ぷーこの家電日記

第477回

ずっと憧れていた習い事を始める

ジメジメする嫌な季節がやってきた。とにかく暑がりの上に、すぐに湿疹が出る私には厳しい季節だ。そして台風。先日の台風2号、我が家でも洪水警報が出て、夜も携帯から警報が何度も鳴るし、かなりドキドキした。水害に弱い地域に住んでいることと、我が家には現在猫が3匹いることもあり、有事の際の避難シミュレーションや準備は、動物を含めて数週間車内生活できるように色々備えているつもりではあるけれど、ストックの飲料水の賞味期限が迫っているのでそろそろ交換しなきゃなとか、タオルやウェットシートを含めてちょっと衛生用品が足りないかなとか、見直しが必要そうだ。台風3号もまた同じようなルートを辿るかもしれないという予報が出ているので、それまでもう少し防災対策を練りたいなと思っているのです。

そんな憂鬱な季節ではあるけれど、私は四半世紀以上前からずっとやりたかったことが叶いそうで、心は晴天! 四半世紀以上やりたかったこと。それは「陶芸教室に通う」である。広い収納があるわけではないので、そんなに持っていないけれど、器は昔からかなり好きではある。母が好きだった影響も大きいと思う。現に我が家の食器は実家からもらってきたものも多い。

福岡で過ごした学生時代には、ゴールデンウィークにちょっと足を伸ばして行く佐賀の有田の陶器市が大好きだった。大きなリュックを背負って1日中歩き、自分の好きな陶器を見つけたり、作家の方と話したり、今でも時々思い出しては「また行きたいなぁ!」と思うほどうっとりする楽しいお祭りだった。

そして従姉妹がずっと陶芸教室に通っていた影響で、私もやりたいなぁとずっと思っていた。私より6歳年上の憧れの従姉妹、私よりちょっと早くに社会人になった彼女は陶芸を満喫していた。私にも1度だけ作ったものをプレゼントしてくれた。凄く素敵な食器で、「凄い! 自分で作ったの!?」とずっと大切に使っていた。(数年前に割ってしまったのだけれど。笑)私も社会人になったら、仕事頑張って、休日は習い事なんかして、充実した楽しい生活を送るぞー! と、社会人の格好良さと器の素敵さに憧れを高めていったんだ。

それがどうしたことか、いざ自分が社会人になってみると、思い描いていた憧れの社会人像とまるで違う。「時間なし」「お金なし」「近くに教室なし」のないない尽くしなのである。毎日夜遅くまでヘトヘトに働き、仕事が終わった後に習い事をするなんて余裕のある時間は過ごせなかった。そして習い事をするには月謝がかかる。そんなに余裕がなかった私は毎月コツコツと習い事をするよりも洋服を1枚買ったり遊びに行ったりする方が大切だった。

そして何よりも陶芸教室が近所になかったのだ。独身時代に引っ越しを繰り返していた私は、引っ越す度に近所で陶芸教室があるか調べてはいた。そして今まで近所では全然見つからなかったんだ。平日の昼間のカルチャースクール的なものはあったけれど、仕事をしながら、無理なく通える陶芸教室がなかったのである。そんなこんなでずっとやりたいなぁと思いながらも、中々縁がなくて完全に諦めていた。というかほぼ忘れていた。

そして最近、またふと思い立って検索してみると、徒歩圏内で通えるところに陶芸教室があることを知ったのだ。しかも土日だけじゃなくて、平日の夜も通える私の理想的な教室。今の家に引っ越してきて7年くらい、ここに引っ越した時に1度探したつもりだったけれど、全然知らなかった!

いざ教室を見つけて、めちゃくちゃ嬉しかったのだけれど、ずっと長い間行きたくても行けなかったせいか、諦め癖がついていて、素直に飛び込めない。「本当に通ってもいいんだろうか」「私にもできるだろうか」などと軽く怖気付いてしまって数カ月間悩んだ。新しいことを始めるのに勢いで飛び込めないのは、加齢の顕著な表れかもしれない。しばらく悩んだけれど、やっぱりずっとやってみたかったよなぁと思い出したので、まずは体験コースからやってみて、そのまま入会しようと心に決めてネットから申し込んだ。

新しいことを始めることよりも、新しいコミュニティに入っていくことの方が億劫だし苦手だ。結構人見知りなのである。ドキドキ緊張しながら初めて陶芸教室のドアをくぐると、思っていたよりも広くて綺麗なスペースと親切で気さくな先生が待っていた。

緊張はしたけれど、ずっと付きっきりで習うというよりも、工程の説明を聞いてやり方を習い、それを黙々と1人でこなし、そして次の工程を習いまた1人作業という感じで、心地よい距離感と絶妙な放任具合でとにかく居心地が良かった。美容院にいる時より1,000倍くらい気楽(笑)。そして何より土を触っているだけで心がかなり躍る。「思い切って来てよかった!」と、初日から満足度は満点。

最初なので簡単なプログラムを準備してくれているとは思うのだけれど、「えー!? 私上手くない? 上手すぎない!?」と心の中で大声で叫びまくっていた。あれもこれも色々作りたい気持ちがどんどん大きくなっていくけれど、まずは基本から順番に習い、少しずつ作りたいものを作れるようになりたいな。どこまで上達できるか分からないけれど、若い頃やりたくても出来なかったことを1つずつ出来るようなったりして、年を取るのも悪くないというか、大人って本当に楽しいなぁとしみじみ思う。鬱々としていた幼い私に「大人になるって楽しいよー!」と教えてあげたい。45歳の手習い楽しんで頑張るぞー!

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。