走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

ニューバランスの高コスパシューズは推進力と安定性が抜群「フューエルセル プロペル v4」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
ニューバランス「FuelCell Propel v4(フューエルセル プロペル v4)」

ニューバランスのパフォーマンスランニングシューズは、ミッドソールテクノロジーにより2つに大別される。ひとつがFresh Foam(フレッシュフォーム)で、もうひとつがFuelCell(フューエルセル)である。

前者が衝撃吸収性に優れ、長い距離を快適に走ることを目指すのに対し、後者は、優れた反発弾性の素材を用いることで、より速く走ることができる。

今春リリースされた「FuelCell Propel v4(フューエルセル プロペル v4)」は、リーズナブルなプライスながら優れた走行性能を実現した1足であり、リリース以来良好なセールスを記録している。

前作から安定性に加えて反発性も兼ね備えた、プレート入りモデルとしてリニューアル。従来よりもソフトなフューエルセルと、カーボンプレートよりも柔軟なTPU(熱可塑性ウレタン)プレートを採用。身体の負担を軽減するだけでなく、TPUプレートの反発性を受けながら安定性も確保されることで、前方への推進力を実感できる構造だ。

ミッドソールにはニューバランスが誇るテクノロジーであるフューエルセルを採用。優れた反発性を有し、抜群の推進力を誇る。ちなみに今回使用している素材は「フューエルセル レベルv3」などに使用しているタイプとは異なり、変形の少ないタイプ。それゆえに着地安定性も高レベル。さらにカーボンプレートよりも柔軟なTPUプレート(オレンジ色の部分)を内蔵。身体の負担を軽減しつつ、TPUプレートの反発性を受けながら安定性も確保され、前方への推進力を実感できる構造となっている

これによりトレーニングに最適なコントロール抜群のプレートシューズの入門モデルとなっている。そして、このシューズで見逃せないのは、そのリーズナブルな価格設定。定価が12,100円というプライスは、値上げラッシュが珍しくなかった昨今のランニングシューズ市場に逆行しているといえるだろう。

まず足を入れてみると、シューズの縦の寸法、すなわち足長は若干長めながら、かかと部分がしっかりと密着しているので、フィット感に問題はない。

見た目よりも軽く感じるのは、優れたフィット感を有しているからだろう。

アッパーには通気性とフィット性を兼ね備えたエンジニアードメッシュを使用している

走り始めると、フューエルセルならではの反発性が感じられるが、素材の変形は同シリーズの「フューエルセル レベルv3」よりも少なく、推進力こそやや劣る気もするが、着地安定性に関しては、フューエルセルシリーズ随一である。

フューエルセルシリーズは抜群の反発性能を誇る反面、着地時の揺れを指摘する声もあったが、新モデルでは全く問題ない。着地から蹴り出しまでの一連の動きもスムーズで、反発性だけでなく安定性も高いレベルにあることから、シューズに安定性を求める初心者ランナーにも対応してくれるはずだ。

「フレッシュフォームはいいテクノロジーだけど、もう少し推進力があれば……」などや、反対に「フューエルセルに安定性があったら……」といったランナーにピッタリな1足だ。

このようにニューバランスの「フューエルセル プロペルv4」は、優れた推進力と高いレベルの着地安定性、そしてリーズナブルなプライスを兼ね備えており、個人的には今春のベストコストパフォーマンスシューズに挙げられる1足。

前述の通りランニングシューズの価格はここ数シーズンで急騰しているが、このような状況でも12,100円という買いやすいプライスを維持しているのは賞賛に値する。アウトソール部分には広い面積でラバーを配しているので、1足のシューズを長く履きたいランナーにもおすすめである。

アウトソールはフラットなパターンで、アスファルトやコンクリートといった舗装路で最高のグリップ性を発揮。広い面積にラバーを貼ることで優れた耐久性もキープしている
南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『人は何歳まで走れるのか?』『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。