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【二十四節気14】初雪が降り始め、冬立つ「立冬」は11月上旬から

1年間を24の季節に分けた「二十四節気」で、「霜降」の次は北から初雪の知らせが届く「立冬(りっとう)」です。今回は、立冬の由来やこの時季に旬を迎える柿、年末の風物詩「酉の市」を紹介します。木枯らしが吹くなか軒下に干し柿が並び、山茶花の鮮やかなピンク色の花が咲き始めるのを合図に、冬支度を始めましょう。

 

冬の始まり「立冬」、北日本の各地で初雪が降る時季

爽やかな秋晴れとサッと降っては止む時雨を繰り返しているうちに、太陽の光は次第に弱まりを見せ、冬の訪れを感じる時季がやってきました。朝晩の冷え込みもグッと強まり、平地では紅葉シーズンがクライマックスを迎え、北日本では初雪が降り始めます。「立冬」の「立」は始まるという意味で、「冬の始まり」を表します。2017年の立冬は11月7日から始まります。ここから翌年2月4日前後の立春の前日までの約3カ月間が、暦の上では冬となります。

 

旬の食材で冬支度、中国のことわざ「立冬補冬、補嘴空」

中国には「立冬補冬、補嘴空」ということわざがあります。これは、立冬に旬の食材を時季に合った方法で食べ、体調を整えるという意味です。この時季は、白菜、春菊、ホウレンソウ、長ネギ、エノキ、牡蠣といった鍋料理でお馴染みの野菜や魚介を始め、クルミ、栗など体を温める食材が旬を迎えます。日が短くなって空気に冷たさを感じるようになったら、食卓で家族そろって旬の食材を使った鍋料理を囲むのも良いですね。ちなみに、立冬を迎える11月7日は「いい(11)な(7)べ」という語呂合わせから「いい鍋の日」なんだそうですよ。

 

旬のフルーツ「柿」は体を冷やす?

秋を代表するフルーツ「柿」は、国内ほとんどの地域で栽培されていて、「甘柿」の富有柿や次郎柿、「渋柿」の平核無(たねなし)、市田柿など、有名な柿がたくさんありますね。「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べ、たねなしは舌で食べる」と言われ、富有柿は果肉の柔らかさ、次郎柿は硬めのシャキシャキ感、平核無は粘り気のある食感を楽しめます。また薬膳で柿は、咳や喉の乾燥に効くとされ、体に潤いを与える一方で、作用が強く体を冷やしやすいという特徴も。そのまま食べても良いですが、「干し柿」にすると内臓を温め、働きを促してくれます。

 

 

今年の無事を感謝し、来年の幸を願う「酉の市」

11月の「酉の日」に、この1年の無事を感謝し、来年の幸を願って、鷲や鳥にちなんだ寺社で行なわれるのが「酉の市」。商売繁盛を願って、おかめの面や招き猫、小判などの縁起物が飾り付けられた大きな熊手が、参道の露店に並ぶ姿に年末を感じる人も多いのではないでしょうか。「酉の市」で売られる縁起物には、熊手のほかに江戸時代から「頭の芋(とうのいも)」や「切山椒」があります。頭の芋は、里芋の1種で八ツ頭のこと。人の「頭(かしら)」に立つという意味で出世と、1つの芋からたくさん子芋ができることから子宝を願った縁起物です。一方「切山椒」は、上新粉に砂糖と山椒を加えた餅菓子で、昔の算木(計算に使った細長い木片)に似せた形をしていて、正月にも食べられる縁起物として知られています。

 

立冬の次は、落ち葉が舞って雪がちらつく「小雪」

立冬を過ぎ、イチョウの葉が舞い落ちて黄金色の絨毯が広がり、雪も降り始めるのが次の節気「小雪(しょうせつ)」です。次回は、「小雪」の時季に食べたい旬の野菜「ダイコン」や、柿やリンゴ、ミカンなどの果実を樹木に1つだけ残す習わし「木名残り」について紹介します。お楽しみに!

 

 

高橋尚美

愛知県の渥美半島生まれ。東京での会社員生活から結婚出産を経て、2009年に夫の実家がある岐阜市へ。几帳面な戌年の長女、自由奔放な子年の次女、愛嬌いっぱいの辰年の三女を育てる母ライフを満喫しつつ、qufourのリサーチ記事や地元で発行している食育冊子の記事を執筆しています。