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パナソニック、民生ロボット事業で2015年に1,000億円目指す

大阪・門真の生産技術本部にある「ロボットオープンラボ」

 パナソニックは、10月15日、同社のロボット事業への取り組みについて発表した。

 大阪府門真市の同社生産革新本部で行なわれた会見では、同社のロボット事業を、医療福祉分野、生活分野、製造分野の3分野に絞り込んでいることを示すとともに、大坪文雄社長をリーダーに、牧野正志取締役を実行責任者としたロボット事業化プロジェクトを2008年4月に発足し、その下に置かれるロボット事業推進センターで、プロジェクトを統括する体制などについて説明した。

パナソニック 生産革新担当 牧野正志取締役

 パナソニックの生産革新担当である牧野正志取締役は、「センサーによる認識、マイコンによる知的判断、アクチュエータによる作用という3つの要素を兼ね備えたものを、パナソニックが取り組むロボット事業の定義とする。そして、基本的な考え方は、人が主体であり、ロボットはアシストの役目となる。ヒューマノイドのような人にとって変わるものは対象外になる」とする。

 医療福祉分野では、病院を工場に見立てて、作業改善、自動化技術によって、安全性確保と専門職の減少に対応するための支援ロボットの導入、生活分野においては、強みのある家電機器単体をネットワーク化し、少子高齢化を背景とした新たな利便性を提供するロボット導入ニーズへの対応、製造分野では、セル生産革新への取り組みや、自動化のノウハウなどを生かしながら、さらなる効率化に加え、熟練工の代替や厳しい作業環境に対するロボット需要の増加に対応するという。

 「病院まるごと、家まるごと、工場まるごとといった観点から、それぞれの分野における困り事を解決し、ロボットがまるごと支える。安心、安全、健康を追求し、パナソニックのロボットによって、真の豊かさを提供したい。2015年には、ロボット事業で1,000億円の売上高を目指す」(パナソニックの生産革新担当 牧野正志取締役)とした。

パナソニックのロボット事業の対象領域 パナソニックのロボット事業の推進体制 ロボット事業推進センターの役割

 2009年初めに大坪社長が、3つの分野を対象にロボット事業を推進していくことを宣言。2015年の事業目標を1,000億円とする方針を示しており、そのうち医療福祉分野では約300億円。残りの2分野で700億円としている。

 2009年度は医療福祉分野だけで、年間10億円の事業規模を想定している。

 まず、医療福祉分野において具体的な事業をスタート。今年7月には、薬剤業務支援ロボットとして、「注射薬払い出しロボット」の商品化を発表。今年度下期から販売を開始する。2002年から提供している注射薬払い出しシステムを進化させたもので、従来のシステムに比べて設置面積を半分に削減している。

2010年1〜3月に出荷される予定の注射薬払出ロボットシステム 注射薬払出ロボットシステムの概要
医療福祉分野における将来への取り組み 医療分野においてトータルソリューションを提供する
パナソニック四国エレクトロニクス 中矢一也常務取締役

 「今後は、払い出しロボットだけでなく、監査確認、注射薬の混注作業、薬剤の搬送システムなどのトータルソリューションとしての提案していく。将来的には、病棟全体のオペレーションだけでなく、服薬管理支援、介護・リハビリ支援のほか、在宅医療支援まで広げたい」(パナソニック四国エレクトロニクス 中矢一也常務取締役)とした。

 さらに、10月には、国際義肢展で、ロボティックベッドのコンセプトを発表し、今後、商品化に取り組んでいることも紹介した。

ロボティックベッドの概要 ロボティックベッドの仕様

 ロボティックベッドは、これまで同社が取り組んできた介護者の負担を減らすためのTAR(トランスファアシストロボット)への取り組みを進化させたもので、ベッドそのものを車椅子へと変形させることで、ベッドから車椅子に移乗することなく、寝たきりの状態からの解放が可能になる。自立支援とともに介護者の負担軽減もできるとしている。

 車椅子時には、ポテンシャルベースドモーションアシスト制御機能により、外界センサー情報から経路誘導や障害物回避誘導を行なうほか、個人の好みにクッションの状態を適合させる人体アダプティブインピータンス制御、全方向移動を可能にし、狭い部屋でも移動しやすくするホロノミック移動制御機能を活用。ベッド時には、意図/感覚推定・伝達技術により、適正な接触状態や心拍数のバイタル状況を推定することもできるという。

 また、音声コンマンドインターフェースにより、ベッドの操作は音声による対話型としている。

ベッドから車椅子に変形するロボティックベッド 背もたれが起き上がり、キャノピーのディスプレイが移動 肘掛部分が持ち上がる
車椅子部分が横に移動する 車椅子部分が完全に独立 足部分が下がり、車椅子となる
院内アシストカート

 さらに、院内パワーアシストカートを開発。2010年春から発売する。

 医療福祉分野向けの第1号製品となる注射薬払い出しロボットで使用する薬剤トレーを搬送したり、ベッドや車椅子と連結させて牽引したりといった活用も想定しており、「1つのカートで、多目的に利用できるようにする」(パナソニック生産革新本部ロボット事業推進センター 本田幸夫所長)という。

パナソニック生産革新本部ロボット事業推進センター 本田幸夫所長

 本田氏は、「実用性、利便性を最優先し、利用者のアシストに徹するのがパナソニックのロボット。今後も、高齢者や体の不自由な方々が自立した生活を送れるように、衰えた身体能力を自然にアシストするウェルネスアシストロボットの開発、商品化を進める」としたほか、「生活支援領域においては、国際的な安全基準がないため、経済産業省やNEDOと共同で、NEDO生活支援ロボット実用化プロジェクトのなかで、安全基準の策定にも取り組んでいる。これが整備されれば、家庭内におけるロボットの導入も促進されることになる」などとした。

キッチンロボット。アームで食器などを持ち運ぶことができる アーム部分の開発では数多くのセンサー技術が活用されている
シャンプーの様子などを再現することでプロのテクニックも活用できるようになる 家庭内で利用するワゴンロボットのデザインモック


(大河原 克行)

2009年10月16日 00:00

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