ぷーこの家電日記

第478回

今年の梅しごとはお手軽簡易バージョン

この時期になるとウズウズしてくる。「つ、漬けたい! めちゃくちゃ漬けたい!」と。そう、この頃どこに買い物に行っても、青梅が大量に店頭に並んでいるし、らっきょうだってたっぷり置いてある。

ご丁寧に、横には瓶などの容器なども並べてあるし、梅干し用の赤紫蘇やシロップ、梅酒用の氷砂糖、らっきょう用のお酢だって。全部揃えておきました! という感じで、私のウズウズする心を刺激してくるのだ。

でも安易に手を出してはいけない。なぜならば毎年溜まる一方だから。私は塩っぱい梅干しが苦手なので、梅干しは時々梅肉の料理に使うくらいで、そんなにたくさん消費できない。2年前に漬けた梅干しがまだかなり残っている。

そして甘い飲み物を飲みたくなるのはかなり疲れている時と二日酔いの朝くらいなので、お酒は結構飲むけれど梅酒はほぼ飲まない。毎年少しずつ溜まっていった梅酒の瓶が棚にかなり並んでいるし、10年ものの梅酒とかも普通に残っている。

柑橘の酸っぱさは平気だけれど、お酢が得意ではないなので、らっきょう漬けもほとんど食べない。前にどうしても漬けたい欲に負けてらっきょうを漬けた時は、食べ頃になったタイミングで数個食べてみて、「らっきょうって結構美味しいかも! 」と何となく思い直したりもしたけれど、結局瓶ごと人に持ち帰ってもらった(笑)。

私は「漬ける」という行為自体が目的で楽しいのだ。漬けるというより「仕込み」全般がとにかく好きなのかもしれない。丁寧に仕込んで、ゆっくりと時間をかけて育てていくあの感じが全て好きだ。

春には豆板醤を、秋にはポン酢と柚子胡椒を、冬にはお味噌をと、色々仕込む。ぱっと見「調味料もできる限り手作りで、丁寧に暮らしています」のように映りかねないけれど、決してそんなことはなく、生活はかなり雑だし、ただの趣味である(笑)。

でも、調味料はまだ良い。作っても日々の食事で普通に使うので、年に1度、1年分を仕込むというイベントを思いきり楽しむのだけれど、梅は我が家では消費が追いつかず中々そういうわけにはいかないのだ。

でも、日々陳列する梅を横目に見ていると、段々我慢してやり過ごせなくなる限界が近づいてくる。なぜ梅だけは「梅仕事の季節ですよー!」と全国的な一大イベントみたいに特別扱いされるのだろうか。

それだけ梅が好まれ、漬けられ、食べられているからに他ならないのだろうけれど、ちょっと不思議な気持ちになってしまう。今年は我慢……。と思いながら、とうとう限界突破して買ってしまった(笑)。

でも、これ以上瓶を並べるスペースはない。ということで、今年は簡単に炊飯ジャーを使って一晩で漬ける梅シロップにすることにした。何せ梅シロップは二日酔いにとても効果的なのだ。

梅に多く含まれるクエン酸が疲れた胃や肝臓を回復させてくれる。結構な頻度で二日酔いの朝を迎えてしまう私は、梅シロップを炭酸で割ってグビっと飲むと結構スッキリと回復できる。梅酒よりも断然梅シロップの方を消費するということに気づいたのはつい最近だ。

炊飯器で作れば、出来上がったシロップは小さめの瓶に入れてそのまま冷蔵庫に、残った梅はジップ付き袋に入れて冷凍保存して少しずつ使っても、梅ジャムにしても良いので、そこまでスペースも取らずに済む。

漬かる過程は楽しめないものの、私の「今年も漬けたい欲」も何となく満たされ、二日酔いの朝のお助けにもなるなんて、一石二鳥というか嬉しすぎるではないか! ついつい飲みすぎてしまうので、さほど時間もかからず無くなりそうでもある(笑)。

梅と氷砂糖の量は1対1。1kgの梅に対して1kgの砂糖を使う。砂糖の量にちょっと怯んでしまうけれど、砂糖の量を減らすと日持ちしないので、ここは目をつむり思いきり砂糖を使う。私は氷砂糖よりもいい意味でちょっと雑味がある仕上がりになるきび砂糖で漬けた方が好きなのできび砂糖で。

爪楊枝で梅のヘタを全部取ってきちんと洗ってからしっかりと水分を拭き取って炊飯ジャーに梅と砂糖を入れて、炊飯ジャーの保温ボタンを押して8時間放置するだけで完成。梅を一度冷凍させて使うと、梅の細胞が壊れて梅のエキスが出やすくなるので、冷凍する方がおすすめだ。

ちなみに、梅ではなく生のプルーンで同じように炊飯器でコンポートを作ると最高に美味しいので強く推したい。そのコンポートを乾燥させると猛烈に美味しいドライプルーンができる!

そんな感じで軽く話が脱線している間に、簡単に梅シロップの完成である。熱湯で消毒した四合瓶に入れて冷蔵庫にストックしておく。これで季節の美味しいドリンクの出来上がり! いつ二日酔いになっても安心である(笑)。

残った梅は今度梅ゼリーにでもしようと思うけれど、2月の初めに仕込んだ麦味噌がそろそろ食べ頃を迎えるので、お味噌と細かく刻んだ梅を和えて梅味噌にして、ささみにでも付けて焼いちゃおう! 梅味噌も数年前に友人に初めて聞いて知った美味しい食べ方。お酒にも甘味にも、そして調味料にも。梅ってやっぱり不思議で面白い食材だなぁとしみじみ思うのだ。

「今年もつい梅買っちゃったよ」なんて言っていると、「うちも毎年つけてるけど、梅酒が全然減らない」と、私と同じように溜め込んでいる人が周りにも結構いて、ちょっと安心というか「やっぱり!?」と笑ってしまった。

人が漬けた梅酒なんかも飲んでみたいので、今度各人の秘蔵っ子を集めた梅酒nightでも開催してみたいなぁ! もちろん飲みすぎてしまった翌日は梅シロップで元気にリセットするつもりであります(笑)。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。