家電ラボの徹底「本音」レビュー
「土鍋付き電子レンジ」は炊飯もおかずもカンタン。60の自動メニューで自炊が捗る!
2020年7月31日 08:00
お弁当、お惣菜のあたためや冷凍食品の解凍などができる便利な電子レンジ。最近ではスチームやオーブンを使った本格的な料理ができる高機能なオーブンレンジも人気だが、一人暮らしや高齢世帯では「使いこなすのが難しい」という声も多い。
そこで、さまざまな調理ができる単機能の電子レンジを紹介する。専用の萬古焼土鍋と解凍容器が付属している、小泉成器の「土鍋付き電子レンジ KRD-182D/K」だ。オーブンやグリル、スチーム機能はないものの、専用土鍋を使って簡単に調理や炊飯ができる。さまざまな料理が作れて、約27,000円という手頃な価格も魅力だ。解凍容器を使うと、4つのモードで刺身、ミンチ、薄切り肉、厚切り肉も失敗なく解凍できるという。
特に気になるのが萬古焼土鍋を使った電子レンジ調理だ。もし活用できるのであれば、キッチンが狭くても、ごはんを炊いたり、おかずを作ったり、単にあたためる電子レンジとしてだけでなく、調理家電として戦力になる。
メーカー名 | 小泉成器 |
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製品名 | 土鍋付き電子レンジ KRD-182D/K |
実売価格 | 27,280円(税込) |
スッキリしたデザイン、コンパクトなサイズの電子レンジ
外形寸法は約416×350×320mm(幅×奥行き×高さ)で消費電力は1,270W。庫内容量は約18Lのコンパクトな電子レンジだ。カラーは黒がベースで、ハンドルと操作部は木目調となっており、高級感がある。
表示部はバックライトがないので暗いところでは少々見にくい。ボタンは大きく、わかりやすい。「土鍋」ボタンがあるのがユニークだ。
萬古焼土鍋と解凍容器が付属している。萬古焼土鍋は内フタと外フタの二重構造となっており、炊飯、煮物、ローストビーフ、麻婆豆腐などのさまざまな調理ができる。取扱説明書には手軽にできる家庭料理のレシピが60種類もあり、番号を選ぶだけで火加減を調整してくれる自動メニューとなっている。
解凍容器は水を入れて「解凍」モードを使うことで、ムラなく解凍ができる。
少量のごはんを電子レンジで炊ける
最初にごはんを炊いてみた。お米を洗い、容量に沿って水を入れる。0.5合の計量カップが付属している。1合分(米150g、水300ml)で炊飯を行なった。
自動メニューを選んで調理を開始。加熱時間は31分だった。少しやわらかかったので、好みで水加減を調整したほうがいいかもしれない。ただ、別に炊飯器を置く必要がなく、小容量を短時間で炊けるのはラクだ。
テフロン加工などが施されているわけではないので、使用後は土鍋の内側にごはんが少し残ってしまった。使用直後であればやわらかいスポンジでもサッときれいに落とすことができたので、後片付けでストレスを感じることはなかった。
玄米、炊き込みごはん、おこわ、おかゆ、リゾット、赤飯などもできる。試しにレシピにあった「鶏釜めし」を作ってみた。このメニューも自動メニューがあるので、火加減などを調整する必要はない。にんじん、しめじ、ごぼう、鶏肉などを入れるので量としては1合がちょうどよい。加熱時間は29分で、約2人分の美味しい鶏釜めしができた。
土鍋+電子レンジでローストビーフができた!
牛肉ブロック200gでローストビーフもできる。前日ににんにく、塩胡椒、醤油、みりんなどで漬け込んでおけば、土鍋に入れて自動メニューからローストビーフを選ぶだけ。加熱時間はたったの8分。その後、アルミホイルで包んで3時間ほど冷蔵庫で冷やす必要はあるが、驚くほど簡単にできた。
中はピンク色で、電子レンジで作ったとは思えない出来映えだ。ポイントは、牛肉ブロックは厚さ4cm程度のものを使用すること。一番難しかったのは「ちょうどいいサイズの牛肉を探すこと」だった。
麻婆豆腐も材料を入れておまかせ
麻婆豆腐も土鍋を使って作ることができる。絹ごし豆腐、挽肉、豆板醤、甜麺醤、オイスターソース、鶏ガラ(顆粒)、しょうが、にんにく、片栗粉などを使う。さきに絹ごし豆腐を入れ、その上に合わせた調味液をかけ、内フタと外フタをかぶせる。自動メニューで麻婆豆腐を選ぶと、加熱時間は7分と表示された。
通常の作り方であれば、麻婆豆腐は順番にフライパンで炒めながらつきっきりで調理することになるが、すべての材料を入れて電子レンジで加熱すればよいので手間がかからない。レシピにはなかったが、絹ごし豆腐は先に水切りをしたほうが水っぽくならなかった。
きんぴらごぼう、カボチャの煮物、肉じゃがなどのホッとするおかずも上手にできる
きんぴらごぼうやカボチャの煮物、肉じゃがといった家庭料理の定番おかずも土鍋で簡単にできる。
切った材料と計量した調味料を入れ、フタをして自動メニューを選ぶだけ。加熱時間はきんぴらごぼうが10分、かぼちゃの煮物が12分、肉じゃがが16分。どれもしっかり味が染み込んでおり、芋類はホクホクで美味しい。
最近はスーパーやコンビニでもこういった惣菜を購入できるが、やはり自分好みの味に調整できるのが嬉しい。多めに作り、次の日のお弁当などに使えば節約にもつながる。
味がしみた煮魚もできる。ただし土鍋が深いので取り出しが大変
子持ちカレイの煮付けを作ってみた。カレイは2切れ用意し、あとは他の調理と同じように調味料をかけて加熱するだけ。調理時間は13分。
できあがったときに土鍋の中から取り出すのが一苦労だった。カレイはとてもやわらかいので崩れやすく、狭い土鍋からお皿へ移すのに悩んでしまった。フライ返しを使い、土鍋を横に傾けながら、身をずらすようにして皿にのせたところ、うまくいった。レシピには2切れとあるが、小さめの切り身が適しているようだ。
ハンバーグは、小さめに分けるのがポイント
煮込みハンバーグは150gの合挽ミンチ肉と玉ネギなどをこねて小判形にし、4等分する。レシピを見ると2人分ということなので、1人分は2個となる。
大きいハンバーグを2つ作ってしまうと、電子レンジで加熱する際に火が通りにくいのだろう。こういったコツを覚えていくと、アレンジするときにうまくできそうだ。
たっぷりの野菜と、市販のデミグラスソースを加えて煮込んだハンバーグは、メインディッシュにぴったりの一品だ。
野菜をたっぷり食べられる蒸し料理
豚肉ともやしの蒸し物は、もやし、にんじん、ニラなどをたっぷり使うので野菜をしっかり補給できる。水50mlと鶏ガラ、酒など少なめの水分で野菜を蒸していく。
土鍋の中は均等に火がまわるので、野菜はムラなく加熱されていた。野菜不足のときにサッとヘルシーなメニューが作れるのは嬉しい。
パスタは乾麺を半分に折ってそのまま調理
パスタは一般的に乾麺を茹でるところから始まるが、この電子レンジはソースと乾麺を一緒に土鍋に入れて調理できる。
今回作ったのはカルボナーラ。パスタは太さ1.6mmを使用し、牛乳、生クリーム、コンソメ、オリーブオイルなどを入れる。
パスタは100gを手で2つに折って入れるのだが、適当に折るのではなく、なるべく真ん中で折ったほうが土鍋に入れやすい。土鍋は小さいので、一方を長くしてしまうと入らないことがあった。
パスタはアルデンテとはいわないものの、ほどよいかたさで味付けもちょうどよい。土鍋1つと電子レンジで作ったとは思えない出来だった。調理時間は41分かかったが、先に茹でたり、大きな鍋を洗ったりする必要もなく、トータルでは短時間でできる。
解凍容器を使ってミンチ肉やかたまり肉、魚もムラなく解凍
付属の解凍容器を使って、冷凍した肉を解凍してみた。解凍容器には肉を乗せる内容器があり、外容器に水500mlを入れて使用する。照射されたマイクロ波は中の水を加熱し、少し温まった水が食材をゆるやかに解凍していく仕組みだ。
ミンチ肉を2cmほどの薄さに平らにまとめ、冷凍していたものを解凍した。「解凍」ボタンを押し、刺身、ミンチ、薄切り肉、厚切り肉から選び、重量を100g単位で設定する(100~400g)。ミンチを選び、100gに設定すると、解凍にかかった時間は16分だった。
半煮えもなく、表面はムラなく解凍されている。中心部は少し凍っていた部分もあったが、すぐに調理に使用できた。電子レンジで直接解凍しようとすると一部だけ火が通ってしまうこともあるが、本機では一度もなかった。
厚切り肉の解凍も行なった。厚さ4cm程度の豚バラ肉だったので「厚切り肉」を選び、重さは400gに設定。こちらは42分かかった。厚みにばらつきがあり、分厚い部分の中心部はやはり少し凍ったままのところもあったが、切ってすぐに調理できた。
「コンビニ弁当」あたためや「牛乳」あたためなど、よく使う機能も充実
自動メニューには「コンビニ弁当」あたためがある。仕上がりが調整でき、重量によって500gは「強」、400gは「中」、300gは「弱」を選ぶ。コンビニで購入した鮭弁当を「中」であたためたところ、端から端までホカホカだった。加熱時間は2分。
「牛乳」モードも便利だ。広口のマグカップで、約200mlの分量が8分目になる大きさのものを使用する。1分40秒の加熱後に温度を計測したところ53.2℃。膜もできず、ちょうどよいホットミルクを楽しむことができた。
一人暮らしの狭いキッチンでも、この電子レンジがあればいろいろな手料理ができる
他の一般的な電子レンジと異なるのは、付属の萬古焼土鍋を使って炊飯や煮込み料理も短時間でできること。電子レンジ用の土鍋や解凍容器は別途売っている場合もあるが、本機はあらかじめ付属している。さらに専用の自動メニューがあり、火加減を自分で考えることがなく、簡単に調理できることが大きなメリットだと感じた。
最初は土鍋を使い、しかも電子レンジで調理して煮物が美味しくできるのか半信半疑だったが、しっかり完成したので驚いた。解凍容器もムラなく解凍できるので、安いときに冷凍の食材をまとめ買いして、食べる都度解凍して使うこともできる。
少し気になったのは、魚など崩れやすいものが土鍋から取り出しにくかったことだ。鍋の口が狭いので、トングや箸で取り出そうとすると煮魚などは崩れてしまう。調理をたくさんするのであれば、小さなフライ返しのような調理器具があると便利だ。
一度に作ることができるのは1~2人分で、単身世帯や少人数世帯に向けて開発された電子レンジだ。火を使わずに調理できるので、高齢世帯にもおすすめできる。スペースを節約できるのも嬉しい。一人暮らしであればキッチンなどの置き場所に限りがある場合が多いので、炊飯器や自動調理鍋などの調理家電を増やすよりも、本機でいろいろ調理したほうが実用的だろう。
我が家は4人家族だが、きんぴらごぼうや煮物などの副菜は4人で食べても十分な分量だったので、オーブンなどの機能を使わないのであれば、選択肢の1つに加えたい電子レンジだと感じた。