家電製品レビュー

工事不要ですぐ使える! 3万円のアイリスオーヤマ食洗機で大満足

とりあえずシンク脇に設置

食洗機と私

食洗機の普及率は、全国平均で約30%と言われている(出典:内閣府 平成26年全国消費実態調査)。主流はシステムキッチンに組み込まれる「ビルトイン型」で、今や新築の戸建てやマンションでは必ずと言っていいほどの装着率となっている。

一方、筆者はずっと賃貸の借家暮らしであったが、多少古い物件だったので、ビルトイン食洗機が付いていなかった。そこで後付け型の小型食洗機である、パナソニックの「プチ食洗」シリーズを自分で設置、愛用していた。どれぐらい愛用していたかというと、3~4年で再起不能になるたびに買い換え、都合3台を使い潰したほどである。

後付け食洗機は、水道を分岐して接続しなければならない。借家はシンクの蛇口がワンホール型だったので、ネットで分岐水栓を購入して、自分で工事した。

今年3月に賃貸マンションに引っ越したのだが、そこの蛇口はお湯と水が別々のパイプで突き出している、壁付タイプであった。これに分岐水栓を付けるとなると、ジョイント金具を計2本入れる必要があるので、なかなか面倒だ。

しかし世の中には色々考える人がいるもので、サンコーから「水道要らずのタンク式食洗機 ラクア」という商品が出ていることを知った。これならウチにも設置できるのではないかと思い、早速ネットで検索するも、人気商品ゆえにどこも品切れ。

半ば諦めかけていたところ、アイリスオーヤマからも似たような商品が出ていることがわかった。食器洗い乾燥機「ISHT-5000-W」がそれだ。直販サイトのアイリスプラザで29,800円。こちらは在庫ありということで、早速オーダーしてみた。

細かいところまで良くできた作り

洗浄能力としては家族3人分と聞いていたので、パナソニックのプチ食洗シリーズよりやや小ぶりなのかと思っていたのだが、届いた箱を見てびっくり。サイズ的には、配管必須の4人用据え置き型とほとんど変わらない。工事不要型は内蔵タンク内に水をためて洗うわけだが、このタンクの分で、1人ぶんの内容積を占めているということだろう。

想像以上にデカい箱で届いた

外観はシンメトリックな立方体で、フロントパネルはツルッとした樹脂製。ボタン類はタッチセンサーで、押してへこむスイッチはどこにもない。ボディ外装は金属シャーシだが、フロントパネルと同質に見えるよう、白い塗装で一体感を出している。とりあえず、シンク脇50×50cmほどのスペースに問題なく置けた。

とりあえずシンク脇に設置
スイッチはすべてタッチセンサー

付属品はすべて本体内に収まっていた。本体に水を入れるための給水バケツ、排水ホース、小物バスケット、アースなどだ。

付属品は給水バケツ内に同梱

本体サイズは42×44.5×43.5cm(幅×奥行き×高さ)だ。天面には水を注ぎ込むための給水口、右サイドには乾燥時に排気するためのファンがある。

上部に給水口がある
右側面に小型の排気ファン

中のカゴはローラーが6輪付いており、引き出しも滑らかだ。また蓋を開けると上部のLEDライトが点灯し、中身がわかりやすい。プチ食洗は内部にライトがなかったので、内部の様子がよく見えなかった。これなら内部の汚れも発見しやすいだろう。

フタを開けるとLEDライトが点灯し、中身がよく見える
重量がかかる前方にダブルのローラーで、引き出しも滑らか

フタの裏側の凹みは、食洗機用洗剤を入れる部分だ。おそらく粉末洗剤での使用を想定しているのだろうが、液体洗剤でも6gのところのラインまで入れることで、問題なく洗浄できている。

フタ内側に洗剤を入れる凹みがある

給水は、付属の給水バケツで行なう。給水すると、満水になった時にアラートで知らせてくれるので、入れすぎて溢れるという事はない。バケツ自体は最上位の目盛りまで入れると1.8Lなので、これで3回給水すると満水になる。

付属の給水バケツ

洗浄ノズルは、上に小型のものが、下に長いものがあり、回転しながら撒水する。

上部の撒水ノズル
底部の撒水ノズル

運転コースは、標準、念入り、お急ぎ、ソフトの4タイプ。標準コースの洗浄時間は約1時間30分で、結構速いほうだ。お急ぎモードなら約40分である。

洗浄後は1時間のドライキープモードになるが、ファンの排気量が少ないのか、乾燥するまでには至らない。むしろ洗い上がったらフタを開けておいた方がよく乾くぐらいだった。

3人用で十分か?

すでに導入して3週間ほど経過するわけだが、4人家族の家に3人分の食洗機で足りるのか、という心配もあった。だが、箸、茶碗、コップなどの小物を全部食洗機に放り込み、大物は手洗いすると割り切れば、十分すぎるほど戦力になる。また運転時間が短いので、2度回すのも苦にならない。

特にプラ食器に油物といった組み合わせでは、手洗いではなかなかぬるつきが取れないものだが、食洗機なら一発でツルツルになる。中華やイタリアンなど、油を多く使う料理の後始末が楽ちんなのは本当に助かる。

残滓ネットも大きめなので、掃除しやすいのもメリットだ。食洗機に入れる前に食器を水でざっと残滓を流してしまえばそれほど汚れないし、細かいものはほとんど排水パイプから流れ出てしまうので、小まめに掃除する必要はない。

これまで型番違いの据え置き型を3台使ってきたが、動作音はかなり静かなほうである。以前は食洗機が回り出すと、そのそばでは話もできないぐらいだったが、それに比べれば十分静かだと言える。かといって洗浄力が弱いわけでもないので、ちょうどいいバランスなのだろう。

唯一の弱点は、やはり給水の手間だ。バケツ3回を天面から入れるのは、それなりにめんどくさい。一時的にホースでも繋いで、ジャーッと給水した方が楽かもしれない。実際そうした給水を想定して、付属品を準備している他社製品もあるようだ。

しかし水道の近くに置かなくてよいというのは、利点でもある。ユーザーの中には、排水をバケツで受けることにして、水回りではない場所に設置している人もいるそうだ。確かに後付けモデルはただでさえ狭いシンク周りをかなり占領するので、棚などに置ければそれに越したことはない。筆者宅はシンクとは別に大きなキッチンワゴンがあるので、もっぱら調理はその上で行なう事で対処している。

3万円程度で買えてどこにでも置ける食洗機「ISHT-5000-W」は、シンプルな作りながら十分な洗浄能力を持つ。これまで設置の関係で、食洗機を使ったことがない人にこそ、使って欲しい製品だ。くすんだガラス製花瓶なども、一発でピカピカ。スポンジでは洗いにくいおろし金やピーラー、スライサーなども、安全に洗える。

皆さんもぜひ食洗機の虜となって、もし壊れたとしても、そのたびに新製品を買うような筆者の仲間となって欲しい。

小寺 信良