家電は共働き家庭を救うか!?

食洗機設置で想定外のトラブル。自分で業者を探した末路

息子が中1のときに初めて結婚した著者が、家電偏差値35ながらに、時短家電を使いこなす日々を綴ったコーナーです

 この度、我が家で「共働き家庭三種の神器」とも呼ばれる食洗機をレビューさせていただけることになりました。しかし今回は、食洗機のレビューではなく、その取り付けに至るまでのこぼれ話です。

卓上式は選択肢が少ない

 購入を検討し始めて知ったのですが、卓上タイプの後付け食洗機を出しているメーカーってさほど多くありません。パナソニック、アクア、そしてもう少し小さなメーカーがいくつか、という程度です。

 卓上式食洗機は、キッチンや流し台の大きさの制約も受けるため、他の家電のように「どれにしようか迷う」ということもなく、我が家の流し台に置けるのは一つの機種だけということも分かりました。その時点で私は、食洗機についてそれ以上調べる意欲を失ってしまいました。

水栓のカバーナットが外れない

 食洗機を使うには、蛇口の本体に食洗機へ給水するための分岐水栓を取り付けなければいけません。家電量販店で購入した場合、その量販店が工事業者を手配してくれることが多いですが、今回はメーカーから食洗機を借りる際に、取り付け工事も手配していただきました。

 9月中旬の平日午後、業者さんが食洗機の取り付けにやってきました。私はリビングで仕事をしながら作業を見守っていたのですが、業者さん2人の会話がなんだかただならぬ雰囲気です。しまいには、男性2人が「大きなかぶ」のごとく水栓を握って、「よいしょ!」と声をあげ始めました。2人がかりってどういうこと?

 40分ほどすると、業者さんが私の方を向いて「今日は取りつけられません」と宣告しました。いわく、水栓のカバーナットが固すぎて取り外せないとのこと。

 「築年数が経った建物ではたまにあるのですが(注:我が家は築20年)、私は電気工事業者なので、力づくで外して何かあった時に責任が取れません。

 水道工事の会社に頼んでみてください。クラシアンはすぐ来てくれますよ。ちょっと高いけど」そう言い残して2人は帰ってしまいました……。

食洗機の給水、排水のために分岐水栓を設置する必要があるのだが、我が家の水栓は経年劣化でカバーナットが固くなり、ここからなかなか外れなかった

消費増税前で工事予約難航

 実を言うと、設置工事に来てもらった日は私の誕生日でした。食洗機を取り付けた写真に「自分へのプレゼント」という文面をつけてSNSに投稿する気満々だったのに、現実は足元に食洗機と分岐水栓が転がっているという悲しいバースデー。

 そして、時短を実現するはずの食洗機なのに、自分で業者を探すというタスクが追加されてしまった! なんて日だ! 水道工事業者の当てがないので、マンションの管理人さんに聞きに行くと「クラシアンはすぐ来てくれますよ。ちょっと高いけど」と、さっきの電気工事業者さんと全く同じ反応。

 すごいなあ、「すぐ来る」「ちょっと高い」が評価として定着してるクラシアン。そこまで急ぎではないので、管理会社と取引のある水道工事業者さんを紹介してもらい電話すると、「消費税の増税前なので、予約がいっぱい」と申し訳なさそうに出動を断られました。駆け込み消費の余波が思わぬ形で私の身に降りかかったのです。

 食洗機の取り付けだけで、こんなに右往左往することになるとは全くの想定外です。そこに至って私はようやくネットで「食洗機の取り付け」に関する情報を収集。「水栓」「カバーナット」「固着」で検索すると、山ほどヒットしました。

最後にたどり着いたマッチングサイト

 分岐水栓と食洗機の設置は、8,000円~10,000円と決して安くはありません。中にはDIYでやってしまう人もおり、YouTubeでも手順を説明した動画が多数見つかりました。

 しかし小中高時代に図工、美術、技術、家庭科と手を使う科目は2と3の間を行ったり来たりだった私は、自分でやるつもりは毛頭ありません。当てもなくネットサーフィンを続け、たまたま引っかかったのが、「くらしのマーケット」という家庭と地域の業者さんをつなぐマッチングサイトでした。

 ハウスクリーニングや不用品回収、ふすまの張替えなどをやってくれる業者さんを探せるそのサイトには、「食洗機の取り付け」もカテゴリーとして用意されており、自宅の所在地を入力すると、対応可能な業者さんが10件ほどヒットしました。

 価格は8,000円から30,000円までと幅広く、過去の依頼者のレビューも確認できます。ざっと見て、「区指定の水道工事業者」と自己紹介がある会社にお願いしたところ、こちらも「消費増税前の繁忙期で、向こう10日間はスケジュールが空けられません」との返信。

 2番目に問い合わせたところは、翌々日に来てもらえると返事がありました。メッセージで、「水栓のカバーナットが固着していて、最初に来た業者さんが対応できなかった」と伝えると、「1時間やってみてだめだった場合でも料金をいただくけどいいですか」と言われましたが、それも了承し予約を入れました。

カバーナットの「固着」は珍しいことではない

 2日後、くらしのマーケットで予約した根本さんがやってきました。水栓を器具で動かしながら、「ちょっと力技になるけど、頑張って外しますね」と言って20分弱。静かに作業をしていた根本さんが、「外れましたよ」とやや大きな声を上げました。

 「経年劣化で、固着していんです。そんなに珍しいことではないですよ。ただ、食洗機取り付けを70~80件やってきた中で、1回だけどうしてもカバーナットを外せなかったことがあったので、実際にやってみるまでは『大丈夫です』とは言えないんですよ」と根本さん。

 その後、留守にするときの注意点や食洗機の基本的なレクチャーもしてもらい、根本さん到着から50分ほどで全作業が完了しました! ありがとう、くらしのマーケット!

くらしのマーケットで予約して来てくれた根本さん。無事設置完了

業者さんの本業はレースドライバー

 根本さんに代金を払うとき、気になっていたことを聞いてみました。「くらしのマーケットの口コミに、『すごい車で来た』とあったのですが……」

 根本さんは「あー!」と笑って、「僕、本職はレースドライバーなんですよ。パリダカ(ダカール・ラリー)にも、日本人で初めて出場したのですよ」とまさかのキャリアを披露しました(たしかに、こちらのサイトを見ると1981年出場者に名前があります)。

根本さんの本業は、レースドライバー。今もさまざまなイベントを企画している(根本さん提供)

 「自分の車のカスタマイズしてたら、人にも頼まれるようになって、その範囲が家電にも広がっていったんです。普段は車や街づくりのイベントをやっているのですが、余裕があるときにこうやって仕事を受けているんですよ」

 長年培ってきた技能を、マッチングサイトで売っている根本純さん、御年68歳。これは人生100年時代の模範なのでは。ここでお別れするには惜しすぎると思い、その場でFacebookに友達申請し、名刺も交換しました。我が家に来ていただいたときは、銀座をクラシックカーでパレードするイベント「THE 銀座RUN」の準備真っ最中でした。

 好きなことをやりながら、得意なことで稼ぐアクティブシニア。食洗機の設置に手こずったおかげで、勇気がもらえる出会いにつながりました。あらためて、くらしのマーケット、ありがとう!

食洗機が使えるようになった喜びで、記念写真

浦上 早苗

新聞記者歴12年。2010年に小1の息子を連れ中国に博士留学。その後現地での大学教員を経て2016年に帰国。息子が中1のときに初めて結婚し、シングルマザー生活に終止符を打つ。フリーランスで経済ジャーナリスト、翻訳、MBA教員など。公私ともに何でも一人でやってきたので、効率化とマルチタスクは得意分野ですが、家電偏差値は35くらい。取扱説明書を読む時間ももったいないので、直感で動かせる電気製品、デバイスであるかは購入の重要な決め手。 息子に、「公式戦のユニフォームと練習用のズボンとはだしで超ダサい」と言われた写真。