趣味の節電道入門

第10回:お知らせが楽しみになる、電気使用量の読み方

 電気料金値上げのニュースを耳にしたところで、節電家の心は決して乱されることがない。

 なぜならば、節電家にとって電気使用量こそが己の戦闘力を測る指標であり、電気代など結果に付随するオマケに過ぎないからだ。相撲取りにとって、勝負そのものが懸賞金より大事であるのと同じである。消費税や化石燃料費によって増えた料金を気にするのは、力士が土俵の上で懸賞金の袋を開けて確認するような行為と言えよう。節電家にとって、節電は「自分との闘い」であるべきなのだ。……って、何カッコつけてるんでしょうね(笑)。

 ともかく、節電を始めると、毎月の電気使用量のお知らせが楽しみになる。正確に言うと、検針員によって郵便受け(もしくは新聞受け)に入れられるのが「電気ご使用量のお知らせ」で、その後に郵送されてくるのが「電気料金等領収証」だ。

 筆者の自宅では、毎月5日前後が検針日になるのだが、検針員がメーターを確認し、プリンターでお知らせを印字している音が聞こえると、ドアのそばで待機しているほどだ。まるで飼い主を待つ犬である。

 今回は、「電気ご使用量のお知らせ」の読み方、および使用量・料金の計算方法について解説しておこう。※以下、基本的に東京電力のサービスを元に説明しています。

お知らせの読み方

①契約内容
 東京電力エリアで、家庭や小規模な事務所などでもっとも多いと思われる契約種別が「従量電灯B」だ。そして、電気料金を安くするネタとしてかならず出てくるのがアンペア(A)数。東京電力の場合、アンペア数によって基本料金が異なるため、ブレーカーが落ちない範囲で下げると料金の節約になる。たとえば、60Aの契約を30Aに変更すると、基本料金は1684.8円から842.4円と半分になる。

②使用量
 お知らせで最初に見るのはここ。電気使用量は「kWh」という単位で表示されている。使用期間は、月により28日間だったり、31日間だったりとムラがあるので、前の月と数字が同じでも、1日あたりの使用量は違う場合がある。

③請求金額とその内訳
 押さえておきたいのは、「電力量料金」(1段料金〜3段料金)の項目(この後解説します)。燃料費調整額や再エネ発電賦課金等は、以前よりも高くなっている。

④前年同月との比較
 1日あたりの使用量が、前の年の同じ月にくらべてどう変化しているかが記載されている。ここが減少していると節電家として幸福を感じる。

メーターを見れば、検針員の来る前でも電気使用量が確認できる。お知らせにある「当月指示数」から増えた数値が、これまでの使用量だ

料金の単価は、使用量によって3段階に変わる

 「電力量料金」は、使用量に応じて額が決まるのだが、単価が使用量によって3段階に変動する。第1段階(120kWhまで)が最も安く、第2段階(120kWh超え300kWhまで)、第3段階(300kWhを超えた分)と、使うほどに単価が高くなる。第1段階と第3段階とではkWhあたり10円以上の差となっている。一般的な市場価格とは異なり、使えば使うほど高くなるのが電気料金なのだ。

 言い方を変えると、節電によって電気使用量を抑えると、加速的に電気代が下がる仕組み。わが家も節電をする前は、第3段階まで行くのが普通で料金は10,000円を超えていたが、今ではほぼ第2段階までに収まり、電気代は6,000円前後に落ち着いた。

電気製品から使用量を予測する

 最後に、電気製品の消費電力(W)から、おおよその使用量(kWh)を計算する式を説明しておこう。

 上の絵のように、消費電力(W)×使用時間(h)÷1,000=使用量(kWh)となる。たとえば、200Wの液晶テレビを毎日3時間使うなら、月(30日間)の使用量は、200W×90時間÷1,000=18kWh。料金は、第2段階の25.91円を当てはめるならば、466.38円だ。

 ちなみに、家電のカタログやCMなどに表示される「目安単価」は、電力会社による値上げを受けて、22円/kWhから27円/kWhに引き上げられている。この数値は、第2段階と第3段階のほぼ中間にあたる。

 つまり、節電により第2段階までに抑えておけば、カタログの表示よりも家電の電気代を低くできることになる。

 あれ? 冒頭に「電気代などオマケ」と書いておきながら、料金の話になってしまってる(笑)。

小口 覺