家電製品レビュー

小さい部屋も1日中快適な"ガンダムエアコン"なら、暑がりさんの眠りも極上モノ

 これまで「省エネ性のためにも快適性のためにも、10年以上使っているエアコンはすぐに買い替えを!」と言い続けてきた私。ところが“紺屋の白袴”とはよくいったもので、ついつい後回しになっていたのが息子の部屋のエアコン。なんと16年目を迎え、「変な音がするし、もうダメだと思う」と言われ、以前からプライベートルームで使ってみたいと思っていた「ノクリア」Xシリーズを設置した。「ノクリア」Xシリーズといえば、事務所兼アトリエで3年も愛用している馴染み深いエアコンだ。その際の使用感は以前レビュー記事で書いたが、事務所とは違う一般家庭で使うとどんないいところがあるのか知りたい。リビングで使われがちな「ノクリア」Xシリーズの6畳の個室での使い心地を、息子にも協力してもらいレポートする。

富士通ゼネラル ルームエアコン「ノクリア」Xシリーズ AS-X22H-W
メーカー名富士通ゼネラル
製品名ルームエアコン「ノクリア」Xシリーズ AS-X22H-W
実売価格(編集部調べ)193,560円

6畳の個室にサイドファン付きのノクリアがやってきた!

 いざ設置となって心配になったのが、張り出した梁の上の壁にノクリアが収まるかということだったが、ギリギリセーフ。省エネ性が高くなったため、室内機の奥行が大きくなっているのはノクリアに限ったことではないが、高さの点でやや不安に。でも設置工事の担当者も「大丈夫そうですよ」とのこと。

 16年使っていたエアコンを取り外し、室外機の足場をベランダから苦労して取り外した後で、業者さんから「これまでエアコンを使っていて、夜間などにボコボコ変な音がすることはありませんでしたか?」との質問。そんなことは言っていなかったけれど……と思いながら、息子に聞いてみると「たまに変な音がして、寝ていて気になってた」との返事。

 聞けば、高気密住宅では屋内外の気圧の差によって、外気がドレンホースから屋内に逆流することがあり、その際にドレン排水のたまり部分で音がするそうで「エアカットバルブ」なるものをドレンホースに取り付けるとそれが軽減されるという。それならばぜひそれを付けてくださいとお願いし、プラス2,000円(作業費込)で取り付けてもらうことにしたのだった。

 配管カバーは従来使っていたものを再使用し、スムーズに取り付けが進むが、ノクリアのオプションとなる無線LANアダプターの設置もあり、2時間程度で工事が完了した。今回のような個室にフラグシップモデルを取り付けるのは珍しいことや、まだまだ無線LANアダプターを取り付けようという人が少ないことなどを聞き、今回のケースが少しでも参考になるといいなと思いを新たにした。

 いざ取り付けが完了してみると、これまでの古いエアコンに比べれば少々大きさを感じるが、格段に進化した省エネ性を考えれば頼もしく感じる。さっそく動かしてみると、息子的には両サイドにあるデュアルブラスターの動きが面白い様子。私と違って暑がりな息子なので、少しでも省エネになるのはありがたい。さあ、その体感やいかに!?

室内機(室内ユニット)を設置する前に、張り出した梁の上の壁に据付板を取り付けたところ
ルームエアコン用の消音・防虫弁「エアカットバルブ」(2,000円程度)
エアカットバルブの箱の裏には丁寧な説明が
ボコボコ音を防止しながら、ドレン排水をスムーズにできる逆流防止弁が中についている
ドレンホースにエアカットバルブを取り付けたところ
配管カバーをかぶせるとすっきりときれいに
室外機の設置が完了。省エネ性が高くなったため、同じ6畳用でもかなり大きな室外機になって、存在感を発揮している
室内機を下から見上げたところ。奥行があるので室外機同様、存在感たっぷり

エアコンの真下で寝ていても、ノドを痛めず極上の眠りに

 「ノクリア」Xシリーズの最大の特徴は、冷気や暖気が出てくる中央のファンの両脇に、デュアルブラスターと呼ばれる室温の風を送るサイドファンが付いていること。これによって、冷房時には部屋が冷えて冷房が弱まったあとも、冷気を持ち上げて部屋の隅々まで届けてやさしい涼感を得られるのだ。先にも書いたように私自身、アトリエで使用しているが、1台のXシリーズで打ち合わせスペースから、事務スペース、そしてキッチンまでどこにいても本当に心地よい空間となっている。

 今回、6畳という個室で使うことになったため、より遠くに冷気を行き渡らせるという必要はないが、特にそのよさを感じられるのは、就寝時。関東では観測史上最速の梅雨明けを迎え、蒸し暑い夜が続いており、就寝時もエアコンが欠かせない。息子の部屋は、エアコンの吹き出し口のすぐ下に頭が来る位置でベッドが置いてあるため、これまではフラップの上下の向きで調整しても、冷気が降りてきて顔に当たるように感じることが多かったという。

 ところがXシリーズはデュアルブラスター気流によって、冷気を部屋の入口方向に逃がし、部屋全体を静かに回るような気流を起こせるため、直接冷気を感じないのだ。音大卒で歌に関する仕事をしていて、ノドをとても大切にしているため、Xシリーズならではの極上の眠りに大満足の様子。工事の際に取り付けてもらったエアカットバルブのおかげで、変な音がすることもないらしい。

 暑さが厳しくなる前は、冷房にするか除湿にするかで悩んだりしたようだが、それも枕元に設置したAmazon Echo Dotに話しかけるだけで就寝中でも音声操作で運転を切り替えることができるので便利だったとのこと。

冷房運転をしている様子。エアコンの斜め下にベッドの頭の部分が来るので、これまではどうしても冷気を直に感じがちだったが、快眠できるという
両サイドのデュアルブラスター気流を右に寄せることで部屋全体に冷気が行き渡る

暑がりの息子にぴったりの「涼感プラス」と、春秋にうれしい「送風運転」

 就寝時以外に部屋で過ごす際の使い心地はどうだろう。Xシリーズの「快適おまかせ気流」は、標準運転では設定温度に到達し、涼しくなると体に感じる風を控えめにするようにデュアルブラスターがやや上向きに働くが、どうやら、暑がりの息子にはこれが少々物足りない様子。そこで「涼感プラス」をセレクトしてみると、今度はデュアルブラスターが扇風機の役割をして、室温の風が体に当たるようになるので涼しく感じ、「基本的にはこれがいちばん」(息子談)。

 このあたり、女性や高齢者とは全く異なる肌感覚のようなので、好みに合わせて使えるのはうれしいところ。

 また、私自身、春や秋に愛用している送風運転も、「外気温が低めで湿度の高くない日に使うと、風が通らない部屋でもスーッと気持ちのいい風感がある」と気に入ったもよう。窓が1つで風が通らない部屋でも、外にはそんなに風が吹いていなくても、まるで高原で過ごすようなそよそよとした風を感じられるのは魅力的だ。

リモコンのボタン
メニューボタンを押すと細かな設定ができるようになっている
メニュー→(右上の)カイテキおまかせ気流→標準は、女性など冷房が苦手な人には良いが、息子には涼しさが物足りない様子
「涼感プラス」にするとデュアルブラスター(サイドファン)の室温の風が体に当たるように運転するので、設定温度を変えなくてもより涼しさを感じられる
好みに応じて自分でセンターファンとサイドファンの風向きを変えることも可能
息子の使い方を見てみると、サイドファンを最下方にし、方向は右に設定してあった。好みに合わせて設定できる
外気温が高くない日は窓を開けて送風運転をすることで、外気を取り込んで室内にそよそよとした気流が生まれ、高原にいるような心地よさが感じられる。窓が1つしなかく、風が通らない間取りの場合、特におすすめ

無線LANアダプターをつければスマホでの遠隔操作もAIスピーカーもOK

 設置工事のところでもご紹介したように、今回、オプションで無線LANアダプターを設置し、スマートフォンのアプリでも操作できるようにした。富士通ゼネラルの無料アプリ「どこでもエアコン」をダウンロードし、使用しているエアコンを登録すると、外出先からのオン・オフや消し忘れをしていないかどうかや何運転をしているのかなどの運転状況の確認や運転の変更、昨日と今日の電気代の確認などができる。

 私はアトリエに行く途中に地下鉄の中から、早めに空調をオンにしておいて、快適な温度でお客様を迎えられるようにしているが、息子も外出先から帰宅する前に室温などを確認してから、冷房をオンにするなどして活用して便利だという。リモコンでは「メニュー→運転モード→送風」という順でないと設定できない「送風運転」も、スマホアプリのほうが簡単に設定できる。

 私が自分のスマホアプリ「どこでもエアコン」を家で立ち上げると、アトリエのエアコンの運転状況だけでなく、息子の部屋のエアコンの運転状況がわかるのがおもしろい。「24℃設定とは冷やし過ぎじゃない?」と思わず突っ込みをいれたくなったりもする。ちなみに1つのエアコンを複数のユーザーでアプリの操作を可能にするには、最初に登録したユーザーに「操作可能登録」をしてもらえば大丈夫なようだ。

 また、現行のノクリアは全機種Amazon Echoにも対応しており、どこでもエアコンのアプリでアカウント登録してあれば、Alexaアプリでnocriaスキルを有効化すると音声操作ができるようになってさらに便利になる。

 「Alexa、ノクリアを使って運転を開始(停止)」「Alexa、ノクリアを使って26℃」などの操作ができるほか、運転状況の確認もできる。先ほど紹介した送風運転も、リモコンよりスマホアプリ、スマホアプリよりさらに音声操作のほうが簡単だ。今後、さらに「私の方に風を当てて」や「足が寒い」などのような言葉にも反応して、最適な運転をしてくれるように進化してくれるといいなと思う。

無線LANアダプター(オプション)を取り付け、アプリ「どこでもエアコン」をダウンロードすることでスマートフォンでの操作も可能になる
「ポンタ」と名付けられた息子のエアコン
現在の運転状況確認のほか、運転モードの設定を遠隔操作できる。「送風」の設定もスマホならさらに簡単だ
筆者のスマートフォンのアプリを立ち上げると、アトリエのエアコン「Sally's」の運転状況のほか、息子の部屋のエアコンがどんな運転状況なのかがわかることを発見! これは便利!
ノクリアはスマートスピーカー、Amazon Echoに対応している。わが家ではコンパクトなAmazon Echo Dotを利用中
Amazon Echo Dotを使って送風運転を開始した様子。スマートスピーカーでの音声操作のほうがリモコンよりも断然、簡単にできる

熱交換器の加熱除菌でエアコン内部まで清潔に保ってカビ防止に

 「ノクリア」Xシリーズの最新モデルだからこその機能、それは熱交換器の加熱除菌機能だ。アトリエのXシリーズにはフィルターの自動おそうじ機能や、送風で内部を乾かす内部クリーン運転機能や備えているが、『熱交換器加熱除菌』はない。

 これはどういうものかというと、冷房や除湿運転で空気中の湿気を取ることで発生したエアコン内部の水滴を、まずは抗菌コートされたハイドロフィリック熱交換器で汚れを浮かせて水滴とともに洗い流し、残った水分を熱交換器を55℃以上に加熱して熱いお湯に替え、カビ菌や細菌を除去して、その後で乾燥させる。これまでの「カビの抑制」どころか、除去した後で乾燥させるため、ずっと清潔に保てるのだという。

 古いエアコンを使っていてカビが気になることもあり、シーズン前には夫が内部のクリーンアップをしたりしていたが、今回紹介している「ノクリア」Xシリーズならそういう心配も面倒もなく、安心して使える。

 ただし、この加熱除菌は送風運転と短い暖房運転を行なうため、部屋の温度・湿度が上昇する。そのため自動で行なわれることはなく、外出の前などにリモコンを操作して、自分で意識的にこの機能を使う必要がある。頻度としては「冷房や除湿運転を5回程度行ったら、1回行なう」くらいが望ましいとのこと。

 万が一その頻度が少な過ぎたとしても、加熱除菌は付着してしまったカビ菌や細菌にも効果があるというので頼もしい。今後は、音声などで促すなど、意識的に使うことを忘れないような仕組みがあるといいなと思う。

前面パネルを開けたところ。奥に自動でお掃除するフィルターや、空気清浄のためのプラズマクリーンユニットがある
熱交換器加熱除菌はリモコンの「お手入れ」のところを押して、「加熱除菌」を選択して行なう
お手入れのところには「加熱除菌」のほか、「フィルターおそうじ」の手動運転ボタンがある
加熱除菌運転中。室内の温度が若干上昇するので、不在中に使うのがベター。加熱除菌は10分程度で、全行程では90~100分ほどかかる

寝室にもぴったりの快眠エアコン「X シリーズ」は、女性や高齢者にもおすすめ

 今回、息子が試してみて、いちばん感動したのは快眠できること。清潔性能である熱交換器加熱除菌も備え、いつでもきれいな空気環境で安心して眠れるのはうれしいことだ。息子は暑がりのため冷気に当たることを好むほうなので、「風感のない心地よさ」を就寝時以外は実感できなかったようだが、これは女性や高齢者には本当に好ましい空調のはず。もちろん風に当たりたいなら「涼感プラス」モードを使うことで、エアコン+扇風機の2役を1台で可能にしているのだから、十分、素晴らしいのだけれど。

 デュアルブラスター気流のためのサイドファンがある姿から「ガンダムエアコン」と呼ばれるなど男性的なイメージだが、これにより、実のところ気流をコントロールできる「ノクリア」Xシリーズは、とても優しく思いやりに満ちたエアコンなのだと思う。快適な気流でみんなが心地よく過ごすためのリビング用としてもおすすめだが、ぜひ、寝室で使ってみてほしい。

リモコンのおしらせボタンを押すと、室内の温度・湿度のほか、今日の電気代や運転時間などを確認することができるので便利だ

協力:富士通ゼネラル

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。現在は家電+ライフスタイルプロデューサーとして、家電分野のほか、住まいや暮らしなどライフスタイル全般の執筆やコンサルティングの仕事をしている。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーの現場の声を聞くことを大切にしている。 テレビ・ラジオ、イベント出演も多数。