老師オグチの家電カンフー

台湾の大同電鍋工場を見に行ったら、製造ラインもほっこりだった
2026年6月24日 08:04
台湾の定番調理家電であり、そのレトロなフォルムから台湾を代表するアイコンにもなっている「大同電鍋」。1960年の発売から形を変えずに製造され続け、今年で66歳。1960年は日本で昭和35年、白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の普及が始まった「三種の神器」時代ですから、そのロングセラーぶりには驚くしかありません。
日本にもファンが多い電鍋が、いったいどのように作られているのか。台湾の工場を見学する機会がありましたのでレポートします。
電鍋の工場は、台北市中心からクルマで1時間ほど離れた桃園市大園区にあります。台北にある2つの空港のうち、大きいほうの桃園国際空港のすぐ近くですね。ただ、大きな看板などは出ていませんから、通りかかってもほとんどの人は気付かないと思います。
工場見学は、普段は取引先など関係者のみで、一般向けには実施されていないので、なかなかレアな体験になりそうです。
今回の参加者は台湾好きインフルエンサーの方々が中心で、私以外は全員女性。台湾の人と同様に日常的に電鍋を使いこなしている人たちでした。
私はといえば、電鍋を台湾で購入し持ち帰ってから10年が経ちました。よかったら、購入当時の記事もご覧ください。
この工場では、すべてのパーツが製造されているわけではなく、アルミ製の外釜の製造と組み立ての最終工程がメインです。
まずは、組み立て工程から見学。外釜に電鍋の心臓部であるヒーターとバイメタル式のサーモスタット(一定以上の温度になると電源を切るスイッチ)が取り付けられていきます。
そして、ベルトコンベヤーが流れていき、続いて外側のカバーと取っ手、スイッチが取り付けられます。ベルトコンベヤーの速度はかなりゆっくりで、作業している人も急かされている感じが全くなく、マイペースで動いているように見えます。
聞くと従業員には30~40年以上のベテランも多く、家族のような関係だそう。また、若い外国人の姿も目立ちましたが、彼らは留学生で、ここで働きながら学校で学んでいるとのこと。
まだ完全に組み立てられる前に、ヒーターが決められた温度まで加熱するか、スイッチが正常に動作してオフになるかをチェック。そして、電圧が110V(日本向けモデルは100V)で一定に保たれていることを確認していきます。
最終チェックの工程では、スイッチの動作や外装を人の目と手で確認。問題がなければ、脚の付いた底板を取り付けて完成です。こうして1台の電鍋が完成するまでにかかる時間は約15分。ゆっくりの作業に見えますが、完成した電鍋の箱が次々と積み上がっていきます。
続いて、アルミの外釜を鋳造する工場に移動。アルミニウム合金を700℃以上で溶解し、金型に流し込んで冷却・固化させる工程です。
鋳造工程は基本的には自動化されていますが、その後の工程は人が丁寧に確認しながら進められているのが印象的でした。
昔から構造が変わらない電鍋ですから、製造の光景も基本的には60年以上変わることなく続いてきたのでしょう。そういう意味ではタイムスリップ体験でもありました。
ちなみに、こちらの工場は、その他の大同製品や同社の量販店「大同3C」で販売される他社製品の配送センターも兼ねており、冷蔵庫やエアコンといった大型家電のパッケージも見ることができました。
最後に、工場敷地内にある「廟」を見学させてもらいました。
労働者の安全や商売繁盛を祈願して、土地の守り神である「福徳正神」が祀られています。福徳正神は、金運の神様としても知られるそうです。日本のオフィスや工場にも神社を祀っているところはありますが、台湾の廟では線香が絶えず炊かれており、信仰心の厚さが感じられます。数百年は変わらず続く信仰にくらべれば、電鍋の60年はそう長くはないのかも。なんてことも思った工場見学でした。




























