そこが知りたい家電の新技術
パナソニックが開発した「ヘッドケアロボット」で髪を洗ってきた
パナソニック株式会社が兵庫県西宮市の理容店「スーパーヘアーセオ」(兵庫県西宮市甲子園五番町15-14)で「ヘッドケアロボット」の試行運用を行なっている。
「ヘッドケアロボット」とは、国際福祉機器展などに介護用に参考出展されていた「洗髪ロボット」の頭皮ケア機能を充実させ、理容用として試作されたロボットである。基本的機能は同じで、要するに自動で髪を洗う、しかも機械の「指」を使って頭を洗ってくれるというロボットだ。
期間は4月11日から約2カ月間、6月10日(日)まで。店内に「ヘッドケアロボット」が1台設置され、希望した客が体験できる。パナソニックのスタッフが常駐している。同社ではこのロボットを早ければ今年度内にも何らかのかたちで商品化を目指しており、利用者の声を集めてニーズを吸い上げ改良を加えるための試行運用だ。業務用で、理美容、あるいは介護・病院などでの利用が想定されている。どちらになるかはまだ決まっていない。
兵庫県西宮市の理容店「スーパーヘアーセオ」。阪神タイガースの本拠地である甲子園球場のすぐそばにある |
ロボットの「指」を使った洗髪とは、どんな感触なのだろうか。実際に体験してきた。
■店内の一角に洗髪ロボットが
ロボットは、椅子の部分と洗髪部分とに別れている。正確に言えば椅子は理容用の既存の椅子なので、ロボットは実際に洗浄するボウル部分だけだ。椅子に座って座席の高さを調整したあと、一般的な理容室のように仰向けに寝て、洗髪されるしくみだ。
スペックは、733×640×1,023mm(幅×奥行き×高さ)。重さ約80kg。機械の駆動装置(アクチュエータ)は電動モーター×10、電磁バルブ×10。アーム基部には力センサーを搭載している。ボウルの奥にシャンプやーリンスのボトルが内蔵されており、下には配管が配置されている。ビルトインではない。
店内に設置されたヘッドケアロボット。椅子は理容用の既存のものを使用している | ヘッドケアロボット本体 | 横から見たところ。サイズは733×640×1,023mm(幅×奥行き×高さ) |
ちなみに、機械で髪を洗ってくれる製品はこれまでにもある。一般に「オートシャンプー」と呼ばれている機械で、タカラベルモント株式会社から業務用に販売されているので体験したことがある読者もいらっしゃると思う。従来のオートシャンプーが強い水流を使って洗うのに対し、「ヘッドケアロボット」はシリコーン製の「指」を使って洗髪を行なう。合計24個の指先を使って髪と頭皮をこすり洗い、もみ洗いしてくれるのだ。パナソニックではこの頭髪のこすり洗いのことを「接触摺動洗浄」と呼んでいる。
■頭の位置と生え際は手動で調節
洗髪前に、顔全体を覆う水はね防止のガードを付ける |
さて、実際の洗髪は、まずは通常の理容室での洗髪同様、首元にタオルを付け、水しぶきを避けるためのフードをつけてもらうところから始まる。フードのあとは、顔全体を覆うように水はね防止のガードをつける。ガードは耳の部分まですっぽり覆うようにデザインされていて、アゴのところまできっちり着ける。そして横になったあと、タオルを体の上にかける。
これで、いよいよロボットの腕と指の出番になる。「ヘッドケアロボット」の洗浄用アームは左右と後頭部、3つのユニットに別れている。1つのユニットに8個ずつの指がついた構造だ。実際に頭に接触するロボットの指先は柔らかく制御されていて、無理な力がかかると受け流す仕組みになっている。洗浄用アーム自体も伸縮する。
写真中央のボウルの中に頭を入れて使用する。手前部は「枕」、そして後頭部洗いとして機能する。普通の洗髪用ボウルに指付きロボットアームが取り付けられているようなものだ | 洗浄用アーム。1つのユニットに8つの“指”が付いている | 指には毎回使い捨ての「汚れ防止カバー」がかけられている |
安全装置もあるが、もともとアクチュエーターには定格で10W前後の低出力モーターしか使われておらず、人間の手でも止めることができる程度の力しか出ない。また各部品もPPSやABSなどの樹脂材料を多用して軽量に作られているという。また衛生面を考慮して、ロボットの指には人に直接接触しないように「汚れ防止カバー」という袋がかけられており、運用時には毎回交換する。
まず最初はキャリブレーション(位置の調整)から始まる。まずは人の手によって頭の位置をまっすぐになるように調整され、後頭部の高さを調整する。そしていよいよロボットのスイッチを入れる。ロボットはまず2つのアームで頭を3カ所おさえていき、指先の圧力分布を使って頭部形状を計測・推定していく。更に、洗浄のときに力が各指ごとに均等にかかる機構が搭載されている。
計測に時間をかけると実用上問題が出るので、妥協点を見出すのが課題だったという。アルゴリズム(機械の計算方法)もまだ検証中だ。額の生え際の位置も人間が手で調整してロボットに教えてやる。画像認識は使われていない。主観的には、大きな手を使って頭全体のサイズを測られているような感覚だった。
ロボットの中の“枕”部分に頭を載せる | 正しい姿勢になっているか否かをセンシングする |
■ロボットの指は髪の毛をやさしく洗っていく
まずはぬるま湯を髪に吹きかける。水流の線が細いため、ちょっとくすぐったい |
準備が整ったらいよいよ洗髪だ。最初に断っておくが、特別なステップはない。まずは水(ぬるま湯)とロボットの指で髪の毛についた汚れをさっと洗い流していく。シャワーがかけられるのだが、ここはちょっとくすぐったい。女性の体験者だと「きゃははは」と笑い出してしまう人もいるという。馴れない機械だからだろう。なお、この下洗いの段階でおおむね汚れは落ちてしまうという。
ぬるま湯で髪を洗い流す動作 |
次はシャンプーだが、シャンプーはあらかじめムース状に泡立てた状態で頭部に吹き付けられる。これによって少量のシャンプーを頭全体に行き渡らせることができる。シャンプーの量はおよそ5ccで、ふつうのボトル詰めシャンプーのポンプ一回分と同じくらいだ。
ロボットの指は髪の毛をやさしく洗っていく。「洗髪時に爪を立ててはいけない」といわれるが、まさにその基本にそった洗い方である。頭皮をごしごしするのではなく、あくまで髪の毛のみを、やさしくやさしく洗われている感じだ。洗浄のときの指の圧力は調整できる。試しに強くしてもらったところ、かなりソフトな印象からゴツゴツした洗い方に変わった。なお、洗われている本人の頭皮の感覚はまったく違うのだが、外から見たところ変化はまったく分からない。
続いて、シャンプーの泡が直接吹き付けられる。ふわっとした感覚だ | そして、「指」でグニグニと洗う |
シャンプーは泡立てた状態で吹きるけるため、洗髪中はそれに気づきにくい |
強めに頭皮を揉む「スポットもみ洗い」もできる。なお画面はあくまで試作中のもの |
だが、ふだんゴシゴシ洗うのが好きな男性のなかには物足らない人もいるかもしれない。そういう人のためには「スポットもみ洗い」という機能がある。これは指を立ててゴシゴシと頭を洗うような動きを模したもので、繊細に動くロボットの指先を敢えて固定し、アームをゴシゴシと動かして、ギュッギュッギュッと洗っていく。これは洗髪そのものよりもむしろ、「頭を洗った」という感覚を満足させるための動きだという。
なお、後頭部を洗うときは、左右のアームで頭を少し(5kg程度の荷重=頭部の重さに対して2kg程度)持ち上げて、枕になっているユニットを動かす。主観的には持ち上げられている感覚はほとんど感じられない。
ゴシゴシと頭皮をもみ洗いする動作もできる |
■マッサージは気持よくて眠くなる!
シャンプーのあとはすすぎだ。すすぎ終わるとロボットの指による水切り、そしてドライヤーでやや乾かしたあと(通常のタオルドライの行程にあたる)、今度はコンディショナーをなじませる。ロボットの指で髪の毛全体になじませたあと、ふたたびすすぎ、そしてドライヤーによる乾燥となる。
なお、シャンプーとコンディショナーは既成の市販品で、マイシャンプーやマイコンディショナーにも対応可能だ。たとえば皮膚が弱い人などにも切り替えて使えるようになっている。
頭のマッサージプログラムも実施された。気持が良く、思わず眠気に誘われる |
最後の乾燥(ハーフドライまで)の前に、頭をマッサージする動作を入れてもらった。頭皮をグッグッとロボットのアームで指圧してもらうのである。最初は初めてのロボット洗髪に為すがまま、されるがまま、いまどうなっているんだろう、という感覚だったのだが(洗髪されているほうは何がどうなっているのか自分ではまったく見えないのだ)、このあたりになってくるとだんだんリラックスしてきて、思わず眠気に誘われた。
1回あたりの1通りの時間はおよそ15分~20分である。終わったあとにボウルの底を見てみたが、抜け毛は存外少なかった。丁寧に洗うと髪の毛は意外と抜けないもののようだ。なお消費電力はドライヤーを動かしているときがピークだが、それでも「2,000Wはいかない」くらい。また水の使用量は一回あたり15Lで、手での洗髪に比べると、だいたい60%くらいに抑えられている。ミスト状のシャワーで噴射され、出しっ放しも一切ないので、必要最低限の噴射しかしないためだ。
■ヘッドケアロボットの機構と制御のしくみ
基本的な洗浄を行なう「スイングアームユニット」は機器の両サイドにある |
このロボットのコンセプトは「人に優しく触れ,泡でキレイに洗浄」。まだロングヘアーが苦手だったり、耳の裏部分など洗えない部分もあるのだが、実際に洗ってもらうと、人以上にやさしく丁寧に洗われているような感覚だった。
この洗浄を支えているのが「スイングアームユニット」である。スイングアームユニットは頭髪と接触する8本の「指」の部分、頭部を押さえる「押圧アーム」、そしてシャンプーとお湯が出てくる「シャワーパイプ」からなる。頭部すぐ近くで動くものなので、駆動系にはタイミングベルトを用いて騒音を低減している。また、動いたときに髪の毛を挟みこんだまま動かないようにレールなどは使われていない。
もう少しこのアームを詳しく見てみよう。まず「指」の部分だが、ここには能動的なアクチュエーターを使わず受動関節(能動的に動くのではなく、外部からの力によって動く関節)を用いた「自動調芯機構」と、4軸の関節を1つのモーターで駆動するための「円筒ラック機構」が組み込まれている。
まず前者の「自動調芯機構」とは要するに、指が頭部になじんで、ほぼ同じ力で接触するための機構である。人間の頭部のさまざまな曲面にならうことができるように、合計7個の関節が段階状に組み上げられた構造になっている。それに対して後者の「円筒ラック機構」はその指を能動的に動かすためのトルク伝達機構で、前者の受動関節のなかに組み込まれたかたちになっている。
頭髪に指を押し付ける「押圧アーム」は4つのリンクを2つずつ並行に結合させたパラレルリンクを採用している。これにより剛性が上がる。事前に計測によって推定した頭部形状をベースに押してやる角度を決めて位置制御をしつつ、力センサーを使って力を計測して、一定の力で押すようにコンプライアンス制御を行なっている。
スイングアームユニットの「指」が動いているようす |
「シャワーパイプ」には1つにつき6つのノズルが取り付けられている。下洗い・すすぎ時には湯水、シャンプー時には泡状のシャンプーを噴出する。配管共用で軽量化している。
スイングアームを横から見たところ | シャワーパイプは、温水もシャンプーも噴出する |
「後頭部洗浄ユニット」では、2kgほど頭を持ち上げることで、快適な洗浄ができるという |
「後頭部洗浄ユニット」も面白い。ここは枕の機能と、後頭部を洗うもみ玉としての2つの機能を合わせもたせている。後頭部といっても人の頭はそれぞれ異なる。そのため高さは手動でコントロールでき、またサスペンションが組み込まれている。
また、前述のとおり、後頭部を洗うときには左右のアームで持ち上げてくれるのだが、ここには苦労したという。持ち上げずにもみ玉を動かすと、「痛い」と言われることが多かったのだそうだ。また、もみ玉によって頭が揺さぶられるので気持ち悪いという意見もあったという。それを2kg程度頭を持ち上げることで、快適な洗浄体験に仕上げている。ロボットならではの機構、工夫と言える。
後頭部洗浄ユニットの「指」の動作 |
なお、うつぶせで洗うという選択肢もあったが、介護を用途として考えた場合、被介護者の顔が見えないのは不安だということで、やはり仰向けでまずは開発しようとなったのだそうだ。ただバリエーションとしてはあり得るという。
各機構が動作するイメージ |
■誕生のきっかけは、リハビリ施設での一言「私たちも朝シャンしたいんです」
パナソニックロボット事業推進センターロボット企画担当リーダー 小林昌市氏 |
「ヘッドケアロボット」は、もともとロボットハンド技術の出口を探すなかから生まれた。ロボット事業推進センターロボット企画担当リーダの小林昌市氏は「ハンドはほんとうにオールマイティじゃないと満足してもらえないので、特定の用途のロボットにするのは難しいんです。いろんなことをピンポイントでできるロボットはあるんですが、全部まとめると制御系が膨大になって成立しなくなる。それで洗髪に特化してここまできたんです」と語る。
ではなぜ洗髪だったのか。開発のきっかけは、兵庫県総合リハビリテーションセンターで聞いた、車椅子の若い女性の「私たちも朝シャンしたいんです」という言葉だったという。
パナソニック株式会社生産革新本部ロボット事業推進センターメカ担当 主任技師 水野修氏 |
「そのときは、すごくいいヒントをもらったなという感じだったんですね」パナソニック株式会社生産革新本部ロボット事業推進センターメカ担当の主任技師・水野修氏。
入浴の難しい入院中の方や介護されている人たちから比較的要望が多かった日常のニーズが「洗髪」だった。しかし洗髪には介助者の手間がかかる。もし人手がいらない洗髪機があればぜひ使いたい、という声があったのだという。そこから開発が始まった。
最初は、プロの洗髪技術をモーションキャプチャーで記録してロボットアームで再現しようとしたりもしたという。だが、それは無理というもの。開発の過程で、もともとはもっと関節の多かった指も簡略化されて髪の毛を挟まないように現在のような突起になった。いっぽう、洗髪となると防水も必要になってくる。人間の頭部と直接接触するし、髪の毛が絡むようなことがあってはいけない。水やシャンプーの出し入れや切り替えなどのための電磁弁や制御も必要になる。もともと光ディスクなどAV機器のエンジニアだった開発グループメンバーにとっては難題だった。
だが、生活支援ロボット開発の上では、水や汚れはどうしても避けては通れない。だからノウハウをためようというのもあって、チャレンジした。「何らかのチャレンジをしないと解は得られないですから」(水野氏)。しかし、かなりのハードルの高さだ。それは「(小林氏らの)企画がうまいんですよ。『やれるもんならやってみろ』と言われたら『やったるわい!』となるでしょ。そんなことできるかよというところから始まってます(笑)」ということだったという。
洗髪可能な開発1号機が世に発表されたのは2010年の「第37回国際福祉機器展」。翌2011年の「第38回国際福祉機器展」にはアクチュエーターを増やし、コンディショナーと乾燥まで一連の洗髪ができるように改良を加えた2号機を参考出展し、大きな反響を呼んだ。
スーパーヘアーセオ 瀬尾秀夫代表 |
今回、頭皮へのマッサージ機能を加えて理容店「スーパーヘアーセオ」での実証実験となった理由は、介護に限らず理容・美容分野での応用を検討する上で、同社の開発拠点から近かったことと、いまの代表である瀬尾秀夫氏やその先代の寛司氏らが新規技術の取り込みに熱心であったことからだったという。これまでに体験したユーザーは150人程度。多くの人たちに好評で、「大勢に洗ってもらってるような感じがする」、「意外な感触だが心地いい」といった感想をもらっているそうだ。
瀬尾氏は「お客さんが気持ちよくしてもらえるなら、その時間を有効活用できるので有り難い。散髪は、カット、シャンプー、顔剃りなど、作業が別れてるので、ローテーションのなかにこういう機械を入れていければ」と語る。なお理容師たちからは既に「それで、いつ売り出されるのか」という意見があるという。施術する理容師の腰痛や手荒れなどの防止にも貢献することが期待されている。価格は既存のシャンプーマシンに指がついている分コストアップするとして想定されているようだ。
先代である故・瀬尾寛司氏は、質の高い安価なカツラの販売に尽力するなど、理容店業界のなかで新技術の取り組みに熱心だった。写真は先代の著書である「カツラ価格破壊」(同時代社) | ヘッドケアロボはテレビなどでも紹介されているという |
■洗髪ロボットは人間のクオリティ・オブ・ライフを向上するか
現在は、事業化と共に、このロボットによってどのくらい髪の毛が綺麗に洗われているのか、大阪大学医学部保健学科の大野ゆう子教授らと共同で、定量評価を行なっているところだ。また、リラックス効果があるようだと思われているがそれがどのくらいなのか、計測器を使って客観評価もしようとしている。
アームやロボットの内部機構はまだまだシンプルにできるという |
今後、機械自体もまだまだ簡略化していく予定だ。アームもロボット内部もまだまだシンプルにできるという。「お客様が何を要望されるかですよね。スタンドアローンなのか、既存のボウルのかわりにビルトインされるようなものを望まれるのか。ビジネスとして成立するかどうかもあるでしょうけど。お客さんにニーズを聞いていくしかないんです。この機構はウケがよかったな、これはいるなという優先順位があると思うので、要望を聞いて判断していきます」(水野氏)
洗髪・ヘッドケアロボットが介護・病院などに特化したものになるのか、あるいは一般の理容・美容分野で使われるようになるのかは、まだ分からない。あくまで市場次第だという。「いまはビジネス化するために、ありとあらゆるところに食指を伸ばしていると考えてほしい。我々のほうで『こういう用途に』と限定しているわけではなくて、事業化を最優先で考えてます」(小林氏)。
一度体験しただけでも、ハイスペックなほうにもロースペックなほうにも、様々なバリエーションがあり得ることが分かる。たとえば、理容店であれば通常の洗髪台のように施設側に最初から組み込んでしまえばフットプリントも大幅に小さくなる。また、コンディショナーに養毛剤を入れるといった工夫を喜ぶ男性利用者は多そうだ。あるいは介護用のように大きく安全側に振る必要がなければ、ある程度は自分でコントロールできる部分があるほうが嬉しいかもしれない。
また、ハイスペックな指ではなく、素材のバネ性だけで洗髪するロボットも可能かもしれない。さらに将来はシャンプー機能を省いて、もみ玉部分を取り出して家庭用の湯船に組み込んだら気持ちよさそうだ――などなど、いろいろな想像が働く機械である。
いずれにしても、そのようなバリエーションが生まれるかどうかは市場の広がり次第だ。洗髪は、単に髪の毛や頭皮の皮脂汚れを綺麗にしたり、頭皮の刺激によって血行を促進したり、皮膚の炎症を防ぐことだけが目的ではない。何より、髪を洗うと気分爽快になる。今回も洗髪が進むに連れて、だんだん顔がゆるんできているのを感じた。誰もがそうなるそうだ。
本当のヘアケアとは、髪の毛の外側からのクリーニングだけではなく、内からのケアが重要だという。ロボットによる洗髪で快適な気分になることができれば、多少なりともいわゆる「クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)」を上げることができるだろう。ヘッドケアロボットはどれだけ人の生活を改善できるだろうか。
理容店「スーパーヘアーセオ」
所在地:兵庫県西宮市甲子園五番町15-14
ヘッドケアロボ体験期間:4月11日(水)~6月10日(日)
ヘッドケアロボ体験時間:10:00~12:00、13:00~17:00
スーパーヘアーセオ営業時間:9:00~19:30
スーパーヘアーセオ休業日:毎週月曜日、第2、3火曜日
森山和道 サイエンスライター。今は亡きロボットWatchのライターの一人。僚誌PC Watchでは「森山和道の人と機械の境界面」を連載。ホームページはhttp://moriyama.com/。メールマガジン「サイエンス・メール」も発行中。Twitterアカウントは@kmoriyama。 |
2012年6月8日 00:00