趣味の節電道入門
第40回:炭で部屋を除湿しようとしてみたところ……
by 小口 覺(2015/5/27 07:00)
もうじき梅雨の季節である。
洗濯物は乾かないし、カビの増殖も加速する、何より湿気自体が不快だ。以前、洗濯物の部屋干し対策として、扇風機の風で回転する物干しスタンドを導入したが、洗濯物はよく乾くものの、部屋の湿気はむしろ上がってしまう。
わが家にも除湿機はあるが、200~300Wと電気喰いであり、節電家として長時間の使用は避けたい。電気を使わずに部屋を除湿する方法はないかと考えていたところ、思いついたのは「炭」の活用だ。
押し入れや下駄箱用の除湿剤には、炭成分を配合した製品が数多くある。エコなイメージのためだろう、竹炭や備長炭の名前が前面に出ていたりするが、主成分は塩化カルシウムである。塩化カルシウムは水分を含むと発熱するため、道路の凍結防止や雪かきにも使用されている。
もちろん、木炭にはミクロレベルの孔が無数に空いており、水分を吸着することで除湿の効果があるのも事実。ならばと、除湿剤よりも単価が安い炭を箱買いして、除湿に使えないか試してみることにした。
購入したのは2kgで2,000円ほどの土佐備長炭。備長炭といえば炭におけるスーパースターであり、偽物も存在するらしい。「見せてもらおうか、備長炭の性能とやらを」と、さっそく除湿効果を試そうとしたが、あいにく部屋の湿度は30%程度と低め。そこで、シャワー使用後のバスルームでテストすることにした。
シャワーを使ってしばらく放置したバスルームの湿度は、熱帯雨林さながらの92%。ここに、備長炭を箱ごと置いて湿度の変化を計測する。
1時間後、バスルームに行って湿度計を確認する。変化なし。2時間後、変化なし。3時間後、湿度は93%に上昇! あれ、おっかしいなあ……。おそらく炭に吸着する水分よりも、新たに蒸発する水分の方が多いのだろう。
水浸しのバスルームに炭2kg程度では量が少なすぎるのだろうか。ネットで調べたところ、床下の湿度を15%下げられたというデータが見つかったが、大量の炭を敷き詰めての実験であった。実験って素人がやるのは難しいですね。ならば狭いスペースなら除湿できるだろうと、不織布の袋に炭を入れ、下駄箱やトイレに置くことにした。「炭の除湿効果はあります!」と震え声でつぶやきながら……。
翌日、下駄箱を開けてみたところ、いつもは革の臭いと共に汗臭さが鼻を刺激していたのに、汗臭さのみが消えていた。そう、炭の消臭効果が現れたのだ。同様に時折トイレに漂うアンモニア臭も感じることがなくなった。これはうれしい。
気をよくして、冷蔵庫や玄関にも置く。家は住んでいる人には気づかない独特の臭いがあるそうだが、炭があることで訪れた人から「この家、ヘンな臭いがするわ」と思われずに済むかもしれない。
炭は定期的に天日に干してあげれば消臭能力も復活するし、消臭剤としてかなりコスパが高い。しかも、最後はバーベキューに使えばまったくムダにならない。消臭剤買うなら備長炭箱買いですよ、奥さん!
もう当初の目的である部屋の除湿がどうでもよくなっているというね……。