老師オグチの家電カンフー

究極の男飯!? 戦争映画や監獄映画に出てくる「謎のスープ」を作ってみた!

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
映画に出てくる「謎のスープ」作ってみました

しばしば気になるけれど、わざわざ調べるほどじゃないってこと、ありますよね。そのひとつが、戦争映画や監獄映画で出てくる白くてドロッとした謎の食べ物。第一次世界大戦の塹壕で恐怖を感じながら貪り食っていたり、刑務所で主人公が意地悪されて食べさせてもらえなかったりするアレです。

あまり美味しそうには見えない、生きるために食べる食事。「なんかのスープだろ」ぐらいにしか思わなかったのですが、Facebookで「ランフォードスープ」という名前だと知りました。

ランフォードスープは、1800年頃にアメリカ生まれのイギリス人、ランフォード伯ベンジャミン・トンプソンによって考案されました。軍隊や刑務所だけでなく、安価で栄養価の高い食べ物として貧民救済にも使われたそうです。一体どんな味がするのだろうと、ネットの情報を参考に作ってみました。

【材料】
・もち麦:50g
・乾燥えんどう豆:50g
・ジャガイモ:2個(約200g)
・ビール:200ml
・水:200ml
・コンソメ:小さじ1ぐらい
・ワインビネガー:適量
・塩:適量

乾燥えんどう豆が近所のスーパーになかったので、春日井製菓のスナック菓子「グリーン豆」で代用してみました。えんどう豆が原料なので似たようなモノだろうと。ジャガイモは、火が通りやすくカットして、その他の材料もすべて鍋にぶち込みます。

本来は鍋で長時間煮込むのですが、今回は時短のためシロカの電気圧力鍋「おうちシェフPRO L」を使いました。自動メニューは、単に見た目が似ているという理由で「クリームシチュー」を選択。

シロカの電気圧力鍋「おうちシェフPRO L」。イメージ写真とは真逆の殺伐とした料理を作るぜ
材料を投入
レシピ番号21番「クリームシチュー」を選択。調理時間は47分

47分後にフタを開けてみると、ワインビネガーの酸っぱい香りが漂います。ジャガイモや麦の形がそのまま残っているので、ブレンダーで軽くペースト状に。ちょっと緑色がかっていますが、ドロッとした質感は映画のアレに近づきました。

さて問題の味ですが……、決して美味しくはありません。これが映画に出てくるような歴史的なランフォードスープの味だと断言はできませんし、おそらく正解は存在しない類の料理のようにも思えます。仮にタイムマシーンができたとしても、戦争も刑務所も経験したくなるようなイベントじゃないですしねぇ。

よく言えば、麦と豆のヘルシーな味わい。少なくとも健康には良さそうです。最初は違和感があったビネガーの味も、慣れると食欲を増進させる効果があると気づきます。サバイブする気力が湧いてくるような料理なので、「人生が苦しい」と思った時に食べてみてはいかがでしょうか。

煮えたところ
ブレンダーでペースト状に
プレートによそいライ麦パンを添えたら、刑務所メシっぽく見える
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>