家電レビュー
スマートコーヒーメーカーはハンドドリップの味を超える!? Geviの最新マシンを使った
2022年4月19日 08:05
グラインダーやスケール、ケトル、ブリューワーの機能を一体化させた「Gevi 4-in-1 スマートコーヒーメーカー」スマートコーヒーメーカー」が7月にシナジートレーディングから発売されます。タッチディスプレイを搭載し、注湯温度や速度を設定することで、自分好みのコーヒーを淹れることができるといいます。
本発売に先駆け、4月18日から応援購入サービスのMakuakeで数量限定・特別価格にて販売されています。4月18日時点では52%オフの59,520円から購入可能です。使い勝手、そして味はどうなのでしょうか? テスト機を借りることができたので使ってみました。
注湯温度や速度をカスタマイズできるコーヒーメーカーが気になる!
面倒くさいコーヒー飲みのオグチです。
長年コーヒーを飲み続けてきたせいか、味にうるさく「この酸味は好きじゃない」などと口にしてしまう……。そのくせ面倒くさがりで、毎日飲むコーヒーはほぼ全てコーヒーメーカーに頼りきり。そんなダブルで面倒くさいコーヒー飲みの私のもとに、究極の次世代コーヒーメーカーのレビュー機がやってきました。
以前、バルミューダのコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」をレビューしました。そのとき思ったことがあります。プロのハンドドリップの味を再現したのは素晴らしいのですが、コーヒー好きは注湯温度や速度を自分でカスタマイズしたくなるんじゃないかと。
関連記事:バルミューダのコーヒーメーカーで飲み比べ。スタバモデルとの味を比較してみた!
この「Gevi 4-in-1 スマートコーヒーメーカー(以下、Gevi 4-in-1)」は、それが可能。しかもグラインダー(ミル)やスケール(はかり)の機能も搭載し、これ1台で全てがまかなえるというじゃないですか。否が応でもテンションが高まります。2017年設立の米キッチン家電ブランド「Gevi」の製品で、日本ではシナジートレーディングが正規代理店となります。
まずは外観から見てみましょう。サイズはそれなりに大きいですが、設置面積は30cm四方あれば収まります。重量は7.65kgとずっしり。重厚感のあるデザインと質感がプロ用製品を思わせます。カラーは今回お借りしたシルバーと別にブルーも用意されています。実物を見ていませんが、ブラック寄りのブルーをベースに、パーツの一部がゴールドで、別の重厚感があります。
本体の柱にあたるのが、加熱システムを内蔵したケトル、その左側にはグラインダー、手前には操作パネルと抽出の機構を備えています。左奥の平らなスペースは、コーヒー豆の重量を計測するスケールです。
グラインダー上部のホッパーと調整ダイヤルは、伝統的なプロ用機材のイメージで、コーヒー好きに安心感を与えます。ガラス容器(カラフェ)にカバーやドリッパーをセットした形状もなんだかセクシーです。全くコーヒーに興味のない人にとっても、なんだかすごそうな機械に見えるのではないでしょうか。
回転する注湯機構でムラなくコーヒーを抽出
Gevi 4-in-1は、粉からの抽出、グラインダーやケトル単体での使用など、多様な使い方が可能ですが、まずは普通に豆からコーヒーを淹れる手順を確認してみます。コーヒーを淹れるモードは、「簡単レシピ」「マイレシピ」「バリスタモード」の3種類。もっとも手間がかからないのは「簡単レシピ」で、杯数や濃さを選択すれば、あとはほぼ自動です。
ディスプレイから「簡単レシピ」を選択すると、タンクに水を入れるよう指示が出ます。水を入れると予熱が始まります。次に、「豆から」か「粉から」かを選択。「豆から」を選ぶと、ホッパーに豆を入れるよう表示されます。ちなみに、水、豆ともに自動計測機能を備えているので、必要な分より多めに入れる分には問題ありません。
そして、杯数(1〜4)や濃さ(ミディアム、ストロング、マイルドの3段階)を設定、ダイヤルで設定した挽き目を選択して「確定」します。
グラインダーの下(本体の左側)に、ドリッパーをセットしたカラフェを置くと、そこに挽かれた豆が落ちてきます。カラフェを右側へとスライドすると、注湯が始まります。これらの手順は画面に表示されるので、取扱説明書を読み込まなくても使えます。ちなみに、Gevi 4-in-1が“全自動コーヒーメーカー”を謳ってはいないのは、この一部の手作業があるからかもしれません。
お湯の落ちてくる穴は3つあり、360度回転しながらムラなく注湯します。コーヒーメーカーとしては最もハンドドリップに近い注湯を再現しているといって良いでしょう。画面には、経過時間と注湯量がグラフとしてリアルタイムに表示されます。「コーヒーは科学なんだよ!」と言いがちな理屈っぽい男性には響く機能ではないでしょうか(笑)。
さて味ですが、おまかせの「簡単レシピ」でも十分にレベルの高さを感じました。味も香りも普及価格帯のコーヒーメーカーとは明らかに異なります。これはグラインダーの性能と回転する注湯によるところが大きいと思われます。
プロのあらゆるレシピを再現できる
「簡単レシピ」でも十分満足できる味ですが、ハンドドリップにこだわったことのある人であれば、さらに「自分が求める味にしたい」「豆の種類によっても抽出を変えていきたい」と考えるはずです。Gevi 4-in-1が本領を発揮するのが、注湯の温度や速度、回転速度、そして抽出率をカスタマイズできる「マイレシピ」と「バリスタモード」です。
「マイレシピ」と「バリスタモード」の違いは、「マイレシピ」が最初に条件を設定して抽出するのに対し、「バリスタモード」は抽出途中に設定を変更できる点。ともに設定したレシピを保存でき、呼び出して使うことが可能です。注湯温度は80〜99℃の間で1℃刻み、速度は1秒あたり3〜9ml(湯温による)、回転速度は4段階に設定できます。それらを最大10回まで組み合わせられます。
これらが味にどう影響するかを簡単に説明すると、湯温が高いほど苦味が強く、低いほど酸味が強まります。また、時間の経過によって、抽出から間もない頃は酸味や甘味が、時間が経つにつれて苦味や雑味が抽出されます。喫茶店のマスターが、慎重かつ緩急付けてハンドドリップしているのは、かっこ付けではなく、ベストな味を引き出すためなのです。一時停止時間なども設定できるので、ほぼハンドドリップで調整するすべての手順を再現できるわけです。
抽出率とは、コーヒー豆と水とのバランスのことで、1:18であれば、1gの豆に対して18mlの水を使うという意味です。豆が20gなら360mlの水が必要となります。抽出率を守るだけでも、コーヒーの味はかなり安定します。
ハンドドリップでこれらをコントロールするには、キッチンはかりにストップウォッチ機能が付いた「コーヒースケール」を使います。どんな湯温や注湯速度で淹れるかは、書籍やWeb、アプリなどで公開されている「レシピ」を参考にすることが多いのですが、コーヒースケールで時間と重量とにらめっこしながら淹れるのは、趣味としては楽しい作業でもありますが、日常の作業としては面倒極まりないです。
それらのレシピをデータとして一回入力すれば、正確に再現してくれ、2回目以降は機械任せにできます。なにより人間と違ってブレがないです。Gevi 4-in-1は、究極のハンドドリップコーヒーメーカーといって良いでしょう。
手間なくハンドドリップの味に
また、全てを本体のディスプレイで操作できるのも評価したいポイント。昨今はIoT家電の流行りで、スマホアプリと連携する製品が多いですが、正直コーヒーを淹れるのにスマホを開くのは怠いです。Bluetoothのペアリングができないといったトラブルも起こりがちですし。
Gevi 4-in-1はどんな人向きなのか? ずばり、一度ハンドドリップにハマったものの、面倒くさくてやめちゃった人(私だ)。面倒な手間なく様々なレシピを試すことができますし、気に入ったレシピを繰り返し自動で淹れてくれます。喫茶店のマスターとお客さんの両方の立ち位置が手に入るコーヒーメーカーです。購入して、もうちょっとコーヒーを極めたいです。