ぷーこの家電日記

第392回

ついにNetflixという禁断の扉を開いてしまった

ほぼ在宅勤務をしている私。先日1カ月ぶりくらいに出社した。前回出社した時はめっちゃくちゃ暑かったのに、ひんやり寒くて何を着たらいいのやらで朝とても焦る。季節の移り変わりの体感が、コマ送りのような感じだ。そして、久しぶりの出社の後はまたしばらく在宅が続きそうなので、ランチは絶対に行くと決めていた博多うどんのお店に行って、私の3大好物の肉、丸天、ごぼ天を全部乗せて食べるというすっごくワンパクで贅沢なことをしてしまった。お腹パンパンになったけれど、大満足である。

そんなこんなで1カ月ぶりに外の世界を満喫した気分で楽しかったけれど、基本はずっと家にいる。休日に畑に行く以外はほぼ家。ここまで自分がインドア派とは思っていなかった。家にずっと籠ることに窮屈さやストレスを感じない私はかなりラッキーなんだろう。そもそもインドア派というよりも、ただのズボラでぐうたらなだけだ。出かけるのが嫌いなのではなく「出かけるための準備」などが嫌いなので、結果家でダラダラすることになるのだ(笑)。

いつもと変わらない家時間を過ごしてたある日、友人から「南姜いる?」ってメッセージが来た。南姜はショウガ科の植物で、見た目も日本の生姜と似ているけれど、香りがとても強くて芳香ショウガとも呼ばれているものだ。中華料理や東南アジアの料理などでよく使われて、私は「南姜」じゃなくて、タイ料理で使う「カー」という名前で覚えていた。あのパンチの効いた香りと味! 「わぁ! 家であれが!? 食べてみたい!」と大喜びで友人から送ってもらうことに。

「何を作って食べようかなぁ」とワクワクしながら会話してると、「Netflix入ってる?」と聞かれた。Netflixは私の弱小な最後の理性を集結させて何とか踏みとどまっているのだ。楽しいのは分かる。魅力的な番組が多いのも聞いている。でもハマりやすく歯止めが効かなくなりがちな私には危険すぎる存在。

その友人は、「Netflixで『美味の起源』というドキュメンタリーがあって、その中の『潮州料理』で出てきた南姜がめちゃくちゃ美味しそうで取り寄せてしまった」というではないですか。何それ、取り寄せたくなるほどに生姜に夢中になるドキュメンタリーとは!? と、南姜はもちろんだけれど、俄然Netflix入会意欲に火がついてしまった。

あぁ、こんなにも耐えてきたのに。このコロナ禍でずっと家にいるもんだから、ゆっくり映画やドラマを鑑賞するのにNetflixよくない? と話が出たこともある。その度に「いや、絶対に我慢した方がいいよね」と言い聞かせてきたんだ。

「美味の起源」という番組への興味と友人のプレゼン能力の高さよ……。その1時間後には夫とともにNetflixで映画とか見ちゃってた(笑)。「Netflix……入…る?」と夫に聞いた時、本当はずっと入りたかった夫は即座にプランを調べて、「うん。これだな」と即入会完了してくれたのです。よくぞこんな脆弱な決心で今まで耐えてきたな我々。と思いながら、踏み入れてしまった危険な世界。あぁ、めくるめくコンテンツの世界。開けてはいけない扉をとうとう開けてしまった(笑)。

そして夫が寝た後に、気になっていた「美味の起源」を見ることに。きっと夫はそこまで好みではないだろうと睨んでいたので、1人時間に少しずつ見るつもりだったんだ。そう、少しずつ。美味の起源は「甘粛料理」「雲南料理」「潮州料理」の3章仕立てで、各章10エピソードずつの構成。エピソードごとに1つの食材や1つの料理にフォーカスを当てている。中国4,000年の歴史は伊達じゃないどころかすごすぎる! 食べ物に対するひたむきな情熱に感動するし、映像の美しさが半端ない。第1回の食材「羊」でガッツリと心を鷲掴みにされて、完全にハマった。

もう完全にどハマりして、その日は徹夜してしまった(笑)。少しずつ見るんじゃなかったのか!? 翌日がお休みだったからよかった。いや、よくない! こうなることを危惧して私は今まで我慢していたのに、やはり節制ができないじゃないか。でも後悔していない! Netflix最高だ! 美味の起源最高だ!

コアでディープな中華に私もどっぷり。すぐに近所にある中華食材屋さんに行ってみた。調味料だとかスパイスだとか麺だとか、もうどれもこれも食べてみたくなる。雰囲気で何となく想像が付くものもあれば、まったく分からないものまで様々。全てが美味の起源の雰囲気を醸し出していて、今まで同じものを目にしても気にも止めなかったものが、あの美しい映像と結びついて堪らなく気になってしまい、ついあれもこれもと買い込んでしまった。そして友人から南姜や美味の食材たちが届いて、最高の中華週間を過ごした。

美味の起源のあの世界観が自分の中で洪水のように流れ出した結果、色々混ざり合い潮州料理とはほど遠い潮州風料理になったり、中華を飛び出してタイ料理になったりしたけれど、非常に美味しく、そして気持ちだけは秘境を巡っているようなそんなご飯。私の美味の起源ブームはしばらく続きそうで、つい「ヤクモソウって日本で育てられるのかな?」などと種を探してしまったりしている(笑)。

Netflixも一気見せず、用法用量を守って正しく使用していきたいと思っている。家で過ごす時間がますます充実してしまって、ますます外に出るのが億劫になっていきそうなのでありました。

【お詫びと訂正】初出時、「美味の起源」の番組名を誤っておりましたため訂正しました(10時5分/編集部)

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まないアラフォー世代。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。