家電レビュー

アイリスのスリムなセカンド冷凍庫を仕事部屋に置いたらサイコーだった

アイリスオーヤマ「冷凍庫 KUSN-8A」はスリムタイプの冷凍庫。容量は80Lでサブの冷凍庫として十分大容量です

今年の夏はとても暑い、ような、気がするのは、筆者だけではないですよね? 連日外気温が35℃とか37℃とか……こんなでしたっけ? 日本の夏って。

そんな猛暑からの流れで、我慢できずに「冷凍庫」を買ってしまいました。仕事部屋用に。もう後継機種が出ているかもしれない旧機種ですが、アイリスオーヤマの「KUSN-8A」という機種です。容量80Lのスリムタイプで、横幅は35.6cmしかありません。

仕事部屋に置くためにスリムタイプを選択。リビングにある冷蔵庫に入りきらない・すぐに使わない冷凍食材を入れたりしていますが、おもな目的は「氷を思う存分使うため」です。

仕事部屋にはホテルにあるような小型の冷蔵庫もありますが、それだと「氷を作るのに10時間以上」かかってしまいます。また10時間以上かけても、製氷皿上全部が氷になるわけでもありません(端は冷水状態)。最も強く冷やす温度設定にしても、夏だと昼間の室温が30℃以上になりがちな拙宅仕事部屋では力不足の小型冷蔵庫。

仕事部屋の小型シンクの下にある小型冷蔵庫。パナソニックならぬナショナルの「NRA5T11」という機種です。このサイズの冷蔵庫はパーソナルユースにちょうどいいのか現在も健在で、1万円程度で購入できるようです。容量45L程度の製品が主流で、サイズはどれもほとんど同じ。宿泊施設などでの定番小型冷蔵庫なんでしょうね。……これ、もう使い始めて23年目ですが、氷ができるのが遅いということ以外はバッチリ現役です
容量は49Lで、2Lペットボトルなんかも入ります。ひとりで使う「冷蔵庫」としては十分な容量と使い勝手がありますが、氷の製造能力は決して高くありません。ちなみに庫内右上が氷を作ることもできる小部屋。製氷トレイを入れても、トレイの小部屋前後近くの部分は氷ができなかったりします

ということで冷凍庫を導入。その日から毎日たっぷり氷を製造。大量の氷を短時間で作れますので、仕事部屋で氷を使い放題の日々となりました! サイコー!

仕事部屋で冷たい飲み物を楽しむの図。飲み物は単なるサントリー「なっちゃん りんご」です。緑色のケースに冷えた「なっちゃん りんご」のペットボトルが入っており、それを氷入りのグラスっていうかマグに注いで冷え冷え状態にしていただいております
なんで? 普通のリンゴジュースが冷え冷えにするだけで、なんでこんなおいしいの? なんなの氷って? すごくない氷? とか飲むたびに思います

お一人様用に容量80Lの冷凍庫ってヤリ過ぎじゃない?

氷を欲して仕事部屋に自分専用(のようなもの)の冷凍庫を置くって、ヤリ過ぎじゃない? と思われたかもしれません。いや、筆者もややそう思います。

ただ、これにはいろいろ紆余曲折がありまして。それをちょっと書いてみます。

熱中症対策ということもあり、ここ数年の拙宅では、夏の氷の消費量が右肩上がり。台所にある冷蔵庫の製氷機能では間に合わず、ロックアイスを購入してくる日々が続いていました。

こんなに氷を使うんなら、氷を作る専用の機械とかを……と思って調べてみたら、今は家庭用の氷製造機みたいなのがあるんですね。小型のとか。Amazonで「製氷機」で検索すると多々ヒットしますが、1万円〜2万円という価格帯で、最短6分とかで氷を自動製造する機械が売られています。

あっじゃあコレ買っちゃおう……と思い、どれを選ぼうかとさらに調べていくと、ネガティブな評価も少々。氷が小さいとか、すぐ溶けちゃうとか。いい評判もあるんですが、これは筆者が求めている製氷機ではないな、と。

じゃあやっぱり普通に冷蔵庫を買おう。小さいやつを買って仕事部屋に置いて、飲み物を冷やして、氷も作ろう。そう考えました。

でも手持ちの小型冷蔵庫のような製品だと、性能的に氷製造がビミョー。なので2ドアの氷専用室がある小型冷蔵庫を買おう! となりました。

しかし調べてみると、そういう、いわば一人暮らしの人が使うようなパーソナルな冷蔵庫で、冷凍庫付きのものって、案外フツーに大きいですね。フットプリントが広めなので、置き場所を取る。仕事部屋に追加で置くには……ちょっと、と。

うーん、なんか現在の拙宅環境にプラスして置ける冷蔵庫とかで、氷足りない問題を補える製品はないものか? 氷……製氷……冷凍……と調べていたら、最近は「スリムタイプの冷凍庫」が人気だということを知りました。

ここ数年、コロナ禍もあり、内食(家で調理して食べる)需要が高まりつつ、そのつながりで冷凍食品が人気だそう。買い物の回数を抑えたいということも加わり、使用中の冷蔵庫に加えてサブの冷凍庫を買う人が急増したそうです。

でも幅広の垂直方向に食品を入れていく冷凍庫は背が低くフットプリントが大きく、置き場所が導入を阻みがち。そこで人気となったのがフットプリントが小さく狭めの場所にも置けるスリムタイプの冷凍庫なんだそうです。

冷凍専用かぁ、そこまでは……でも一応、そう思って調べてみると、えっ? 幅38cm? それってテンキーレスキーボードの幅くらいじゃん! 細!

えっえっ? 幅35.6cmなんてのもある! テンキーレスキーボードより幅狭ってこと?

いやそれなら仕事部屋にでも置けそう! じゃあ細い冷凍庫をプラスして氷製造量増やして拙宅の氷足りない問題を解消しつつ、飲み物はいまの小型冷蔵庫で冷やすパターンで!

アイリスオーヤマ「冷凍庫 KUSN-8A」はスリムタイプ。サイズは35.6×55.5×99.6cm(幅×奥行き×高さ)で、横幅はテンキーレスキーボードより狭いんです

アリだなスリムタイプ冷凍庫……と思いつつ詳しく調べていくと、冷凍庫には直冷式とファン冷却式があり、直冷式は霜が付きやすく手入れが面倒らしい。ファン冷却式は霜が付きにくくて手入れがラクそうだということがわかりました。

ちなみに直冷式はファンがないので動作音がより静かで、その分の消費電力も少ないので少し経済的。ファンのための構造がないので内部空間も広いそうです。

ファン式は、ファンで冷気を循環させるため、庫内を速く均一に冷やせるという利便がある一方、ファンによる音や消費電力がある分、騒音や経済的にはややデメリットがあります。

じゃあ、より庫内が広く構造もシンプルな直冷式が……と思ってしまいますが、直冷式は一定期間ごとに霜取りをする必要があります。霜取りは人の手で行なうので、そのときの手間があり、ドアを開いて冷気が外に出ていくことにもなります。そのとき庫内の食品は? 庫内温度が上がったときのロスはどのくらい? という考え方もでてきますが、まあそのあたりは使い方や考え方次第だと思います。

筆者の場合は……じゃあ扱いがラクそうで冷えるのも速そうなファン冷却式のスリムタイプ冷凍庫で! 在庫薄でしたが運良く在庫を見つけられて即購入。

購入したアイリスオーヤマ「冷凍庫 KUSN-8A」は49,800円で、相場より少し高い値段だったかもしれません。

なお、「KUSN-8A」は現在は廃番品のようで、後継機種は「IRSN-8A」だと思われます。この後継機種は45,000円くらいで売られていることもあるようです。

やや余談ですが、購入した冷凍庫は、耐荷重と安定性の高い台車(全方向キャスター付き)の上に乗せて使っています。「冷凍庫のある場所で一時的に作業をしたい」ということがあるので、冷凍庫を容易に移動させられるようにです。30分や1時間くらいの作業なら、冷凍庫内の食品などはまず溶けませんので、移動中は電源オフ状態。キャスター台車上では地震時などに危険性が増しますので、独自の移動・転倒防止措置も行なっています。

冷凍庫を導入して仕事部屋の生活がどう変わったか

普通のご家庭でサブの冷凍庫を導入したら、きっと「アイスや冷凍食品のまとめ買いができて便利」「スーパーに行く回数を減らせてラク」「作った料理や炊いたごはんをたくさん冷凍保存できて効率的」といったメリットにつながると思います。筆者の場合も、まあ完全に一人で使っているわけではありませんので、拙宅的にもそういうメリットが生まれました。

拙宅にてアリガチな「なんとなく買ったけど大して食べないので余りがちなアイス類」はメイン冷蔵庫を出て、製氷庫に。メイン冷蔵庫に余裕ができて快適になりました

その一方で、仕事部屋での生活がけっこう大きく変わりました。筆者は1日の大半を仕事部屋で過ごしていて、時間にして12時間くらいは仕事部屋におります。12時間全部仕事ではなく遊んだり妄想したりもしておりますが、活動時の主な空間が仕事部屋。

冷凍庫を導入したことでまず変わったのは、少々前出しましたが、氷をいつでも自由に使える点。まあ「使う前に製氷したら」というのが前提ですが、冷凍庫に製氷皿を入れると、2時間程度あれば確実に氷を作れます。入れ方を変えればもっと速くできると思います。

ということで、いつでも氷を浮かべた冷え冷え状態の飲み物を飲めるようになったのが大きな変化です。キッチンの冷蔵庫にも氷がありますが、以前は「まあ飲み物冷えてるしいいか氷はなくても」と氷ナシで飲んでました。すぐ温くなるので断熱マグとか断熱ケースとか使って。それでも冷え冷えの感じは短時間でしたけど。

しかし氷をいつでも即たっぷり使えると、飲み物がいつでも冷え冷えでサイコーなんです。ってアタリマエ過ぎることを書いておりますが、手を伸ばしてドアを開くとそこに山盛りの製氷済み氷が。結果、氷を「超使う」ようになり……いや「冷え冷えドリンクを超楽しむ」ようになりました。

こちらは冷え冷えのアイスコーヒー。5cm角のキューブアイスが(ソレ用の製氷皿で)作れますが、冷凍庫だとより短時間で大きな氷を製造できます。以前の筆者はポーションのコーヒー(のもと)を冷やしておいて、それを冷やしたミネラルウォーターで割って飲んでいました。が、氷をたっぷり使えると常温のポーションコーヒーを温い水道水で割ってコーヒーを作っても、氷のパワーで冷え冷えにでき、液体の冷やし場所などの要素を減らせてスッキリしました

そうしていたら副次的効果に気付きました。氷を好き放題使うようになってから、「あっヤバこれって熱中症のなり始め?」みたいな状態は未経験。冷房や扇風機の使い方は以前と同じで、気温は以前より高くなったと思いますが、冷たいものを頻繁に飲んでると物理的に体が冷えるんでしょうかね。朝から夜までずーっと体調がイイです。

冷凍庫において、氷はだいたいいつも製造中。大きめのシリコン製製氷皿を4段重ねたりして作っていますが、そんな状態でも「夜入れれば翌朝には必ず氷ができている」という冷却能力があります
作った氷は「ジップロックコンテナー」に入れています。1,900mlの長方形ジップロックコンテナーが、この冷凍庫の引き出しひとつに4個ぴったり収まります

あと、これはメリットかどうかわかりませんが、製氷皿をアレコレ買って試しており、おかげで製氷皿はどういうのがイイのかよくわかってきました。家庭用冷蔵庫だと自動製氷機能があったり、新しい製氷皿を置くスペースにすでに別のものが入っていたりして、なかなか興味本位では試せませんが、お一人様用的に使える冷凍庫だと、興味本位で製氷皿を試しまくり=ヘンなカタチの氷を作ったりしまくれて、まあ趣味的にってことですが愉快です。

筆者がめくるめく製氷皿の世界を楽しんだあと、洗われしまわれ次回の出番を待つ製氷皿たち。順繰りに使ったりしています。透明のビニール袋に入れて部屋の高所から吊して保管していますが、これは秋葉原にある「秋月電子通商」の倉庫を見てまねた方法。床が狭くならず、透明なのでパッと見で中身がわかり、保管に使う透明ビニール袋も安価。筆者は革命的な方法だと感じており、秋月電子通商さんに感謝しております(秋月さんではもっと巨大・強靱な袋を巨大な倉庫で使っていましたが)

製氷皿はおもにAmazonで買いますが、購入時にカスタマーレビューをチェックしますと、評価がけっこうバラバラだったりします。なんで? と思っていましたが、たぶんご使用の冷蔵庫の製氷能力の違いなんでしょうね。

また、たぶんですが、製氷皿メーカーによっては冷凍庫のような「短時間で氷を作れる装置」で製品の開発やチェックを手っ取り早く行なっていて、商品の謳い文句と消費者の使用感にズレが生じているのかもしれません、たぶんですが。

ちなみに筆者が購入した冷凍庫で各種製氷皿を使っていますが、どの製氷皿もだいたい製品の謳い文句どおり問題なく氷を作れています。製氷がうまくいかなかったとか、そういう問題は出ていません。

以前、自宅の普通の冷蔵庫の冷凍庫で「球状の氷」を作る製氷皿を使ったことがありますが、時間はかかるわ透明な氷はできないわで失望したことがあります。冷凍庫を買ってから球状氷製造用の製氷皿をいくつか使ってみましたが、どれもしっかりボール状の氷ができました。時間をかけて凍らせるタイプの製氷皿だと、透明度が非常に高い球状氷ができました。

丸い氷を作れる製氷皿で球体の氷を作り、ウィスキーオンザロック。表面積が少ないことに加え、冷凍庫は氷の温度も低いので、なるほど氷が長持ちし、ウィスキーが薄くなりにくい。ただしこれは時間をかけて(水のなかの不純物を抜きながら)氷を作るタイプの製氷皿ではないので、氷の内部は白くなってしまいます

ただ、冷凍庫についてデメリットもあります。それは朝起きて冷凍庫を置いた仕事部屋に入ると、室温がミョーに高いことです。

冷凍庫が発する熱はけっこうあるようで、冷凍庫の放熱部(この冷凍庫の場合左右側部)から熱が出ていることが多いように感じます。コンプレッサーの音は静かな状態でもさほど気にならない程度ですが、発熱は、なんか、夏の時期だとちょっとイヤですね。仕方のないことですが。

てな感じのアイリスオーヤマ「冷凍庫 KUSN-8A」。すでに廃番となったと思われる製品なので、今回は「仕事部屋で氷を存分に使いたいライターが紆余曲折してスリム冷凍庫を買った話」的な読み物としてまとめてみました。これからサブで冷凍庫を買おうという方のご参考になればさいわいです。

スタパ齋藤