老師オグチの家電カンフー

「誰が使うん?」と思っていた宅配便ロッカー「PUDO」のヘビーユーザーになってしまう

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです
宅配便ロッカー「PUDO」

しばらく前のことですが、マンションの敷地内に山手線のような緑のボックスが設置されました。宅配便ロッカーの「PUDO(プドー)」です。

コロナで外出が激減したときでもあり、「自分は使わねえなぁ」「そのうち採算取れなくなって撤退するんじゃね」とネガティブな印象しかありませんでした。しかし、ある出来事をきっかけに、ほぼ毎日のように利用することに。第一印象が悪いほど恋愛に発展する少女マンガのような展開です。

そのある出来事とは、メルカリの発送。メルカリでは、売り手と買い手、双方が住所や名前を知らせずに利用できる匿名配送に対応しています。これまでは宅急便の営業所やコンビニに持ち込み、スマホアプリに表示されたQRコードを端末に読み込ませ(セブンイレブンではレジで読み取ってもらい)、箱にプリントされた伝票を差し込んで発送を依頼していました。これ自体は文句のない便利なサービスですが、PUDOであれば伝票を自分で差し込む作業すらなくなります。しかも自分の場合は住んでいるマンションの敷地内ですから、出かける必要すらない。マスクもしなくてすむし、コンビニでの“ついで買い”による出費もなくなるといいことずくめです。

これに味を占めて、宅急便の発送でもPUDOを使うようになりました。スマホのブラウザから「クロネコ メンバーズ」にログインし、荷物の種別や送り先を入力し、生成されたQRコードをPUDOに読み込ませ、自動解錠されたロッカーの中に入れておくだけで集荷してくれます。

宅急便の発送は、スマホのブラウザから「クロネコ メンバーズ」にログインして行なう
目的を選択
荷物サイズを選択
よく使う送り先は、アドレス帳に保存しておける
住所の入力画面(表示されている住所はインプレスのもの)
発送場所は発送履歴もしくは地図から選べる
発送場所を地図上から選択。黒い箱のマークがPUDOのステーションだ
発送予定日などを選択し、送料の支払いへ進む
支払いを済ませると送り状の作成作業が完了。「荷物詳細を見る」をタップするとQRコードが表示される
PUDOのディスプレイで「発送」を選択し、QRコードを読み込ませる。荷物の伝票番号は画面に表示される
指定されたロッカーに荷物を入れる

宅急便の場合、当然自宅まで集荷してもらえますが、それだと指定した時間帯はシャワーやトイレに入りづらかったり、インターホンの音を聞き逃さないよう、ヘッドホンをしながらの作業ができなくなるなど若干不便だったんですね。PUDOは、この待ち時間がなくなるのが大きなメリット。また、自宅バレしたくない芸能人やインフルエンサーの皆さんにもありがたいサービスかもしれません。

これ、宅配ボックスの機能を持たせて、あらゆるマンションに設置すれば、皆が幸せになれるんじゃないですかね。

PUDOの空き状況はサイトで確認できる。はじめは「誰が使うのか」と思っていたマンション敷地内PUDOだが、今ではこのように空きが少なくなることも
小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>