老師オグチの家電カンフー
おしゃれより祭り!なテキヤ家電の世界
2018年7月11日 07:00
少し前から気になっているのが、屋台モノを作れる家電の増加。具体的には、電動かき氷器や、ポップコーンメーカー、わたあめメーカーなど、いわゆるテキ屋さんが扱う飲食物を作れるアイテムです。そこでこうした、お祭り感のあるイベント型家電を、「テキヤ家電」と呼ぶことにしました。
たこ焼き・お好み焼きといった一般化したメニューから細分化してきているのが特徴で、焼きいもメーカーや流しそうめん器も、同じイベント型家電と括れるでしょう。
わたあめメーカーなどは昔から存在していますが、かつては子どものオモチャっぽかった。それが、大人が買って家族やホームパーティーで楽しめるように進化しています。とはいえ、おしゃれや高級とは無縁です。
テキヤ家電の立ち位置を明確にしようと作成したのが、下の2次元マトリックスです。
横軸は日常と非日常、縦軸は価格(高い、安い)を表しています。
左側は、毎日使うような「生活家電」です。同じ生活家電でも、調理家電はものによって使用する頻度が違いますし、美容家電などは(人によって)非日常に近くなるでしょうが、ざっくりここにまとめておきます。上に「ハイエンド製品」、下に基本機能に絞って価格を低く設定した「ジェネリック家電」が位置づけられます。
右上は、非日常で高額な製品。たとえば高級AV機器や高級デジカメ、エスプレッソマシンなどで、「高級家電」としていますが、蔦屋家電がメインで扱っているようなアイテムです。おしゃれなライフスタイルのための商品です。人に自慢できる「ドヤ家電」と言ってもいいでしょう。しかし、ライフスタイルという言葉には、意識高い系のニオイがします。どことなく、広告代理店に踊らされているような……。なので、あんまり好きになれないという人もいるのではないでしょうか。
そして、右下がテキヤ家電のポジションです。非日常だけどチープ。お祭りの屋台の食べ物のような、特に美味というわけじゃないけど楽しさがある。日常レベルでの必要性は薄いけど、家に招いた人に楽しんでもらえて、SNSにアップすることでパフォーマンスを発揮する。そんなアイテムたちです。
民俗学に「ケとハレ」という概念があります。ケはいつもの日常で、ハレはお祭りのような非日常の時間を表しますが、イベント型家電がお祭りの縁日に縁があるような食べ物を扱うのは、必然なのかもしれません。
テキヤ家電がライフスタイルを変えるようなことはありません。一瞬の楽しさはありますが、また日常に戻っていくのです。それでいいのです。
とはいえ、テキヤ家電の商品企画も残り僅かです。チョコバナナメーカーとか、リンゴ飴メーカーとか、特殊すぎて売れなさそうですし。
いっそ海外に目を向けてみてはどうでしょう。台湾の夜市では、臭豆腐という有名な食べ物があります。豆腐を発酵させた、日本人にはかなり厳しいニオイを放つ食べ物ですが、現地の人には人気です。燻製が作れるロースターの機能を活用すれば、部屋が臭くならない臭豆腐メーカーも作れるんじゃないですかね。オレは買わないけど。