粒子ゴミの飛び散りが気になる人にもぜひオススメしたい。手を汚すことなくゴミ捨てが簡単になり、ダストステーションの紙パックの交換も3カ月に1回だけで済む。

さらに東芝独自の「吸い拭き2WAYワイパー」なら、掃除機がけとワイパーがけが同時にできるので、お掃除時間を半分まで短縮できる。PM2.5や花粉のシーズンなら水拭きもできるので、アレルギーが気になる人もうれしいだろう。

藤山 哲人

家電の紹介やしくみ、選び方や便利な使い方などを紹介するプロの家電ライター。独自の測定器やプログラムを開発して、家電の性能を数値化(見える化)し、徹底的に使ってレビューするのをモットーとしているため「体当たり家電ライター」との異名も。 「マツコの知らない世界」(番組史上最多の5回出演)「ゴゴスマ」(生放送2回)「華大の知りたいサタデー」(生番組4回)「アッコにおまかせ」「NHKごごナマ」(生放送2回)「カンテレ ワンダー」(5回)「HBC 今ドキ!(生中継4回)」はじめ、朝や昼の情報番組に多数出演し、現在インプレスの「家電Watch」「PC Watch」やサイゾー「ビジネスジャーナル」などのWeb媒体をはじめ、毎月ABCラジオなどで連載やコーナーを持っている。 趣味は、鉄道、飛行機、バス、車の旅行や写真とシステム&構造。電子工作、プログラム。あと神社めぐり。

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