趣味の節電道入門

第9回:卓上USBファンを冷風扇として使う

 昨年、無印良品の店頭で見つけた「USBデスクファン」。USBの扇風機というと“ちゃちい”感じの製品が多い中、これはしっかりと風が出つつ音も静か。しかも首振り機能を備えている、ということで購入したのだった。

 当然消費電力も小さく、カタログスペックでは、0.95W(弱・首振りなし)~1.3W(強・首振りあり)。価格的にも2,500円程度(昨年購入時)なので、オフィスのデスクなどで使うのにちょうどよいアイテムではなかろうか。

無印良品『USBデスクファン』(購入価格2,500円)。風量は2段階に調節できる。首振り(というより台ごと動くのだが)タイプは昨年から登場した
前後2つのプロペラが逆方向に回転する、「二重反転羽根」方式により静音性と風量を両立している。羽根は前側が7枚、後ろ側が5枚
USBの電流・電圧メーターで、実際の消費電力を計測してみた。風量弱(首振りなし)の消費電力は約0.89W(電流0.18A×電圧4.96V)。モバイルバッテリーで稼働してもかなりの時間働くだろう

 さて、ただUSBデスクファンを使うのでは面白くないので、今回は「冷風扇」っぽく使ってみることにした。

 冷風扇というのは、水の気化を利用して冷風を送る電気製品。値段は5,000円~10,000円ほどで、エアコンよりも安くて省電力という売られ方をしている。だが、水の気化を利用しているので「部屋の湿度が上がる」「思ったほど冷えない」「水や氷を補充するのが面倒」などのデメリットもある。もちろん、満足して使われているユーザーもいるはずだが、残念ながらネットなどでは、「安物買いの銭失い」的な評価が多くなってしまっている。

 USBデスクファンの前に氷を置き、冷風扇の効果を得てみよう、というのが今回の実験だ。これならコストもほぼゼロで失うものはない。

 皿に載せた氷はわりとすぐに溶けるので、交換が面倒だし、水をこぼしてしまう心配もある。そこで目を付けたのが、最近コンビニで売られるようになったお茶やスポーツドリンクの「冷凍ペットボトル」だ。

 これなら水がこぼれることはないし、気化によって部屋の湿度が上がることもない(むしろ、表面に結露するため、わずかながら部屋の湿度は下げられるかも)。なにより、冷たい飲み物を飲みながら、涼しい風を感じられるのがいい。効果を増やしたければ、凍らせたペットボトルを何本か並べるといいかもしれない。まぁ実際の効果は気分的なものだが、「工夫して涼しくなっているぞ」という満足感も(最初のうちは)あり、気分もそう馬鹿にしたものではない。

まずは冷蔵庫で作った氷を皿に載せてUSBデスクファンの前に置いてみた。手をかざしてみると、氷がない時よりも風が涼しく感じる。室温は30℃ないにもかかわらず、みるみる氷が溶けていく
温度計を前に置いて気温の変化を計測してみた。最初27.0℃だった気温は、5分後に26.5℃、10分後には26.0℃に下がった。ただし、それ以降の気温に変化はなし。もちろん、部屋全体の気温を下げるほどの力はない。ちなみに湿度は60%のまま動かなかった
個人的なおすすめは冷凍食品。涼しい風を感じつつ、自然解凍される。電子レンジなどで解凍するなどのエネルギーが節約できるのだ(自然解凍しても問題のない食材を選んでください)

小口 覺