家電レビュー
セカンド冷蔵庫はお父さん専用でいいよね? シャープの「グルメクール」で趣味全開!
2023年12月26日 08:05
近頃はキッチン以外の場所にも小型の冷蔵庫を置いて、セカンド冷蔵庫として活用する家庭が増えているのだとか。テレワークで在宅勤務が当たり前になり、居酒屋やバーから家呑みに切り替えた人も少なくないはずなので、たしかにそういうニーズはありそうです。
たとえば仕事中に小腹が空いたり喉が渇いたりしたとき、冷たい食べ物・飲み物がすぐ手の届くところにあるとどうなのかな、なんて筆者も想像してみました。もしかしたら仕事が今よりはかどるかもしれないし、QOLも爆上がりするような気がします。
実際のところどうなのか気になったので、シャープの冷蔵庫「グルメクール FJ-HM7K」をメーカーからお借りして、セカンド冷蔵庫として1カ月間余り試してみました。結果、仕事にはまるで影響はなく、代わりに「お父さんの趣味全開!」なコーナーができあがったのでした……。
子供の成長とともに手狭になってきた冷蔵庫
そもそも冷蔵庫が追加で欲しくなるのは、以前だと「キッチンの冷蔵庫が手狭になったから」という理由が多かったのではないかと思います。
筆者も結婚を機に冷蔵庫を新調しましたが、子供2人が生まれ成長するとともにだんだん容量不足を感じるようになってきました。家族の食べる量、つまりは必要な食材が増えているので当然のことではあります。
ただ、そのメインの冷蔵庫を買い換えるにはまだ早いかな、という感じ。よく考えてみたら我が家の冷蔵庫は12年選手だったので、そろそろ買い換えてもいい頃合いなのかもしれませんが、異音もしなければ冷蔵・冷凍能力にも衰えはなく、掃除をサボっていてちょっとキタナイことを除けば新品同様です(個人の見解です)。
しかしながら、ここ数年の容量不足感はいかんともしがたく、実はコロナ禍の初期にセカンド冷凍庫を購入していました。食べきれなかった白米のほか、かさばるうえに傷みやすい肉や魚などの食材は冷凍保存したいこともあり、特に冷凍室の方がキャパオーバーになっていたからです。
あと、アイスクリームをこっそり買っておいて、こっそり食べたかった、というのもあります。まあ、これについてはセカンド冷凍庫が上開き、かつ底が深い機種なので見つからないだろうと高をくくっていたら、これも子供の急激な成長とともに完全に目論見が外れましたが……。
ともかく、セカンド冷凍庫で冷凍保存の課題は解決できたものの、冷蔵室については相変わらず。なかでも圧迫していたのは飲み物系で、定期的に箱買いしている炭酸水と、今やお父さん(筆者)の数少ない趣味となっている晩酌用のビールをはじめとする酒類が大半を占めつつありました。
他の食材をなんでもかんでも野菜室や冷凍室に放り込むわけにもいきません。そんなときにお借りできたシャープの「グルメクール」、だったらこれを飲み物系の保存場所にしてみよう、と考えました。
使い道に迷ってしまう9段階の温度設定
「グルメクール」の使い道を考えていたとき、本当のところはけっこう迷いました。というのも、グルメクールは「冷蔵庫」でありながら冷凍にも対応するからです。温度設定は計9段階あり、「冷蔵モード」では0℃/3℃/6℃に、「微凍モード」では-7℃/-5℃/-3℃に、「冷凍モード」では-21℃/-18℃/-15℃に、それぞれ設定可能です。
この温度設定の範囲を見る限り、冷凍系の食材に使うのが圧倒的に便利な雰囲気。先述の通りセカンド冷凍庫はすでにあるので「冷凍モード」は使わないにしても、「微凍モード」の絶妙な冷やし具合にマッチする使い方を考えるのは楽しそうです。
「微凍モード」は生鮮食品の長期保存にも向いているようですが、日本酒をガンガン冷やすのもいいし、適正温度に切り替えて旨さを引き出すのもいいかもしれません。
とはいえ最初に使い道をある程度固めてしまうと、この温度設定に触れることはほぼなくなってしまうでしょう。冷凍食材を保存するなら冷凍モードの3段階のなかでまれに変えることはあっても、微凍モードや冷蔵モードに切り替えることはまずありません。
反対に、飲み物にちょうどいい冷蔵モードから冷凍モードにいきなり切り替えることもないはず。モードを切り替えるということは、基本的にはごっそり中身も入れ替えることを意味するからです。
だからといって温度設定機能が不要というわけではありません。いずれライフスタイルに変化があって用途が変わるようなことがあれば、温度設定を変えたくなることもあるでしょう。冷蔵庫として使い始めてみたけれど、やっぱり冷凍食材を保存したくなったから別にもう1つ冷凍庫を買わなきゃ……みたいなときに無駄な出費をせず、設定変更だけで対応できるのは助かります。
絶対に用途を変えないなら、それに合った温度範囲のセカンド冷蔵庫(冷凍庫)を初めから選べばいいのですが、いつ人生のモードが切り替わるかは予測できないものです。
それはそうと、飲み物系の保存場所にすると決めた筆者は、冷蔵モードの「0℃」に設定することにしました。どちらかというと飲み物はキンキンに冷えているのが好きな筆者としては、ビールも日本酒もギリギリまで冷たくしたい。
でもチーズなどのおつまみ系を保存する可能性もあり、炭酸飲料を入れるのも確定的。その場合、零下にすると凍ってしまう可能性がありますが、0℃なら大丈夫なはずです。
また、「グルメクール」は冷凍モードなど極端な低温で利用するのにはやや不利な部分もあるように思いました。前開きドアという構造上、開いたときに内部の冷気が一気に漏れ出しやすい(ように感じる)からです。
開け閉めしない状態が続いているとほとんど無音ですが、温度が上がって冷却が必要な状況になるとそれなりに稼働音が耳につきます。その分電力も消費するだろうということで、多少冷気が奪われても閉じれば元の温度に戻りやすい冷蔵モードの方が合っているように感じ、0℃で運用することに決めたわけです。
「趣味用」なら容量は十分以上、内部レイアウトの自由度も高い
設置場所は筆者の仕事部屋にほど近い1階の玄関。ここにはセカンド冷凍庫が設置されており、その横の空きスペースに今回の「グルメクール」がぴったり収まりました。
サイズは49.5×59.8×77cm(幅×奥行き×高さ)となっており、奥行きは少しあるものの横幅は意外とスリムで、思っていたよりコンパクトに設置できたな、という印象です。
前開きのドアは商品到着時は右開きですが、左開きに変えることもできます。変更手順は説明書で詳しく解説されていて、工具としてはせいぜいマイナスドライバーがあればいい程度。ユーザー自身の手で付け替えるのも難しくありません。
試しに左開きに変更してみたところ、かかった時間はわずか1~2分といったところ。筆者宅では設置場所の左側に壁があり、ドアを大きく開くことができない可能性があったので、結局右開きで使用しましたが。
内部容量72Lはまさしくセカンド冷蔵庫な感じで、大容量とは言えないけれど、「お父さんの趣味」用としては余裕がありすぎるほどです。内部にある2枚の仕切りと引き出しは、付け外しすることでレイアウトのアレンジも可能。
筆者は350ml缶や500mlペットボトルを立たせて並べつつ、日本酒などの四合瓶(720ml瓶)を横に寝かせる形にしましたが、引き出しを取り外して大開口のレイアウトにすれば一升瓶を立てて保存することもできます。
同じお酒が趣味だとしても、好みは人それぞれ。筆者のように缶ビール好きな人もいれば、瓶ビール中心の人もいるでしょうし、日本酒や焼酎などにこだわっている人もいるはず。
レイアウト変更でそれらさまざまなサイズ・タイプの容器に対応しやすく、しかも温度設定ができるので酒類に応じた温度管理もOKというのはなかなかのスグレモノ。ちなみにワインセラーとして使うには最高設定の6℃でも温度が低すぎると思われるので、そこは注意が必要です。
トップテーブルもフル活用、使い方によっては副次的効果が?
「グルメクール」には内部以外にも保管場所が用意されています。それはトップテーブル。前開きドア、かつ高さ77cmということで天板を利用しやすく、耐荷重も30kgまで、耐熱100℃とかなり頑丈です。
電子レンジを置いてもいいですし、今回は設置場所が玄関なのでお出かけアイテムの置き場所にするのもアリですが、これは「お父さんの趣味」用セカンド冷蔵庫、遠慮なくここもお父さん用スペースにしたい所存。
たとえば冷温保管する必要がない洋酒などをトップテーブルに置いておけば、コレクション的にも魅せられます。安っぽい銘柄が並んでいると気分が上がりませんが、そういうのは奥の方にして、とっておきを前出ししておけば大丈夫。
ただ、見栄えを気にするあまり、買い物のときにいつもよりワンランク上のお酒を購入したくなってしまうのが困りどころでしょうか。
結局筆者は、ウイスキーやスピリッツ系の酒瓶の他に、これまで欲しかったけれどガチっぽくなるので家族の手前なんとなく購入を踏みとどまっていたアイスペール、アイスピック、30/45mlを簡単に計れるメジャーカップ(カクテルバーとかで使われているアレ)を一気に揃え、トップテーブルに置いておくことにしました。
これによって晩酌に必要なものはすべて「グルメクール」周りに集約されることに。すぐ隣にあるセカンド冷凍庫で作った大きめの氷を砕いてアイスペールに入れ、ウイスキーと炭酸水を自分の(仕事)部屋に持ち込んでちびちびやる。日々の晩酌タイムが最高のひとときになったのは言うまでもありません。うめーーー!
ところで、こうやってトップテーブルに酒類を置いていると、子供が近づかず、中を覗き見られることがないというメリットもあったりします。実際、試用していた1カ月間、子供たちは一度たりともセカンド冷蔵庫に触れることがありませんでした。本能的に「この中には自分(子供)向けのものがない」と感じたのでしょうか。
デザインがシックな大人を感じさせるシルバーカラーだから、というのも理由かもしれませんが、とにかくお酒と一緒につまみたいチョコレートやスイーツなんかを保存しておいても問題なし。セカンド冷凍庫では失敗に終わった「こっそりアイスクリーム」ですが、セカンド冷蔵庫での「こっそりスイーツ」は今のところ負けなしです。はっはっは!
セカンド冷蔵庫なら独り占めしやすい! ……かも
1カ月余りに渡って冷蔵モード0℃で運用してきた「グルメクール」ですが、冷蔵食材の分散保存の面でも、「お父さんの趣味」を充実させるという意味でも、すっかり手放せない1台になりました(返却しなければならないのが辛い!)。
メイン冷蔵庫を新しく買い換えた場合、子供もいる家庭ではどうしても家族寄りの使い方になってしまいます。いくら大容量化して内部に余裕があっても、そこに「お父さんコーナー」を作るのは許されず、たとえ作ってもなし崩しで全てが家族共用スペースになることでしょう。でも、セカンド冷蔵庫なら1人で独占することも不可能ではありません。
筆者のように晩酌用コーナーにするのもよし、スイーツやアイスクリームを詰め込んで自前のオフィス置き菓子サービスみたいにするのもよし。そのときのコツとしては、できるだけキッチンやダイニングから離れた場所に設置することでしょうか。そうすることで「お父さんの趣味」とは無関係な食材を突っ込まれることを防げます。「とっておいたプリン、勝手に食べたでしょ!」みたいな家族間の不毛な争い、無用な軋轢を生むこともなくなるのではないでしょうか。