ぷーこの家電日記

第563回

縁って不思議でありがたい! ホームパーティーに可愛いお客様

義父が他界して35日、「五七日」を迎える。仏教の教えによると、有名な閻魔大王様に裁かれる日で、我々残された人は救済を願って地蔵菩薩に祈るのだ。ちゃんとした法要はしないが、お供えをして手を合わせて祈る。私は信心深い方ではないが、それでも生まれ育った環境や教えから、無宗教というよりも儒教と仏教の考えが混じり合った、いかにもポピュラーな日本人らしい考えの人間だなとしみじみ思う。

息子である当の夫は、より無宗教に近いというか、祈ったり偲んだりする気持ちが驚くほど希薄で、びっくりしたりもする。1番ギャップを感じるのは「ありがとう」「おかげさま」と「ご縁」である。どちらも普段からよく使う仏教に由来する言葉だけど、夫はどの考えもあまり持ってないし、よく理解ができないようである。そののギャップから「逆に私って仏教の考えが結構強い方なのか」と新たな自分を発見したりもするのだ。

そんな中、義父が切れかけていた縁をまた結び直してくれたと思ってしまう嬉しいご縁が舞い込んできた。夫の従兄弟家族と一緒にご飯を食べることになったのだ。葬儀の日に夫の伯母さんが「うちの子も東京にいるし、また連絡でもしてみて」と、夫に従兄弟の連絡先を伝えてくれた。そして連絡を取り合い、一緒にご飯を食べようということになって、早速我が家に家族で遊びに来てくれたのである。

ホームパーティーというか家飲み大好きな私も大喜びで腕まくりである。義妹も「わー! 久しぶりだし私も会いたい」と駆けつけてくれることに。ワクワクしながら「何にしようかねー?」とご飯なんかを考えながら、「何が好きかな?」「アレルギーとかない?」「嫌いなものは?」と聞くも、数十年ぶりに集まるわけで夫も当然嗜好は知らない。色々確認してもらいながら、特に好き嫌いも注意点もなさそうなので、いつも通りの「その時の気分でまいっかー」の精神でメニューを決めていくことに。

でも、やっぱり1番の主賓というか、攻略ポイントである5歳児をどうもてなすかは今回私の最優先課題である。義妹の娘である姪っ子は、赤ちゃんの頃からよく泊まったり遊んだりしていたので、お互い勝手が分かるのだけど、初見の5歳は中々手強い。人見知りが強くて楽しめないかもしれないし、食が細くて食べ物に興味がないかもしれない。そして、私には自分が子供の頃の記憶が鮮明に残っているのだ。

親戚が集まって飲むとき、従兄弟の中で1番年下だった私は、兄と従兄弟達が遊びに出る時も留守番させられたし、楽しそうに酔っ払ってちょいちょい絡んでくるオジさん達はちょっと苦手だったし、お喋りに花咲かせている母達の中に入ろうにも「大人の話に首突っ込まない」と叱られた。今考えても理不尽すぎる(笑)。ゲームの1つも持っていなかった私は、長々と続く宴会の時間は結構つまらなかったのである。

わざわざ大人に合わせて遊びに来てくれるのだ。つまらなかったなんて悲しい思い出は私が嫌だ。私の中の小さな私が全力で嫌がっているのだ。そこで考えたのは「お子様ランチ」である。もちろんおつまみが好きだったら全然一緒に食べたらいいし、それでも自分だけのスペシャルプレートがあると上がるのではないだろうか! 子供の頃にお子様ランチに無縁だった私が食べたかっただけかもしれないが(笑)。

お子様ランチといえばまずは旗だろう。100均で探して買ってきた。そしてチキンライスにエビフライに唐揚げにタコさんウインナー、スープは甘いさつまいもで作ろう、デザートもやっぱり一緒にのせたいよね。などと考えながら「お子様ランチって段取り鬼厳しくない!?」と気付いた。イメトレとシミュレーション命である。

下拵えが終わる頃に従兄弟家族到着。「ようこそー!」なぁんてちょっと緊張しながら迎えた従姪(従兄弟の子どもはじゅうてつと呼ぶと初めて知った)はめちゃくちゃ可愛くておばちゃん舞い上がっちゃう! 最初こそちょっと恥ずかしそうにしていたけれど、前日ママと一緒に頑張って準備してくれたであろう、ハート型に折った折り紙に包まれた飴を招待のお礼にと私達にくれた。これは嬉しくて食べられない! (夫はあっさりとガリガリ噛みながら食べてた笑)

とりあえず乾杯をして、軽くお喋りをしてからお子様ランチの仕上げ。チキンライスを作りながら唐揚げとエビフライを揚げて、ご飯を盛り付けながらウインナー焼いて……うわー、海老ちょっと揚げすぎ!? とバタバタ焦りながらお子様ランチの完成! 従姪よりも大人の方がはしゃいで喜んでくれてた気がするけど、自己満足なので全然構わない(笑)。

そしてご飯食べながら色々話をしていたら、夫の従兄弟は私と同じ高校の同級生ということが分かり(お互い全く記憶にない)、従兄弟のお嫁さんはなんと共通の知り合いのもと、SNSで繋がっており私のことをめちゃくちゃ知っていて、「世の中狭っ! 怖っ!」とあまりにも縁がある人同士の会ということが分かって物凄く驚くとともに、「やっぱりこれはお義父さんが結んでくれた縁としか思えないなぁ」と目に見えない何かに感謝したい気持ちでいっぱいになったのでした。

いっぱい喋って食べて飲んで遊んで、宴もたけなわ。まだまだ遊びたいけれどあっという間に時間も過ぎてお開きとなったのでありました。楽しかったなぁと思いながら眠りについて翌朝起きたら、全身筋肉痛バキバキ。体を張って遊び過ぎた(笑)。楽しんでくれたのならとっても嬉しいし、私の中に燻っていた大人の飲み会恨めしやの幼心はちょっとだけ成仏できたような気分なのでありました。今回成仏するのは幼い頃の私じゃなくて義父なんだけどもさ!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。