ぷーこの家電日記

第503回

今年は一味違う寝正月。無力な私にできること

新年が明けてしまいました。そしてすでに1月中盤。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年の年末年始は帰省せず、東京でゆっくり過ごすことにしていた。特に予定はなかったけれど、ただの寝正月にならないようにと、2023年のうちに目標を立て、新年早々に取り掛かるつもりだった。

年末からちょっと嫌な事とかが重なったこともあり、針の糸穴くらいに心が狭くなって、ドヨーンとしている中で迎えた新年。普段だったら笑って流せるような些細なことで酷く落ち込んだりしてくだらない正月を過ごしている中、急にショッキングなニュースが飛び込んできた。

心が弱っている時に辛いニュースや強い刺激になる報道や言論はさらに気持ちを削ってくる。これも軽いトラウマに入るのかもしれないけれど、東京在住で大きな被害がなかった私ですら、東日本大震災の日の事がフラッシュバックのように鮮明に思い出されて、心臓がバクバク心がざわざわして落ち着かなくなった。

あの時と大きく違って感じたのは、SNSの風景かもしれない。こんなに荒んだ世界ではなかった気がするのだけれど、強い自己主張とジャッジメントに、批判と正論べき論で溢れ、どこを見てどの立場から発しているのか分からない個人の強い主張の渦に飲み込まれるような感覚になって息苦しくなり、友人の安否を確認してちょっとホッとした後は、そっと画面を閉じて、テレビも観ないようにして、そして寝た。これが自分が落ち込んだり辛かったりする時の1番の解決方法ということを知っているのだ。

自分が弱っている時は、怪我をした獣のようにとにかく動かず寝るに限る。外向的な人は話したり人と接することでエネルギーを溜めるらしいのだけれど、内向的な私は、辛い時にその話をする事が苦行でしかないし、とことん自分の中に篭っていくタイプだ。起きているとそれでも頭がぐるぐる動いて止められないので、なるべく心を無にするために寝る。

眠れない時は、いつも同じごっこ遊びで心を無にしている。「集中治療室ごっこ」という、何とも不謹慎なごっこ遊びなのだけれど、設定として、私は全身管に繋がれていて、全く動けない状態なのだ。なので寝返りも打たなければ腕一つ動かさない。ピッピッと静かなモニター音だけが頭の中に流れている。

ごっこ遊びの中、たとえスマホの通知が来ても、電話が鳴っても、確認もしなければ取ることも無い。だって私は集中治療室にいて動けないんだもの。ひたすら目を瞑り、身動き一つせずに半日もじっとしていると、不思議と少しだけ自分の充電ができてくる。

そしてごっこ遊びのクライマックスとしては、最初に指先をピクッと動かす。脳内の誰かが「先生! 今動きましたー!」と叫び、脳内医師看護師がバタバタと駆け寄ってくる。ゆっくりと瞼を開くと、脳内の登場人物一同スタンディングオベーション! 涙を溜めながら全力で私が戻ってきたことを喜ぶのだ。

そしてこれまた半日もすると不思議と結構自分の充電が溜まっているのである。頭の中を悩みや辛さそのものからいかに遠ざけるかがこのごっこ遊びの意図で、「考えないようにしよう」と考えると、結局ずっと考えてしまうので、あえて別の考えることを設定するのだ。

以前「ものすごく落ち込んだ時にどうしてる?」という友人の問いに、「ゆっくりお風呂に入る」とか「美味しいものを食べる」というほかの人の回答の中に紛れて、このごっこ遊びを発表すると、「暗い! 最高に暗くて最高にいい!」と褒められ(?)た(笑)。お風呂に浸かるのも美味しいものを食べるのも、多少の元気がなければできない私にとって、それらはSTEP2だ。

そしてSTEP2。たまたまちょうど良いタイミングで、年始早々美味しいものを食べにいく予定が入っていたので、私の心の回復は急速に進んだ。最高に落ち込んでいる時は1人で傷を癒やし、ちょっと治ってきたら人と食事が私を癒やし救ってくれる事を本当に体感して、もの凄く感動した。シェフは料理人でもありセラピスト、家族友人は私にとって良質なサプリメントでもあるなと思ったのだ。

そしてそしてSTEP3。元気になった私は自分にできる事を自分のできる範囲で行なう。この悲惨で悲しい状況を好転できるような特別なことはできないけれど、自分にできることは少しだけでもやりたい。人に目を向けられる元気をそこそこ取り戻せたということだ。そこで私が選んだのは「ふるさと納税」である。

今回、微々たる寄付を考えているときに初めて知ったのが「代理寄付」という制度だ。どうせ寄付するならばなるべく早く、なるべく多く、なるべく必要なところに支援を届けたいと思うけれど、現地の自治体は職員自体が被災者だったり、他にも無数にやらなきゃいけない事がありで、寄付を受け付けた際の納税証明書の発行や発送などの事務作業自体難しかったりする。そこで立ち上がったのが「代理寄付自治体」なのだ。

被災地では無い別の自治体が事務手続きを代理で行なってくれて、素早く届けたい先の自治体に寄付金を届けることができる。受け取った側は事務手続きに追われず、必要な支援作業に集中できる仕組みだ。ふるさと納税ポータルサイトのふるさとチョイスもそれに係るサイト利用料を無料にするなど、災害支援をしている。

私自身潤沢な資金があるわけでは無く、プラスでの支出はたくさんできるわけでは無いけれど、元々払わなければならない金額なので、自分の無理の無い範囲の最大化が図れる。今は1月なので、今年のふるさと納税の枠も残ってる! 今年は代理寄付制度を使って被災地に寄付をして、来年は代理寄付として名乗りを上げてくれた自治体に感謝と愛着を持って寄付したいなぁと思っているのです。

年始早々、どんより低空飛行の日記となってしまいましたが、小さな楽しいことを見落とさないように目をひん剥いて楽しんでいこうと思うので、どうぞよろしくお願いします。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。