難波賢二のe-bikeアラウンド

さまざまなモデルがあるけど「e-bike」ってそもそも何? その魅力は?

e-bikeという乗り物を街中で目にすることが多くなっていませんか? 前回は「後悔しないe-bike選び」についてお伝えしました。最近、e-bikeに興味があって調べてみたものの、「電動ならe-bike?」「実際はどんな乗り物なの?」という読者の方もいるでしょう。今回はe-bikeについて、あらためて解説してみたいと思います。

電動アシスト自転車とe-bikeの違いは?

e-bikeとは、ひと言で言えば「電動アシストユニット(ドライブユニット)が装着されたスポーツ用自転車」の総称です。日本ではすでに広く知られている電動アシスト自転車が存在していますが、荷物を運んだり、子供を乗せたりして走るための実用的な乗り物。e-bikeはスポーツやフィットネスのために作られたスポーツバイクに電動のドライブユニットを装着した乗り物です。

スポーツバイクにはロードバイクやクロスバイク、マウンテンバイク(MTB)など、いろいろな種類があります。そして、それぞれのジャンルに対してe-bikeも存在しています。

例えばMTB。オフロードを走るために太めのブロックタイヤやサスペンション、ディスクブレーキが装着されています。基本的な装備は人力のMTBも電動のe-MTBも変わりません。ただし、e-MTBはドライブユニットとバッテリーが装着されるため、車体フレームはe-bike専用となっています。

以前にもお伝えしていますが、欧米ではすでに15年を数える歴史があって、新モデルが登場するたびにデザインが洗練されています。最近ではバッテリーがフレームに内蔵されるスタイル(インチューブタイプ)が主流となり、パッと見ではe-bikeとは分からないようなモデルも増えています。まだ歴史の浅い日本でも、e-MTBに限らず珍しくなくなってきました。

日本市場へいち早く導入されたミヤタ「RIDGE-RUNNER」もインチューブタイプに

e-bikeは何ができる? その魅力とは?

「自転車で一番辛かった坂道が快適に走れること」がe-bikeの最大の魅力。スポーツバイクの魅力は、自転車でスポーツすることなのですが、そのために鍛えられた心肺能力を持っていないと、自転車での上り坂は苦行以外の何物でもありません。そこがまるで平らなところを走っているかのごとくラクに走れるようになると、まったく違う世界が見えてきます。

スポーツバイクも「移ろい行く景色や季節を肌で感じて、人馬一体の感覚を味わいながらコーナーを気持ちよく走り抜ける」ことが最大の魅力です。しかし、e-bikeの場合はこうしたことが坂道の辛さなしで味わえることで、自転車がもっと身近で楽しいスポーツのアイテムとなるのです。

人力のスポーツバイクで集まって走ると、フィットネスレベルが揃っていない場合には、速い人が待つか、遅い人がつらい思いをすることになります。しかし、e-bikeならアシスト力をコントロールして走ることができるため、全員が同じぐらいのフィットネス強度で走ることで、グループライドが楽しいものになります。

グループライドがより楽しくなるe-bike

そして、街中で多いストップ&ゴーでの再発進がラクなこともe-bikeの魅力です。特に小径ホイールを採用したミニベロe-bikeや、フレームを跨いで乗れるステップインタイプe-bikeの場合、街中の散策や観光で大活躍します。狭い路地でも再加速が簡単なので、余裕を持って減速できますし、日本の街中は意外と坂道や橋が多いため、e-bikeは散策に最適な乗り物のひとつだと気付くでしょう。

クルマでは行けないような場所へのアクセスでも活躍

自転車通勤やサイクリングを始めやすい乗り物

自転車通勤やサイクリングを初めてみたいけれど、自転車とクルマの距離が近い車道が怖いという人にもe-bikeはオススメです。坂道がラクだからこそ、脇道に入ってさらに奥の道路を走ることで、交通量が少ない安全なルートを取ることができるのです。e-bikeに乗ってみると、何十年も住んでいた地元でもぜんぜん知らなかった発見があるかもしれません。

今までとは違う散策を楽しめます

近年のバッテリー技術の進化で、最新世代では1充電あたりの走行距離が約100kmを実現するモデルも少なくありません。標高差で1,500mなどの峠も余裕です。しかも、ラクに上れるe-bikeなら初めての絶景に出会えたり、大げさではなく人生が変わるほどの体験と発見が待っていることでしょう。

サイクリングや旅の楽しさが広がります

コロナ禍での自転車の需給ひっ迫も回復しており、すぐに入手できるモデルも増えてきています。今夏は猛暑でサイクリングを楽しみにくいかもしれませんが、いまのうちにe-bikeを準備しておき、暑さが落ち着いたら素敵なサイクリングを楽しんではいかがでしょうか。

サイクリングや旅の楽しさが広がります
難波賢二

国際派自転車ジャーナリスト 1979年生まれ。20年近く昔のe-bikeの黎明期よりその動向を取材してきた自転車ジャーナリスト。洋の東西を問わず自転車トレンド全般に詳しく世界の自転車業界に強いコネクションを持つ。MTBの始祖ゲイリー・フィッシャーの結婚式にアジアから唯一招待された人物として知られる。