趣味の節電道入門

第8回:サイクロン、ロボット、ハンディ、一番省エネな掃除機はどれ?

 やり終えたときの達成感は大きいものの、取りかかるまでが面倒な家事が「掃除」。一般的な掃除機では、本体を取り出し、電源コードを引き出してコンセントにつなぎ、掃除が終わった後にゴミを捨て(サイクロン方式の場合)、コードを外して収納、本体をしまう、という一連の作業を必要とする。

 なのでロボット掃除機は人気である。わが家では、2003年に国内販売が開始された初代「ルンバ」から、日々の掃除はロボット掃除機におまかせしている。とはいえ、ロボット掃除機にも限界があり、パーフェクトではない。ある程度の広さがあるスペースではよいが、足の踏み場もないような狭い空間では能力を発揮できない(筆者の仕事部屋がまさにそう)。また当然だが、床以外の場所の掃除も無理である。

 そこで、わが家ではマキタのコードレスハンディクリーナー「CL102DW」を投入し、狭いスペースの床掃除や、机上、テレビの裏側などの“ちょい掃除”に使用している。メインのキャニスター掃除機としてダイソンの「DC12 turbo」(メインと言う割に稼働頻度は低いが)を使っているので、合わせて3台の掃除機を使い分けている。

 本題である節電の話に入ろう。実際にどのぐらいの電気代がかかるのか、3台をそれぞれワットモニターにて調べてみた。

 まずは「ルンバ」。Webサイトには「1時間でわずか約1円」の記述があり、かなり省エネなのは知っていたが、実際に1時間稼働し(6畳×2部屋+約8畳のスペースを十分に掃除できる)、フル充電されるまでの電力量を計測。その結果は0.42円。公式の数値よりも低く出た。実際には、フル充電後の待機電力が3Wほどあり、電気料金の値上げも含めると、トータルでは1時間あたり1円に近くなると思われる。

1時間稼働してからフル充電されるまでの時間は約1時間。充電中は26〜28Wほど、充電完了後は約3Wを消費している
最新モデル「ルンバ 800シリーズ」(手前)をメーカーからお借りしたときの写真。髪の毛や糸くずがからまないブラシ、より高められた吸引力が魅力だが、現役のルンバちゃんを捨てるのも忍びない(一軒家なら1階と2階で分担させられますが)

 次に計測したのは、ダイソンのサイクロン掃除機。稼働時の消費電力は900W弱。5分間で約2.5円、10分間掃除すると5円ほどの電気代がかかる計算になる。消費電力が大きいので、節電のためには掃除する前に部屋を片付けるなど、少しでも稼働させている時間を減らす必要があるだろう。ロボット掃除機でなくても、事前の片付けは大事ということか……。

 充電式のハンディクリーナーは、どうだろう。マキタの「CL102DW」は、強モードで約13分の連続使用が可能だが、バッテリー切れのお知らせランプが点灯した状態から充電を開始し、フル充電までの電気代を計測した。その結果は0.21円と、ルンバの半分ほど。ただし「CL102DW」は紙パックを採用しており(繰り返し使える布パックもあるが)、電気代以外のコストがかかる。

ダイソン「DC12 turbo」(定格消費電力1,200W)の実際の消費電力は900W弱と、電気ケトルやヒーター並み。だらだら掃除していると、どんどん料金の数値が上がっていく。このメーターがホースの持ち手にあれば、すばやく掃除しようという意識が高まりまくるに違いない
マキタのリチウムイオンバッテリーの容量は1.3Ah(10.8V)。充電中の消費電力は23〜24W。ハンディでも10分あれば、かなりの面積が掃除できます

効率的な使い方は?

 普段の掃除は、「ロボット掃除機+ハンディクリーナー」(約0.7円)の組み合わせが電気代的にも手間的にもベストではないだろうか。充電池がニッカドの時代は、劣化が激しくバッテリー交換のコストがかさんだが、リチウムイオンになってからは、それを気にする必要もなくなった。ワンルームなど、床面積が小さいのであれば、ハンディクリーナー1台で済ませるのも合理的だろう。

 サイクロンなど一般的な掃除機は消費電力が大きいため、マイクロファイバーのモップを併用するなど、掃除時間を減らす工夫が重要。10分を5分に減らせれば、1年で900円ほどの節約になる計算だ。わが家では、平日が「ロボット掃除機+ハンディクリーナー」(もしくはマイクロファイバーモップ)、週末にサイクロン掃除機というパターンに落ち着いている。

小口 覺