家電製品レビュー
【洗濯機4連続レビュー:4】コスパ抜群! 使い勝手の良いAQUAの縦型洗濯乾燥機
2019年9月30日 06:00
子どもの中学入学に伴い、洗濯事情が大きく変わった我が家。毎日制服で登校するようになり、部活動も始まり、朝練と放課後練習用の体操着や練習着、ユニフォームと、洗濯量が激増した。そのうえ、洗い分けの必要があったりと、洗濯機を回す頻度も激増。母親も日中フルタイムで働く共働き家庭にとって、この負担は決して小さくはない。
そこでライフスタイルの変化に合わせて、洗濯機の買い替えを検討することにした。現在、所有しているのは、日立のドラム式洗濯機の2011年モデル「BD-S7400L」。時速約300kmというジェット機並みの高速風で衣類をシワなく乾燥させられる“風アイロン”機能のおかげで、おしゃれ着以外は洗濯物を干さずに済み、家事の時短に大いに貢献してくれた。
しかし、子どもが中学に入ってからは、主に部活用の衣類の泥汚れに悩まされるようになった。また、思春期に入ったせいか、靴下や下着に残る汗臭さがこれまで以上に気になり、漂白剤への漬け置きといった予洗いも時に必要で、それなりに手間を感じ始めた。
そこで改めて気になったのが“縦型洗濯機”だ。我が家は7年前にドラム式に買い替えて以来、縦型洗濯機を使用していないが、槽内にたっぷりの水を貯めて洗いやすすぎを行なう縦型洗濯機のほうが洗浄力が高いというのが定説だ。一方で、たたき洗いを行なうドラム式に対して、こすり洗いを行う縦型は衣類が傷みやすいとも言われている。もちろん、垂直方向に衣類を攪拌して乾かすドラム式に比べると、構造的に乾燥機能がどうしても劣ってしまうという弱点もある。
とはいえ、ドラム式が年々洗浄力を上げて進化してきているように、縦型も進化をしているに違いない。今回は、リーズナブルな価格ながら、布傷みを抑えてやさしく洗えることを謳っているAQUAの縦型洗濯乾燥機「GTWシリーズ」をお借りして自宅で3週間ほど試してみた。
メーカーから到着したのは、7月に発売されたばかりの新製品「AQW-GTW100H」。洗濯容量10kg、乾燥5kgと、これまで試用したドラム式と同等の容量だ。白を基調としたシンプルな配色で、ガラストップの天板など清潔感のあるデザインもサニタリー空間になじんで好印象だ。
メーカー名 | AQUA |
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製品名 | 縦型洗濯乾燥機 AQW-GTW100H |
実売価格 | 136,900円 |
激落ちケア洗浄の実力は? まずは標準コースで洗濯
同製品は、“激落ちケア洗浄”と謳い、衣類へのダメージを低減した“やさしい”洗い方ができる縦型洗濯機として昨年登場したモデルの後継機だ。基本機能や性能は大きく変わっておらず、給水開始後の少ない水量からパルセーターを回転させて洗剤を素早く溶かし、高濃度の洗剤液を繊維の奥まで浸透させて洗う「高濃度クリーン浸透」を搭載。
ほかにも、洗濯槽がパルセーターと逆に回転することで縦方向への水流を生み出して衣類の入れ替わりを促進し、洗いムラを抑える「W反転水流」、洗い行程の最後に洗濯槽を回転させ、遠心力で衣類の汚れを飛ばし、上からシャワーを降りそそいで念入りに洗う「スパイラルシャワー」といった機能を持つ。
洗濯槽は「スクラブドラム」と呼ばれる凹凸のある形状で、「W反転水流」との相乗効果によって、もみ洗いと擦り洗いの効果を高め、布傷みを軽減しながらもガンコな汚れを落としてくれるという。
洗濯時の定格使用水量は約105Lだが、洗濯量に合わせて16~55Lの範囲で無段階で調整されるほか、手動で68Lにも設定できる。あくまで個人的な感覚値に過ぎないが、初めて使用した際に、洗濯量の割に自動で調整される水量は少ないなという印象を持った。また、定格の洗濯時間も約35分と短め。
しかし、肝心なのは洗浄力の確かさなので、試しに全自動運転の「標準」コースで洗濯してみたところ、毎回、汚れ落ちに問題を感じることはなかった。もちろん、汚れが酷い衣類は1回では落としきれないこともあったが、必要に応じて「温め洗浄」や「つけおき」コースで洗うことで、ほぼ解決できた。よほど特殊な汚れでない限りは、コースを使い分けることで問題ないだろう。
ユニークな新機能「ジェルボール」コース
洗濯コースは、それ以外にも「自分流」、「やさしく」、「すすぎ1回」、「おいそぎ」、「念入り」「おしゃれ着」、「ふとん・毛布」といった一般的なものが網羅されている上、新機能として「ジェルボール」コースというユニークな機能が追加されている。
これは、粉末や液体洗剤に続く“第3の洗剤”として昨今、日本でも人気が高まっているその名のとおりジェルボール用のコースだ。水溶性のフィルムで包んだボール状の洗剤を洗濯機に投入するだけと計量せずに済む手軽なジェルボールを利用したコースでは、すすぎが通常の「ためすすぎ」から「シャワーすすぎ」に変更され、すすぎの回数や給水量、時間等を最適化することで防臭・香り付け効果を最大限に高めることができるとのこと。
確かに「標準」コースで洗った場合に比べると、香りに関してはきつすぎず、ちょうど良く感じた。筆者は洗剤の香りが得意ではなく、日ごろは無香料のもので洗濯しているため、個人的にうれしかった。
それ以上に、ジェルボールはどちらかというとドラム式向けの洗剤と思っていたので、縦型でも気軽に利用できるのはありがたい。最新の洗剤自動投入機能などはなくても、計量のひと手間を減らしたいという人には価値のある機能ではないだろうか。
前述のとおり、乾燥機能は得意としない縦型洗濯機だが、想像していたよりは悪くはないと感じた。もちろん、ドラム式に比べると劣ってしまうものの、仕上がりに関しては“アリ”だなという印象。
本製品では、「ふわふわクイック乾燥」と呼ぶ方法を採用しており、広い槽内に効率的に温風を送り込み、乾燥機能においても、傾斜が異なる羽根を採用した「ツインパルセーター」の能力を活かして、衣類をふわっと浮かせて入れ替わりを促し、ふんわりと仕上げられるとのことだが、毎回ほとんどムラなくシワも少なく乾いていた。
乾燥で気になる点は運転時間。洗濯~乾燥時の運転時間は定格約179分とあるが、洗濯槽の半分程度の容量で、平均すると毎回3時間半ぐらいの時間がかかった。定格消費電力量(50Hz/60Hz)は、1,595Wh/1,690Whなのでやはり電気代がそれなりにかかってしまう。
とはいえ、他の縦型洗濯機や、ヒーター式を採用している旧式のドラム式洗濯機に比べればスピーディーで低消費電力な部類だ。ヒートポンプ式やヒートリサイクル方式を採用した最新のドラム式にはもちろん及ばないが、毎回ではなくてもどうしても急いで乾かしたい時や、梅雨時など部屋干しでは乾きにくいシーズンに補助的に使うには十分有用だ。洗濯槽を動かさずに乾燥させる「静止乾燥コース」も、いざという時に役に立つ。
そのほか、お手入れやその他の使い勝手で良かったのは、ガラストップの天板。本製品は洗濯槽の内蓋もシースルーの樹脂製なので、外観上の美しさだけでなく、洗濯中も中の様子を確認することができる。外側は一枚板のガラスのため、凹凸が少なく、ゴミやホコリが溜まりにくく、拭き掃除もしやすい。
手入れがしやすい乾燥フィルター
乾燥フィルターもシンプルな構造で、道具を使ったりせずに指先で簡単にホコリを取り除けてお手入れがしやすい。糸くずフィルターは洗濯層内に2カ所あり、簡単に取り外せてゴミも取り除きやすい。
それ以上に、糸くず自体があまり溜まっていないのに驚いた。1週間ごとに確認してはいたものの、結局3週間の使用後もごく少量しかゴミが溜まっていない。洗濯物自体に糸くずが目立って付いているわけでもないことからも、そもそも糸くずの発生が少なく、布傷みを抑えて洗っていることが伺える。
本製品は、これまでレビューしてきた日本の大手家電メーカーのトップクラスのドラム式洗濯機とは、縦型という形式がそもそも違い、価格帯的にも異なり、純粋に比べることはできない存在。だが、発売時の店頭予想価格が13万円台の縦型洗濯乾燥機というラインナップでは、機能、性能、使い勝手のよさといった観点から高パフォーマンスなモデルと思う。
かつジェルボール対応というトレンドも抑えており、予算は抑えたいけれど、できるだけ良い洗濯機で、見た目にもこだわりたいといった欲張りな消費者のニーズに応えてくれる良品だと感じた。