e-bike試乗レビュー
ロードバイク女子が初めてのe-MTB体験!! おしゃれグランピングと温泉も満喫
2020年11月12日 08:00
私は普段はシャンソン歌手として活動し、趣味でロードバイクに乗っています。ステージに立つために筋トレをし、肺活量を維持するために心拍数を上げるキツいトレーニングをすることもあります。
今では運動大好き女子ですが、学生時代は運動が大の苦手で大嫌いだったんです。体育の成績はほとんど「1」。……どれだけ頑張っても「2」しか取れない運動音痴でした。
そんな元運動音痴の私が、まさか山を自転車でヒルクライム(上り)、ダウンヒル(下り)する日が来るとは驚きです。今回は、冬場はスキー場・夏場はマウンテンバイクフィールドやアクティビティが楽しめる、兵庫県・神鍋高原「アップかんなべ」にある「UP MTB PARK IN KANNABE」に行ってきました。現地ではマウンテンバイクが借りられ、電動アシスト付きマウンテンバイク(e-MTB)もレンタル対象です。私は今回トレックのe-MTB「Rail 9.7」をレンタルし、「UP MTB PARK IN KANNABE」にある西日本最大のe-MTB専用コース「Bosch Uphill Flow Volcano(ボッシュ アップヒル フロー ボルケーノ)」を走ったほか、グランピングなども体験してきたのでそのレポートをお届けします。
出発当日は羽田空港から朝7:30発の飛行機で伊丹空港へ。乗り継ぎでコウノトリ但馬空港に向かうはずが、羽田空港でまさかの“鳥の激突”により遅延。コウノトリだけにトリに縁がある? 結果、伊丹空港で予定していた乗り継ぎ便に間に合いませんでした。伊丹空港でe-bike部のみなさんと合流し、レンタカーでアップかんなべに向かい昼過ぎに到着しました。
手ぶらで気軽に楽しめる本格的なMTBコースへ
「アップかんなべ」の「UP MTB PARK IN KANNABE」なら手ぶらでもOK!
e-MTBってそもそもなんぞや? と思う人もいると思います。私もその一人でした。簡単にいえば、電動アシストのドライブユニットを備えたマウンテンバイクのことを指します。そう、電動で強力なアシストをしてくれるので、山の斜面でも負荷が少なく上れてしまうのです!
以前トレイルランニングの大会に出場したことがあるのですが、私はとにかく上りが大嫌い。ですが、e-MTBならパワフルなアシストがあるので通常より圧倒的に楽に上れます。
そして、リフトでMTBを乗せて山頂まで行き、ダウンヒルのみを楽しむことも可能です。このリフト設備は、関西ではここだけだそうです。MTBやプロテクター、ゴーグルなどのレンタルもあるので、手ぶらで来ても気軽にコースを楽しめます。
今回私が乗ったe-MTBトレック「Rail 9.7」の購入価格はなんと790,000円。それがレンタルで乗れてしまうのはかなりお得! しかもこのお値段ながら、日本国内で発売が決定すると販売分はあっという間に完売したそうです。そんなRail 9.7に乗れるだけでもとってもレアなのでは?
Rail 9.7は前後にサスペンションを搭載したフルサスモデルで、車体はしっかりしていますがカーボン素材を使っているため重量は22kg。ドライブユニットはヨーロッパでマウンテンバイカー向けに設計された、ボッシュの「Performance Line CX(パフォーマンス ライン シーエックス)」搭載ということで、初心者でも安心してコースにチャレンジできるe-MTBだそうです。心強い相棒を手に入れて、コースへの不安が減ってきました。
先輩たちにアドバイスをもらい、しっかりコース走行の準備。初心者なのでとにかく安全に!
山場のコースは「転倒したら痛そう」と思っていたのですが、Bosch Uphill Flow Volcanoのコースはほとんどが芝生。フカフカなので転んでも、そこまでの痛みはないそう。昨年コースのオープン前に派手に転んだ先輩談を信じたいと思います。今回私は1度も転ぶことはありませんでしたが、「転んでも大丈夫」と思うと安心してコースにチャレンジできました。
ゲレンデにあるコースなので、天気が良かったら日射しが強くて眩しいかな? とランニング用サングラスを持参。コースでは小石がはねたりするので、あるならサングラスやゴーグルで目を保護したほうが良いそうです。なので、この日は眩しくはなかったのですがサングラスを装着しました。
グローブも、転んで手をついた時に擦り剥けるのを防止できますね。30歳を過ぎて、傷の治りが遅い&痕になりやすいので、なるべく怪我は避けたいところ。今回は10月中旬の訪問でしたが、真夏でも念のため長袖や脚を保護する長ズボンやスパッツがオススメです。
まずは、サドルの高さをかかとが付くくらいに設定。斜面で足を付きやすいように、このくらいの高さが良いとアドバイスを受けました。上りではもう少し高めでも良いそうで、Rail 9.7はワンタッチで簡単にサドルの高さを変えられるドロッパーシートポストいう機能があります。が、走行しながらサドルの高さを変えるのは慣れが必要そうです。
初心者は何より安全重視で、まずはかかとまで足全体が付くサドル設定でスタートすることにしました。
いざ、e-bike「BOSCH Uphill Flow Volcano」へ! 1.7kmも上れる!?
華麗にゲートをくぐり、ここから上り1.7kmの冒険が始まる! 最初に待ち受ける長い上りの洗礼。しかし、ふもとから見るとキツそうな坂道が、Rail 9.7の力強いアシストで難なく上れてしまいビックリ!! もっとしんどいと思ってた!!
最初にアドバイスされたのが、上りでキツくなっても止まらずに、ギアを軽くしてアシストを最大モードで自然にペダルをこぎ続けるべし、と。そう、アシストがあるのでe-MTBならペダルを回せていれば上り斜面でも必ず進んでくれるんです。
さすがのRail 9.7のスペックの高さにウキウキのテンションで上りをガンガン進みますが、進んでいくにつれてやっぱり息が上がってきます。
アシストがあるので、死ぬほど辛いわけではないですが、まぁまぁのキツさが長く続く感じです。キツくなって止まるとしても、平地で止まったほうが安全だよといわれていたのに、我慢できずに斜面で1度止まってまいました。すると、斜面で止まると結構怖い! 平地と違い車体に重力も掛かるので、平地よりも車体がグッと重く感じます。
みんなが言っていたのはこういうことか〜、こぎ出しも斜面でちょっと怖いので、最初にアドバイスされたとおりゆるめのアシストで再スタート。踏み込みの力に合わせてアシストしてくれる、eMTBモードでこぎ出しました。
そして、教えてもらったとおり、上体を前傾にして、ペダルをこいでみました。すると、ものすごく前に進みやすかったです。またしてもアドバイスに感謝。「ハンドルを胸に引きつけるイメージ」だそうです。が、私は胸を前に出すつもりが、顔だけが最初前に出てしまいました。おいおい、ここで元運動音痴を発揮かい! 正直、誰かに見られてたら笑える体勢になってました(笑) 先頭で走ってて誰も見てなくて良かった~。気を取り直して、肩甲骨を寄せるイメージを持つと胸を前に出しやすかったです。辛くなってくると、ちょっと姿勢を変えるだけでグッと楽に感じます。
路面も芝生で整備されているところが多いので、めちゃ走りやすい! と感動しました。コースの両脇にロープでコースガイドもあるので、迷うこともありません。
無事に山頂に到着、e-MTBなら男女の体力差も関係なし
何とかかんとか、初めての上りコースを転倒することなく頂上に到着。途中息が上がりつつも、死ぬほど辛いということもなく、楽しく走れました。これがアシストのないMTBならゾッとしますが、e-MTBであれば元運動音痴でも置いてけぼりにならず、みんなで頂上に辿り着けます(小学校の山上りはビリで登頂)。今回の旅は私以外全員男性ですが、e-MTBなら男女の体力差も気にせずに走れました。
上りでも、Rail 9.7は強力なアシストがあるので、脚の筋力に自信のない方でも大丈夫だと思います。
この日はお天気も良く気分は最高! 神鍋山の美味しい空気を満喫しました。2020年の夏は遠出をせず、ほとんど自宅に引きこもっていましたが、ずっと山とか自然のあるところに行きたかったんです。本当に、涙が出るほど嬉しかったですねぇ。
神鍋山火口で地球のロマンを感じました
神鍋山頂上から、こちらは元活火山ということで噴火口見学もできます。また、こ噴火口までの道が気持ち良いんだこれが。しかし、このあたりからはハイキングコースの方もいるので少し注意が必要です。噴火口に関しては、普通の原っぱかね? くらいの期待値でしたが、実際に見てみるとかなり感動しました。
雄大な自然に人間のちっぽけさを感じるというか、約70万年前から火山活動していたと思うと、歴史と自然のロマンを感じます。噴火口がこんなにキレイに残っているのは珍しいそうです。徒歩で周回(約750m)もできます。神様たちがここで鍋をしたから神鍋山、と名付けられたとか。火山だからキムチ鍋でもしてたんでしょうかね?
爽快なダウンヒル! コースは初級〜上級まで幅広く用意
火口に感動して、続いてはダウンヒル! トレランでは上りは大嫌いですが、下りは恐怖心なく走れます。e-MTBではどうなるか!? 下りコースは数種類あり、初心者から上級者まで楽しめます。私は初心者コース「マシュマロ」で下りました。かわいい名前に和みつつLet's try!
おおお、こりゃ下りは爽快だけどもスピードどこまで出せばいいんじゃ? ブレーキ握りぱっぱなしでOK? えええ、意外と怖いぃぃ、でも景色キレイーー! 景色も見たいぞーーー! でも路面も見なきゃーー! と脳内はプチパニック状態。途中コブも出てきて、弱めのブレーキをかけたままコブを攻略。初めてでスピードに戸惑いつつも、ダウンヒルの景色とスピードと風を切る爽快感は、半端なく気持ちいい。こりゃあクセになりそうだ! しかし爽快な分スピードが出ているので、上りよりテクニックが必要、そんな印象の初ダウンヒルでした。練習と経験を積めば、確実に上達できそうだぞ。
また、Rail 9.7はブレーキの効きもすごく良いので、下りで急ブレーキするとひっくり返ってしまうこともあるそうです。初心者は弱めのふんわりブレーキをかけながら、慣れてきたら緩急付けるのが良いかも? 急ブレーキが危ないのはどの乗り物も共通ですね。
おしゃれグランピングでバーベキューと温泉で疲労回復
無事に、初のMTBコース挑戦を終了。コース完走後に、他のライターさんたちが乗っていた別のe-bikeにも少し試乗させて頂きました。いろんなタイプのe-bikeに乗れて楽しくて、時間が過ぎるのがあっという間です。
夕方になりコースから移動して、夜は神鍋高原内のグランピング施設「kannabe 5 sense(ファイブセンス)」 に宿泊。 私以外のみなさんは他のホテルに宿泊で、単独で宿泊しました。“グラマラスなキャンプ”という意味でグランピングというそうで、これは期待大。こちらは1日8組限定で、手ぶらでちょっぴり豪華なキャンプ体験ができる宿泊施設です。5 sense宿泊の際は隣接の温泉施設「神鍋温泉ゆとろぎ」の無料券も付いているので、夜は温泉にも入れます。
グランピングテントの場所は「道の駅・神鍋高原」の奥にある「燻製工房・煙神(えんじん)」の隣です。煙神で受付し、説明を受けたら夕食や火起こし用の炭を受け取ります。お酒の販売も、缶や瓶のものであれば購入可能です。燻製に合わせてソムリエが選定した有機ワインのボトル販売もあり。燻製に合わせているので、赤ワインのセレクトが多かったです。2020年10月中旬時点では追加の食事・ドリンクの注文は受け付ていませんでした。
食事はもうすべて焼くだけ、温めるだけになっているのでどんなに料理が苦手な人でも大丈夫です。蚊取り線香など虫除けも用意されているので、虫が苦手な方もOK。
私の宿泊時はテント内で虫と遭遇、ということもありませんでした。また、この遊牧民のゲルをイメージしたというテント内がめちゃくちゃかわいい。キャンプのイメージをくつがえされるグランピング。電気も使えるし、電気ケトルもアメニティ、タオルも完備。アウトドアを楽しみつつも、ホテルに宿泊しているような気分です。
そして、このお食事がすべてめちゃくちゃ美味しい! 但馬牛のハラミステーキで、バーベキュー気分は最高潮。ハラミステーキ、柔らかくて最高でした。しかも、メニューがおしゃれでかわいい。私は自他共に認める大食いですが、その私でも大満足の量でした。
お腹いっぱいになったところで、温泉につかりに神鍋温泉湯とろぎに移動。徒歩でも自転車でもライトを付けながらの移動が安全です。
たらふく食べて湯につかって、この世の極楽とはこのことか、と神鍋高原を満喫。戻ったらアヒージョを食べ忘れていたことに気づき、あとで食べようと取っておいたデザートのスモア(クラッカーにチョコとマシュマロを挟んだスイーツ)と美味しく頂きながら星空鑑賞。
都会では決して見ることのできない星々に感動し、なぜ、私は、1人なのか、と隣にイケメンの姿を妄想。いいの、これは将来に向けた下調べよ。未来のデートのリハーサル、いつ役に立つのかしら。
役立つ日ができるだけ早く来ますように、と星に願いを込めてベッドに入りました。今回は10月中旬の宿泊で神鍋高原の夜は冷えると聞いて、厚手のパジャマを持参。ベッドには毛布や布団も用意されていて、さらに持参した使い捨てカイロを腰に貼ったら暖かく眠れました。
グランピングの朝食もおしゃれでかわいい♪
爽やかな朝のお目覚め。8時に朝食がテントまで運ばれてきました。運ばれてきたのはサラダ、ホットサンドの材料、ヨーグルト、インスタントコーヒー&ミルク、オレンジジュース、ガスコンロ、ホットサンドメーカー。ホットサンドを自分で作るなんてキャンプっぽ〜い! 自分で材料を用意したり、道具を持ってこなくていいのがグランピングの魅力。本当にいいとこ取りなキャンプ体験ですね。
具を挟んでホットサンドメーカーに入れてサンドイッチを火にかける! が以外と焦げてしまったり焼き加減が難しい。まめにチェックして、うまく焼けました。具材は何をどうやっても美味しいハム&チーズ、レタスとツナマヨコーン。コーヒーは、テント内の電気ケトルでお湯を沸かして飲みました。朝からしっかりエネルギーチャージ。洗面やメイクなどの支度を済ませて、10時にチェックアウトしました。
この日は、e-MTBに乗って初めてMTBコースにチャレンジした記念すべき日になりました。爽やかな秋晴れの中、スピードにのって山を走るのは気分爽快。グランピングもできて、自然を感じながらの宿泊も楽しめました。MTBでの山遊びはハードルが高いように思われますが、UP MTB PARK IN KANNABEなら手ぶらで気軽に行けます。芝生のコースで怪我の可能性も少なく、しかもe-MTBなら、女性や体力に自信のない方でも思い切り楽しむことができるでしょう。
後編ではさらに神鍋高原の魅力と、キャノンデールのグラベルロードタイプのe-bike「Topstone Neo Carbon(トップストーンネオカーボン)」での川沿いサイクリングのレポートなどをお届けします。