ぷーこの家電日記

第491回

使いきれないハーブで納豆作り

ハーブ。使いこなせたら料理の幅も広がるけど、買おうと思ったらほんのちょっとで結構な値段がするし、いざ使いたいときに売っていなかったりもする。

自分で育てた方が手っ取り早い上に、ハーブの寄せ植えは見た目も可愛い。なので、ベランダと畑でいろんな種類のハーブを育ててみたりしているけれど、いざ自分で育てると「ハーブってそんなに使わない」と、成長と使用量のバランスが全然取れなかったりするのだ(笑)。

我が家で育てているハーブの中でも、レモングラスとローズマリーは特に優秀だ。ローズマリーなんてもう木のように生い茂っているし、レモングラスは毎年とにかく株が大きくなる。

数年前に200円くらいで買った小さなポットに入ったひょろっとしたレモングラスの苗。畑に植えると何もしなくても勝手にどんどん分けつして、かなり増えてくれた。

レモングラスはイネ科なのだけれど、まさに田んぼの稲のような成長っぷりだ。そして夏場の成長は早く、刈り取っても刈り取っても、数週間でまた立派に伸びてくれる。ハサミを入れた時に香るレモンのような爽やかな香りが最高に好きだ。

冬になり、短く刈り取って土を被せておくと、温暖な地域では越冬もできて、春になるとまた新芽が出てきて大きくなってくれる。こんなに長くたくさん楽しめるなんて、私が今まで買った苗の中で1番の優等生だ。

ただ、葉物野菜のようにたくさん食べるものではないし、私は日常的にハーブティーを飲むわけでもないので、そんなに使わない(笑)。使い道に困っていたら、「レモングラスでしめ縄を作ると香りの良いしめ縄ができますよ」と教えてもらって、「なるほどイネ科! そんな使い方があるのか」と目から鱗で驚いた。

確かにあれだけ成長するレモングラスだったらしめ縄作りはできそうだし、稲藁と同じ感じで使えばいいのかと感心しながらピーンと来た。「稲藁と同じように使えばいいのだったら作れるんじゃないか? 納豆!」と気づいてしまったのだ。

調べてみると、レモングラスで納豆を作ることはできるし、何なら別にレモングラスとかイネ科とか関係なく、ローズマリーやミントなど、どんな植物からも納豆は作ることができるらしいと知ってびっくりした。

納豆菌は枯草菌の一種なのだけれど、枯草菌は土や植物などあらゆるところに付いている菌らしく、そこら辺にある雑草からでも落ち葉からでも納豆は作れそうだ。ただ、口にするものなので、最低限食べられる植物で作る方が良さそう。

ハーブなどの草と共に、よく茹でた大豆を容器に入れて発酵させるだけで納豆になる。でも、折角レモングラスで作るなら、藁納豆のように作りたい。畑でボーボーに生い茂ったレモングラスを刈り取って、早速納豆作りにチャレンジしてみることに。

まずはレモングラスを紐で括り藁苞(わらづと)っぽいものを作り、鍋の中で煮沸消毒する。納豆菌は非常にタフで、100℃のお湯でも生きているので、雑菌だけを殺菌するのだ。その中に柔らかく煮た豆を入れて縛り、藁納豆ぽく仕上げる。納豆菌は45℃くらいが1番活発に繁殖するので、45℃に設定したヨーグルトメーカーの中に布巾に包んで入れる。

我が家のヨーグルトメーカーは1Lの牛乳パックがそのまま入るような縦長のもの。ヨーグルトメーカーに藁納豆がブッ刺さっているという何ともシュールな絵になる(笑)。ヨーグルトメーカーがない場合は、発泡スチロールの容器に湯たんぽやカイロを一緒に入れておくと良い。

45℃で24時間置き、その後乾燥を防ぐためにビニールなどに入れて1~2日間冷蔵庫の中で寝かせておく。発酵直後の納豆はアンモニア臭がきつすぎて食べられたものじゃないのだけれど、これが冷蔵庫で寝かすことで、あら不思議、あの美味しい美味しい納豆が出来上がるのであーる。

初めて作ってみたレモングラス納豆は……。開封すると、見覚えのある納豆の姿が! 大成功である。豆のまま食べてみるとちょっとした草の苦味のようなものを感じる。ハーブ納豆! 混ぜてみると市販の納豆より少し糸を引く感じが弱い。これは菌の違いだろうか?

普通のお醤油もいいけれど、レモングラス納豆なのでナンプラーをかけてタイ風に。と思ったけれど、何がタイ風か分からないくらいに、朝食にぴったりな完全に日本の納豆だった(笑)。でもナンプラーもなかなか合うし美味しい。刻んだパクチーを乗せるともっと美味しいエスニックな納豆ご飯ができそうだ。

そしてさすが手作り納豆。とにかくめちゃくちゃ美味しい!!!

ハーブの違いでまた香りや味も変わってくるだろうか。マイベストハーブ納豆選手権を開催すべく、いろいろなハーブで納豆を作って食べ比べもしてみたい。納豆が好きで手作り用に我が家には粉末の納豆菌もあるくらいなんだけれど、これからは納豆菌いらずで納豆が作れる。

ベランダでバナナを育てているので、バナナの葉で包んで柿の葉寿司のように可愛いバナナ納豆も作ってみようかなぁと、ワクワク実験気分で納豆を食べているのでありました。菌の世界って不思議で面白い!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。