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【ダウン症児と私41】2度目の小学校見学では、2つの小学校へ

希望の小学校に入学するために、歩く訓練を頑張っているユキトくんとナナさん。今回は、年少の秋に続いて、2回目の小学校見学を年中の7月にしたときのお話を伺いました。

 

小学校入学の準備が始まる前に、もう1度見学を

Q.年中さんの7月になっても、ユキトくんはまだ1人で歩けなかったそうですが、進学する小学校が変わる可能性があるのでしょうか。

A.障害者向けの幼稚園に通っていると、年長の春頃に区役所から小学校への就学支援のお知らせが届き、就学支援プログラムが始まります。その前に、もう1度小学校の見学へ行っておいたほうがいいと思い、年中の7月に2つの小学校へユキトと見学に行きました。1つは年少の9月に見学した知的障害児の通う特別支援学校、もう1つは肢体不自由児の特別支援学校です。

 

肢体不自由児向けの特別支援学校は、バリアフリー

Q.肢体不自由児の特別支援学校は、車椅子や松葉杖などを使っている子が通う学校ということですね。

A.はい。まずは肢体不自由児の小学校へ、学校公開日を利用して行ってきました。学校は比較的家の近くです。車で行っても広い玄関へ車を停められるので、ゆっくり乗り降りできます。歩けない子どもばかりなので、校内どの場所でも車椅子やベビーカーを使えます。見学の日は玄関に先生が迎えにきてくださり、大きな部屋にみんなで集まって学校の説明を受けました。そのあと、授業の様子を見せていただきました。教室では生徒2人に先生が1人付いていました。音楽の授業はみんなで歌ったり、体育ではそれぞれの生徒の発達に合わせて、風船を触って楽しんだり、体をさすってもらったり、ゆったりと授業していました。

 

知的障害児向けの特別支援学校では、ユキトくんの行動観察を

Q.もう1つ見学したのは、以前見学した少し遠いところにある、知的障害児を受け入れている特別支援学校ですね。

A.はい。年少の9月に訪問した知的障害児の特別支援学校にも行きました。前回、学校公開日に参加して、学校内のことはだいたい分っていたので、今回は前回会えなかった就学担当の先生にどうしてもお会いしたくて、特別に時間を作っていただきました。

 

Q.2回目の訪問はどんな感じできたか。

A.知的障害児向けの小学校は歩ける子ばかりなので、校内でベビーカーを使うことができません。玄関でユキトを降ろして歩かせなければいけませんが、慣れない場所だと、ユキトはキョロキョロして、すぐに座り込んで床を触って舐めてしまいます。なんとか手をつないで歩かせようとしましたが、全く歩きませんでした。結局、私が抱っこしてなんとか案内された部屋へ行きました。就学担当の先生は、たくさんのおもちゃをユキトに渡して、ユキトをじっくり観察してくださいました。ユキトがどのおもちゃに興味を示すのか、どういう遊びをするのか、話し掛けたらどう反応するのか、どのようにユキトは動けるのか、お医者さんのようにとてもとても丁寧に、時間を掛けて1つずつ様子を見てくださいました。

 

Q.先生の判断はどんなものでしたか?

A.私は、ユキトが2年以上もつたい歩きしているものの、歩けそうで歩けないことを話すと、ユキトの体幹のバランスなども見たうえで、「あと入学まで1年半あるから、この子は歩けるようになるでしょう」と言われました。普通クラスと重複クラスがあり、多分、重複クラスになることを説明され、「重複クラスは生徒3人に先生が1人付くので大丈夫でしょう」と言っていただき、ホッとしました。

 

前向きな話し合いで、目標を再確認

Q.ほかに、先生と話されたことはありますか?

A.私から、ユキトが耳にチューブを入れていることを伝えると、「ユキトくんのプールの時間は、耳に水が入らないようにつきっきりで先生を付けるか、低学年のときは思いきって、プールを見学にして別の課題を与えるか、職員で会議を行なって決めます」と、言われました。

 

Q.現時点ではまだ歩けていませんが、希望の小学校へ進学できる可能性はありあそうですね。

A.はい。就学担当の先生が2時間近く掛けて、丁寧にユキトのことを見てくださったので、とても嬉しくなりました。今年の秋の学校公開日に、また見学へ行こうと思っています。それまでにもう少し歩けるようになればいいんですけどね。1年半後、その学校へ通うことを目標に頑張ろうと思いました。

 

ダウン症の基礎知識41:特別支援学校と複障害学級について

「特別支援学校」は、以前「盲学校」「聾学校」「養護学校」と呼ばれていた学校です。2007年に同一の学校種となったため、すべての名称が「特別支援学校」へ統一されました。名称は統一されましたが、それまでの経緯から、それぞれの学校で受け入れ体制が整っている障害の種類が異なるため、肢体不自由児向けの特別支援学校や、知的障害児向けの特別支援学校というように、学校ごとに特徴があります。また、ユキトくんが入るだろうと言われた「重複障害学級」は、障害を複数持ち合わせている児童生徒を対象にした学級で、1学級の基準生徒数を3人とすることで、よりきめ細かに指導を行なう体制が取られています。

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。