走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

HOKA人気シューズ第10弾、走るとわかる良さとは?

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
HOKA「クリフトン 10」

HOKAの「CLIFTON 10(クリフトン 10)」は、同ブランドを代表するベストセラーシリーズの第10弾。適度な厚みのミッドソールは、あらゆるレベル、タイプのランナーに愛されており、ワールドワイドで高い人気を得ている。最もポピュラーなプロダクトのモデルチェンジだけに、今回も多くのランナーから注目が集まっている。

そもそも「クリフトン」は、それまでの「マファテ」や「ボンダイ」などと比較すると、厚さを抑えたミッドソールを使用し、より幅広いランナー層をターゲットとした。2014年に初代が登場したものの、2代目まではヒットモデルとは言い難かった。だが、第3弾の「クリフトン 3」で大ブレーク。一躍同ブランドのベストセラーの一角を占める存在となった。今回の「クリフトン 10」は、前作から踵(かかと)とつま先の高低差、すなわちドロップを3mm高くすることで、従来にない走り心地を提供。着地から蹴り出しまでのスムーズな動きを追求した。

ミッドソールにはクッション性と耐久性に優れたCMEVAを使用

まず足を入れると、アッパーのフィット感が微調整されたことにより、足とシューズの一体感が高まった気がする。実際に走り始めると、これまでの快適なクッション性はそのままに、着地から蹴り出しまでのムーブメントが滑らかになったと思えた。

履き口の特殊形状は、着脱時、走行時の両方で快適性を向上させる
アッパーは快適な履き心地で知られた前作よりも細部を改良して、長時間の走行でもランナーの最高のパフォーマンスを引き出してくれる

5mmから8mmへのドロップの変更は、立っている状態だとあまり気付かない。だが、走り始めると気が付くランナーは少なくないはずだ。それでいて“走らされる”感覚はなく、むしろ日々のランが楽しくなるといえる。

このように「クリフトン 10」は、デイリーランの定番というポジションに甘んじることなく、より高い走行性能を追求している点が評価できる。機能性をさらに向上させているにもかかわらず、価格を20,900円から19,800円へと値下げしている点も、ランニングシューズのヘビーユーザーには嬉しいことだ。豊富なカラーバリエーションや幅広の足のランナーに向けてワイドサイズが用意されているのも、人気モデルたる所以だ。

アウトソールは、耐久性に優れたデュレーションラバーを使用。特にアスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮する構造だ
南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『人は何歳まで走れるのか?』『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。