家電は共働き家庭を救うか!?

賃貸でもすぐ使える、工事不要の食洗機。ラクするための必須アイテムとは

息子が中1のときに初めて結婚した著者が、家電偏差値35ながらに、時短家電を使いこなす日々を綴ったコーナーです
工事不要の食洗機を導入。弱点もあるが工夫でカバー

この連載を機に取引先や取材先の方々と家電談義で盛り上がることが増えた。そして、買うかどうか長い時間迷う白物家電は「絶対に必要というわけではないけど、あれば便利そう」「場所を取るので、収納問題が発生する」共通点があると分かってきた。

ホットクックしかり、空気清浄機しかり……。また、持ち家に住んでいる人、賃貸に住んでいる人でもニーズに違いがあり、賃貸住まいの共働き夫婦から「気になっている」とよく挙がるのが、卓上式食洗機だ。新築分譲マンションにはほぼ標準装備されるようになった食洗機だが、賃貸仕様の集合住宅では若干「ぜいたく品」感がある。

ということで今回は、さまざまなユニーク商品を出しているサンコーの、工事不要の食器洗い乾燥機「ラクア」を2カ月使ってみた。食器16点を収納できて29,800円、他メーカーと比べてかなりお値ごろで、確かに気になる。

タンクに水を事前給水、シンプルそのもの

卓上タイプの食洗機は通常、食洗機へ給水するため蛇口に分岐水栓を取り付ける工事が必要だ。以前それで四苦八苦したことがあり、引っ越しが多い身としては、毎回取り付けと取り外しに費用と時間が取られるのも大変だなあと感じていた。

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しかし、ラクアはその手の工事が不要。どういうこと? というのが最初の疑問だったが、事前にタンクに必要分量の水を入れておく仕組みだという(分岐水栓を取り付けて自動給水も可能)。

だから設置も簡単だった。電源プラグを差して、排水ホースを取り付けるだけ。シンクから離れた場所への取り付けを想定してか、ホースが長めなのがやや邪魔ではある。

内部はかなりシンプルで、上部に箸やスプーン、下部にお皿やコップを置く。そして洗剤の投入口が、「ふたをしたら流れちゃうじゃん」って場所にあるのが、価格重視の割り切りを感じる。

サンコー「水道いらずのタンク式食洗器 ラクア BLACK STTDWADB」
洗剤入れはふた部分にある

食器は、茶碗や汁椀4つ、コップ3つ、薄いお皿4枚くらいまでは楽に入り、あとは小鉢や深めの容器、弁当箱、水筒をどう配置していくかになる。弁当箱は言うまでもなく場所を取る。しかし、これを手洗いせずに済むことで家族のQOLが上がるので、弁当箱がある日は意識して食器を減らしている。メニューをカレーにするとかして。

3人分の食器が何とか入る
洗浄中の様子

「通常洗浄」でおおむねきれいになる

肝心の洗浄力はどうだろうか。ラクアは複数のモードがあり、洗浄・すすぎの時間だけでなく、水温にも違いがある。

「通常洗浄」と「エコ」は、かかる時間も仕上がりも体感的にはほぼ同じ。電気代にもそれほど差がなさそうなので、食器が明らかに少ない、油分がほとんどないという場合を除いて、ほとんど通常洗浄を使っていた。

「スピード」は何度か試してみたが、食後すぐに洗ったとしてもごはん茶碗に付着した粘りなどは取り切れなかったので、2回しか使わなかった。スピードモードの洗浄・すすぎは29分なのだが、本当に急いでいるなら手洗いが結局早いので、存在意義がよく分からなかった。

「強力洗浄」はこのレビューを書き始めるまでほとんど見落としていた。洗濯乾燥機もオーブンレンジも、結局全機能の3分の1しか使わない人間なので、すみません。

5種類の洗浄モードを搭載(公式サイトより)
取扱説明書には各モードの詳細が記載されている

洗浄力は、「問題ない」というところだろうか。食後に水で食器の大きな汚れを落として食洗機に入れ、すぐ「通常洗浄」か「エコ」のスイッチを押すなら、だいたいきれいになる。

汚れが取り切れていないことも時々あり、原因は

  • こびりつき系(ごはんなど)で、食後1~2時間経っていた
  • ラー油や油分の多い炒め物などに使った食器。一応水ですすいで入れたが、油が残ってしまった
  • おそらく食器の収納の仕方の問題で、洗剤やお湯がきちんと当たっていなかった

だと考えている。

また、乾燥は60分で終わるがそれだと水滴が残っていることが多いので、外に出して乾かすか、拭くか、もう一度乾燥ボタンを押すかで対処した。

チョコレートケーキを食べたお皿
通常洗浄できれいになった
洗う前の食器
ごはん粒はすぐ洗えばきれいになった。一方、卵液は少し膜が残った

個人的に、ウォータージャグは必須

食器洗浄機は「楽をしたい人」「家事を効率化したい人」のためのものだと思う。その視点で見ると、工事不要ですぐに使えるというラクアのメリットは、そのままデメリットになることも指摘しておきたい。

1回の洗浄に5.5Lの水が必要なので、付属の給水カップを使うと「水をためて食洗機のタンクに注ぐ」作業が3回発生し、3~5分かかる。筆者は身長が低い(152cm)ので、食洗機に水を入れるときに背伸びしなければならず、こぼさないように注ぐにも気を遣う。もたもた給水していると、夫に「その時間に洗えるじゃん」と突っ込まれてしまった。

高さもあるので、給水はめんどくさい

とは言え、平日の食器洗いを担当している息子が「食器を手洗いするより水を注ぐ方が楽」と主張するので、ラクアをもっと快適に使うためにウォータージャグを購入した。

サンコーも自社製品を販売しているが、今すぐ欲しかった筆者はAmazonプライムで翌日配送に対応している他社品を選択。うん。ジャグのおかげで使い勝手は格段に良くなった。

水がたまるまで違う作業(歯磨きとか、植物の水遣りとか)ができるので、何かのついでにジャグに水をため、食器洗浄機の上に置いておけばいい。これでだいぶ自動給水に近づく。シンクから食洗機上にジャグを運ぶのはちょっと重いけど、そこまで大変でもない。

5.5Lのウォータージャグだと1回で給水可能

調理スペースはほぼ侵食された

そして、もう一つの関門が置き場所だった。

キッチン家電は、スペースの争奪戦だ。スープメーカーもホットクックも、ホットプレートも欲しいものはいくらでもあるけど、お金だけでなく置き場所を捻出しなければならない

ぶっちゃけ、ラクアはでかい! 筆者が住んでいるのはファミリー向け賃貸住宅だが、それでもキッチンの調理スペースをほぼ侵食している(本体サイズ42.5×41×45.5cm/幅×奥行き×高さ)。これを置くために、水切りかごも撤去し、シンク上に調理スペースを作って食材を切ったり、洗った鍋を置いたりしている。

シンクの上に調理スペースを確保した

筆者にとって家事の最優先課題は時短であり、夕食作りも食材宅配サービスのカット野菜を導入し、仕込んだり切ったりする手間を最小限にしている。だから調理に必要なスペースと洗い物も比較的少ないし、キッチンとダイニングテーブルの距離が近いので、いざとなればテーブルを調理台にもできる。

逆に向いていないのは、料理が好きで、日常的に調理器具やざる、ボウルを使い、洗い物もそれなりに出て、その割にはキッチンが広くない人だと思う。

料理をしたり、物を置く場所はかなり制約を受ける

繰り返しになるが、食洗機は「ピカピカの洗いあがり」「節水」をアピールする機種が多いものの、欲しい人は「楽したい」わけであり、汚れを落として乾燥してくれれればそれでいいという人が多いのではないだろうか。

結局は価格とスペースのバランス、そして家電の使用によって違う面倒ごとが発生しないかが大事な気がする。ラクアの価格は素晴らしい、けど1万円高くてもいいから41cmある奥行きをもう少しスリムにしてくれると、もっと嬉しいです。

浦上 早苗

新聞記者歴12年。2010年に小1の息子を連れ中国に博士留学。その後現地での大学教員を経て2016年に帰国。息子が中1のときに初めて結婚し、シングルマザー生活に終止符を打つ。フリーランスで経済ジャーナリスト、翻訳、MBA教員など。公私ともに何でも一人でやってきたので、効率化とマルチタスクは得意分野ですが、家電偏差値は35くらい。取扱説明書を読む時間ももったいないので、直感で動かせる電気製品、デバイスであるかは購入の重要な決め手。