走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

体重が重めでも弾むように走れる、アシックスの「スーパーブラスト」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
アシックスの「スーパーブラスト」

現在アシックスは様々なランナーの要望に応えるべく、以前とは比べ物にならないくらい数多くのラインナップを揃えている。

そんな同社が、特に反発性能を重視したランニングシューズが「ノヴァブラスト」。「いつもの道をはずませよう」をコンセプトに開発されたBLASTシリーズの中核モデルで、2020年春に初代モデルがリリースされて以来、高い人気を誇る。現在は第3弾の「ノヴァブラスト 3」が販売されている。そして、同モデルよりももっとソールの弾性を高めたプロダクトが、今回紹介する「スーパーブラスト(SUPERBLAST)」である。

アシックスの「スーパーブラスト」は、BLASTシリーズのフラッグシップモデルとして、今年リリースされたニューモデル。「いつもの道をもっとはずませよう。」のキャッチコピーが用意されるなど、同シリーズで最もポピュラーなモデルであるノヴァブラストよりも、反発性の向上を追求していることが期待できる。

業界でも最も厚いレベルのミッドソール。この構造により得られる足の保護性能は、体重が重いランナーには嬉しい

「スーパーブラスト」のミッドソールには、FF BLAST PLUSとFF BLAST TURBOを使用。FF BLAST TURBOは、レーシングモデル「METASPEED」にも使用される、高反発素材だ。2種類のクッションを「ノヴァブラスト」よりも6mm厚いヒール高45.5mmというボリュームたっぷりに搭載することで、クッション性と反発性のバランスに優れたシューズになっている。

アッパーには、非対称のメッシュデザインを採用する一方で、シューズの内側と外側で異なるカラーを使い、視覚的な面白さを追求している。実はこの「スーパーブラスト」は、日本よりも先にアメリカで先行展開されたことから、SNSなどでその存在を知った日本のランナーから「日本でのリリースはいつ?」と登場が待たれていた1足である。

アッパーには通気性に優れたメッシュ素材を使用。足とのフィット感も高レベルにある

まず足を入れてみると、そのボリューミーなシルエットからは想像できない、軽さを感じる。足を包むアッパー部分も、緩すぎず窮屈でもなく、自分の足にピッタリとフィットしてくれた。

走り始めると、軽快にストライドを刻めたが、そのボリュームたっぷりなソールユニットから想像される、弾むような反発性は、1km走っても2km走っても感じることはできなかった。一方で極厚のソールユニットを配したことで、クッション性は他ブランドを含めても上位にあると思った。

最初にこのシューズを履いて走ったのは那覇の街であったが、泊大橋をペースアップして下るときに、あることに気付いた。「スーパーブラスト」はかなり厚手のミッドソールを使用しているので、着地衝撃が大きな状態でないと、想定した反発性を得られないのだ。実際、泊大橋の坂を下る際には、ミッドソールに大きな圧力がかかり、スタンダードモデルの「ノヴァブラスト」以上の反発性を感じることができたのである。

同様に、自分は体重が63kgだが、もっと体重の重いランナーであれば、そこまで速いペースでなくても、抜群の反発性能を体感できることは想像に難くない。このあたりの仕様もあって、日本よりも先にアメリカ市場で展開されたのかもしれない。

このようにアシックスの「スーパーブラスト」は、足の保護性能をしっかりと確保しつつ、抜群の反発性能を提供してくれるシューズ。さらに、どちらかというと体重が重めで、弾むような走り心地を求めるランナーに最適な1足といえよう。

アウトソールは必要最低限の箇所のみにソリッドラバーを配し、軽量化に成功。独特のソール形状がトランポリンのような反発性を生む
南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『人は何歳まで走れるのか?』『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間50分50秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。