ぷーこの家電日記

第537回

ふるさと納税の体験型返礼品が我が家にピッタリだった

我が家はあまり旅行というものをしない。決して行きたくないわけではないし「ここ行きたいね」みたいな話は結構するのだけれど、日々何かに追われていたり、私が出不精だったり、そして何よりも猫を飼っているのでそんなに家を空ける気にもならなければ、空けるための準備を考えると「ま、いっかー」となるのだ。

そして、いざどこかに行こうかと計画を立てようとなって「どこ行くー?」と聞くと「どこ行こうか?」、「何するー?」と聞くと「何しようか?」と、こだまのような返事しか返ってこないし、選択式で「こことここどっちがいい?」と聞いても「どっちもいーねー!」と埒が開かない(笑)。「少しは自分も考えなさいよ!」と、楽しい話のはずが全然盛り上がらずに終わるのである(笑)。

「何食べたい?」とか「どこ行きたい?」に対して「何でもいいよ」「どこでもいいよ」は決して相手を優先する優しさではないと100回は言っている気がするけれど夫には未だ伝わらず。「何度言ったら分かるの?」と言いたくなるけれど、人間言われたことが分かるのに500回かかるらしいので、実を結ぶにはきっとあと数十年はかかりそうである(笑)。

人には得手不得手というものがあり、夫は計画を立てたり自分以外の誰かの分まで考えたりすることは苦手だけれど、実行力はかなり高い。「飛行機のチケット取ってくれる?」と言ったら「何時の便と何時の便があるけどどっち? はい、取ったよ」と瞬間で実行してくれるし、役所の手続きなども滞りなくサクッと済ませてくれる。

事務手続きなどが苦手すぎてやらなきゃいけないこともままならない私からするともう神様のようだし、私にとってライフラインのようなものであり感謝している。結局凸凹ながらバランスが取れているのだ。

そんな夫が珍しく、自ら「これ行ってみたいんだけど」と言い出したのは去年のちょうど今頃。ふるさと納税の手続きをしようとしている中で見つけた「ボールペン作り体験」という体験型返礼品の木工体験ペアチケットだった。「仕事で使うのにちょっといいボールペン欲しいなって思ってて探してたら見つけた」と言うではないか。

元々手作りなどにさほど興味がない人なので「ボールペン!? 作るの?」と、意外で驚いたし、そしてボールペンを作るということが想像つかなすぎてワクワクする。私は手作り大好きだから「行こう! 行こう!」と大賛成して、夫は茨城県の高萩市という自治体に寄付をしてボールペン作りの体験チケットを手に入れたのである。

それからまたいつものように「行かなきゃねー」「行かなきゃねー」「いつ行くー?」「いつ行こっかー」「どうするー?」「どうしよっかー」なんてこだまを聞いている間に時間が過ぎて、有効期限ギリギリ。先日やっと行ってきた。結果から言うと期待していた体験の100倍くらい楽しかった!

到着した工房はめちゃくちゃ広くて、たくさんの工具や機械が並んで、入った瞬間に「うわー! すごい!」と心が躍る。近所にあれば本当毎日でも通いたいくらいに素敵な工房。体験ではどのタイプのボールペンをどの木を使って作るかまず選ぶのだけど、どの木も全部素敵で迷うし悩む。

やっとで自分の木を決めたら木工旋盤という機械に取り付けて回転する木をボールペンサイズに削っていくのだ。シュルシュルーと木を削る感覚がものすごく楽しい。「上手ですねー」なんて言われるとすぐ調子に乗ってしまう私の単純さ(笑)。

自分好みの太さまで削り終わったら、数種類の粗さの違うやすりで表面を綺麗にした後に蜜蝋で艶を出す。艶をつけた瞬間にいきなり木が正装したようにカッコよく変身して思わず拍手してしまった(笑)。削った木にボールペンのパーツを付けて、40分程度で自分だけのボールペンの完成! 私は欅の木、夫は柿の木。色も形も違ってどっちも素敵でかっこいい! 使ううちに手の油分が馴染んでどんどん素敵になるらしいのでたくさん使っていきたい!

夫も自分で選んでおきながら「こんなに楽しいとは思わなかった! めちゃくちゃ楽しかったね!」と大興奮。残念ながらその工房は店主の年齢のこともあり、ふるさと納税の返礼品としての提供は去年を最後に辞めてしまわれたとのことだけれど、通常の木工体験はまだ受け入れているので、ぜひまた行きたい! ボールペン以外にも木のお皿作り体験もできるらしいので、次回はお皿作りだなと思っている。

そしてふるさと納税は、今までも毎年全国各地に寄付をして、食べ物を中心に返礼品を頂いていたけれど、今回の体験で「ふるさと納税は体験型チケットが最高!」という気分になった。冷凍庫がパンパンになることもないし、現地に行って体験して美味しいものを食べて素敵な人に出会ってちょっと観光して帰るのって最高だ。

私たちみたいにゼロから旅行の計画を立てるのが苦手な人でも、行きさえすればコンテンツが用意されているというのもまたピッタリで良い! ボールペン作りの旅から帰ってきてからは、夜な夜な2人で飲みながら「ガラス細工できるところあったよ!」「造り醤油の蔵見学できるんだって!」「競走馬の生産牧場見学ツアーがあるよ!」と、体験型の返礼品を探しては次どこに行こうかと盛り上がっている。

500回言わないと伝わらないと思っていたけれど、ふるさと納税ポータルサイトがあれば夫でも「なんでもいいよ」なんて言わずにキラキラしながら楽しそうな体験を探して話が盛り上がるので、数十年待たなくても年に数回楽しい旅行計画ができそうだと、めちゃくちゃワクワクしているのでありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。