老師オグチの家電カンフー

ファッション嫌いも注目の「ITジャケット」を着てみた

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 あまりファッションに関心がありません。考えるのが面倒だしコストがかかるので、どちらかというと嫌いなほうです。特にビジネスシーンでは、快適さや機能面と反することが求められている気もします。ネクタイって苦しくないですか? 革靴歩きにくくないですか? 重そうな革のカバン、いざという時に武器にするつもりでしょうか?

 まぁワタシ自身は、冠婚葬祭以外はノーネクタイ、靴はスニーカーだし、カバンはここ20年以上リュック。とはいえ、いい歳でもあり、仕事の時はカジュアルすぎるとみすぼらしく見えるので、ジャケットぐらいは羽織るようにしています。

 意外にも同じような価値観の人は多いのかなと思ったのが、この度発表された「IT-JACKET PROJECT」です。ITツールを使いこなすビジネスマンにスポット当てて開発されたジャケットとパンツで、着心地やPC作業時の作業性、持ち運び性などが重視されています。

アパレルブランド「ABAHOUSE(アバハウス)」と、「Studio Opt(スタジオオプト)」とのコラボ商品。ジャケットは18,500円から、上下(セットアップ)は27,000円から(Makuakeでの販売価格)。色はネイビー、カーキ、チャコールグレー

 クラウドファンディングサイト「Makuake(マクアケ)」では、支援金額が目標の700%を達成(2019/12/03現在)。リターンとして製品が到着するのは2020年3月以降(一般販売もその時期を予定)ですが、実際に試着するイベントが行なわれたので、行ってきました。

Makuakeでは目標金額の700%を突破(2019年12月3日現在)

 ITジャケットの特徴はいくつかありますが(写真のキャプションで解説しています)、大きく分けると「作業のしやすさ」と「収納力」でしょうか。収納力は、ガジェットを入れるポケットがたくさんあるのに加えて、ジャケット自体がカバンなどに収納しやすいのも特徴です。

IT対応と言えば、まず思い浮かぶのがガジェット類の収納力。ジャケットは6.5インチまでのスマホに対応した内ポケットが2つに、ファスナー付きのポケットなどを搭載。パンツにも、スマホやサイフなど大きな荷物を入れられるバックポケットを採用。もうポーチなどを持ち歩く必要はなさそう
内側に付いているコードを使うことでジャケットは小さくまとまり、コンパクトに持ち運べる。シワになりにくい素材なのも安心

 「IT」と銘打っていますが、持ち物が多くなりがちな仕事であればメリットがあるはずです。ライターも、展示会取材ではカメラやICレコーダー、ノート、ペン、スマホ、名刺入れ、サイフ、海外取材ではそれに加えて、翻訳機、パスポートなども身につけて歩き回るので、かなり便利そう。

 正直、実物を見る前は、「ちょっとダサかったりするんじゃないの?」という疑念がありましたが、見た目もちゃんとしたジャケットです。これなら経営者の取材に着ていっても怒られることはなさそうです。

速乾性と形態安定性に優れ、ネットに入れれば家庭でも洗濯可能
脇の下や襟部分には抗菌・消臭素材が用いられている
ボタンはウレタン素材を採用。通常用いられる水牛やポリエステルのボタンと異なり、机などに当たってもカチカチ音がしないためPC作業に集中できる

 こうしたIT対応のジャケットやスーツは、今後もたくさん出てくる予感がします。どうせなら、ポケットが表面にたくさん付いているフィッシングベストみたいなジャケットとか、生地が太陽電池でモバイルバッテリーになるとか、ネクタイもスマホが入れられるとか、見た目も多様化していくとおもしろいんですけどね。

試着会ではプロのカメラマンによる撮影も行なわれ、筆者はカメラをぶら下げて取材記者風のイメージで撮ってもらった。Facebookに写真をアップしたところ、もっとも多かったコメントは「(顔が)太った?」。ああ、太ったよ!

小口 覺

ライター・コラムニスト。SNSなどで自慢される家電製品を「ドヤ家電」と命名し、日経MJ発表の「2016年上期ヒット商品番付」前頭に選定された。現在は「意識低い系マーケティング」を提唱。新著「ちょいバカ戦略 −意識低い系マーケティングのすすめ−」(新潮新書)<Amazon.co.jp>