走るライター南井正弘のコレはホントにスグレモノ!

抜群の軽さがレベルアップに貢献してくれるHOKA ONE ONEの「RINCON 2」

実際に履いて使って走ってから書く、ライターの南井正弘が「コレはホントにスグレモノ!」と太鼓判を押すスポーツアイテムを、毎週レコメンド!
HOKA ONE ONEの「RINCON 2」

現在のランニングシューズ業界を見渡すと、その主流は着地時の衝撃を吸収するためのミッドソールを厚くした、通称「厚底シューズ」であることがわかるだろう。

そんな厚底シューズのパイオニアがホカ オネオネだ。

2009年創業だから、今から11年前、当時は奇異に思われたというが、現在の状況を考えると、いかにこのブランドに先見の明があったかということが理解できるだろう。

そんなホカ オネオネにおいて、その軽量さで人気を博したのが「リンコン」。「ボンダイ」や「クリフトン」といった定番モデルでホカ オネオネの走り心地を気に入ったランナーが、ステップアップする際にピッタリな1足だ。そんな人気モデルが今シーズン、いよいよモデルチェンジし「リンコン 2」としてリリースされた。

早速その機能性をレビューしてみる。

メーカー名ホカ オネオネ
製品名リンコン 2
価格14,000円

ホカ オネオネというブランドの特徴は、何と言ってもマシュマロクッショニングと呼ばれる厚底ミッドソール。そこから抜群の衝撃吸収性と、メタロッカーというゆりかご状のソールユニットによる推進力が生まれる。

オンロード向けシューズでは、前述した「ボンダイ」や「クリフトン」といったシリーズが、デビュー以来根強い人気を誇り、ロングセラーとなっている。

そして最近人気上昇中なのがリンコンだ。このシューズは昨今の軽量化が進むランニング業界においては若干重さが気になるというホカ オネオネのシューズ(「ボンダイ 7」は303g)のイメージを払拭する、218gという超軽量性が大きな特徴。

今回の「リンコン 2」もアッパー素材をシングルレイヤーメッシュから、エンジニアードサンドイッチメッシュへと変更。摩擦の多い部分を強化しつつ、初代モデルと同じ軽量さをキープしている。

ホカ オネオネ独自の厚底ミッドソール。マシュマロのようなクッション性を実現する
アッパーは前作のシングルレイヤーメッシュから、エンジニアードサンドイッチメッシュへと変更。摩擦の多い部分を強化した

足を入れて実際に走り始めると、前作譲りの軽量性とクッション性、このブランドならではの転がるような推進力の高さをキープしていることが、すぐに理解できる。

アッパーのフィット感は確実に初代モデルよりもアップしていると思う。ホカ オネオネのシューズはどちらかというとゆっくりペースでいつまでも走っていたくなる走り心地のシューズが多い。だがこのシューズは、さらに「今日の自分はどこまでペースを上げられるのか!?」と、チャレンジングな気持ちにしてくれる。

日課としている6kmランを終える頃には、ペースは4分50秒/kmくらいまで上がっていた。前作もそうだったが、足への優しさを確保しつつ速いペースにも対応してくれるので、初心者ランナーからの脱却やスピードトレーニング、レースなど幅広く履ける一足だといえる。

このように「リンコン 2」はホカ オネオネ独自の走り心地に、軽量性もミックスするというコンセプトを前作から継承。同時に、素材の変更によりアッパーのフィット性などをアップさせることに成功。全体的にも走行性能が向上している。

軽量性を実現するために同社の他のシューズと比べるとアウトソールの耐摩耗性が劣るという面はあるが、税込みで15,400円という、買いやすい価格設定を考慮すれば、それも許すことができるだろう。

アスファルトやコンクリートといった舗装路で高いグリップ性を発揮するアウトソールパターン。アウトソールは軽量化のためにラバーの使用は最小限で、そのために耐摩耗性は同社の他モデルに若干劣るが、その耐久性能は許せるレベルだ

南井 正弘

フリーライター、『ランナーズパルス』編集長。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツシューズブランドのプロダクト担当として10年勤務後ライターに転身。雑誌やウェブ媒体においてスポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズに関する記事を中心に執筆している。主な著書に『スニーカースタイル』『NIKE AIR BOOK』などがある。「楽しく走る!」をモットーに、ほぼ毎日走るファンランナー。ベストタイムはフルマラソンが3時間52分00秒、ハーフマラソンが1時間38分55秒。