走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!
ニューバランスの高コスパシューズは推進力と安定性が抜群「フューエルセル プロペル v4」
2023年6月16日 08:05
ニューバランスのパフォーマンスランニングシューズは、ミッドソールテクノロジーにより2つに大別される。ひとつがFresh Foam(フレッシュフォーム)で、もうひとつがFuelCell(フューエルセル)である。
前者が衝撃吸収性に優れ、長い距離を快適に走ることを目指すのに対し、後者は、優れた反発弾性の素材を用いることで、より速く走ることができる。
今春リリースされた「FuelCell Propel v4(フューエルセル プロペル v4)」は、リーズナブルなプライスながら優れた走行性能を実現した1足であり、リリース以来良好なセールスを記録している。
前作から安定性に加えて反発性も兼ね備えた、プレート入りモデルとしてリニューアル。従来よりもソフトなフューエルセルと、カーボンプレートよりも柔軟なTPU(熱可塑性ウレタン)プレートを採用。身体の負担を軽減するだけでなく、TPUプレートの反発性を受けながら安定性も確保されることで、前方への推進力を実感できる構造だ。
これによりトレーニングに最適なコントロール抜群のプレートシューズの入門モデルとなっている。そして、このシューズで見逃せないのは、そのリーズナブルな価格設定。定価が12,100円というプライスは、値上げラッシュが珍しくなかった昨今のランニングシューズ市場に逆行しているといえるだろう。
まず足を入れてみると、シューズの縦の寸法、すなわち足長は若干長めながら、かかと部分がしっかりと密着しているので、フィット感に問題はない。
見た目よりも軽く感じるのは、優れたフィット感を有しているからだろう。
走り始めると、フューエルセルならではの反発性が感じられるが、素材の変形は同シリーズの「フューエルセル レベルv3」よりも少なく、推進力こそやや劣る気もするが、着地安定性に関しては、フューエルセルシリーズ随一である。
フューエルセルシリーズは抜群の反発性能を誇る反面、着地時の揺れを指摘する声もあったが、新モデルでは全く問題ない。着地から蹴り出しまでの一連の動きもスムーズで、反発性だけでなく安定性も高いレベルにあることから、シューズに安定性を求める初心者ランナーにも対応してくれるはずだ。
「フレッシュフォームはいいテクノロジーだけど、もう少し推進力があれば……」などや、反対に「フューエルセルに安定性があったら……」といったランナーにピッタリな1足だ。
このようにニューバランスの「フューエルセル プロペルv4」は、優れた推進力と高いレベルの着地安定性、そしてリーズナブルなプライスを兼ね備えており、個人的には今春のベストコストパフォーマンスシューズに挙げられる1足。
前述の通りランニングシューズの価格はここ数シーズンで急騰しているが、このような状況でも12,100円という買いやすいプライスを維持しているのは賞賛に値する。アウトソール部分には広い面積でラバーを配しているので、1足のシューズを長く履きたいランナーにもおすすめである。