老師オグチの家電カンフー

迫害期からのビジネスユーザーが、肩がラクになる無印良品のリュックを伝道する

カンフーには広く「訓練を積み重ねる」といった意味があります。「老師オグチの家電カンフー」は、ライターの小口覺が家電をネタに、角度を変えてさらに突き詰めて考えてみるコーナーです

 ここ数年で、リュックを背負っているビジネスマンがホント増えましたよね。リアル店舗でもネットショップでも、ビジネスリュックの製品が山のように並んでいますし。もちろん、パソコンなどモバイル機器を持ち歩くことが増えて、身体への負担が少ないという理由で普及したのでしょうが、こっちは20年以上前から仕事に行くのにリュック背負っていたわけで、今さらかよという思いもあります。

 というのも、かつては「ビジネスシーンにリュックはねえよ」みたいなビジネス常識がありました。秋葉原あたりでは、リュックを背負ってると警察官の職質の対象になるという噂もありましたし(ほぼ事実でしょうけど)、リュックはもともと迫害のアイテムなのです。

 そんな迫害期からのリュックユーザーであるワタクシですが、これだけ選択肢が増えたビジネスリュックにも不満があります。5年以上は使っていたグレゴリーのビジネスリュックがくたびれてきたので、そろそろ新しくしようと何度かカバン売り場に行くのですが、購入に至らない。どれも、それなりに素晴らしい製品なのですが、どうも決定打に欠けるのです。

 デザインはおしゃれだし、後ろから簡単には開けられないセキュリティ機構や、中に入れたモバイルバッテリーからUSBケーブルを外に出せる仕組み、小物を収納するポケットなど、あれこれ付いていたりするのですが、容量が自分には足りなかったり、いろいろな機能のせいで重かったり、割と使用頻度の高いペットボトルの収納スペースがなかったりするのです。

 そんな中、友人・知人たちの間で話題になったのが、無印良品の「肩の負担を軽くする PCポケット付リュック」です。その名の通り、パソコンなどを詰めても重さをあまり感じないというのです。値段は税込で2,990円という安さですから、ダメでもダメージは少ないと即購入しました。

無印良品「肩の負担を軽くする PCポケット付リュック」2990円。サイズは、縦43×横32×マチ14cm。カラバリは、ライトベージュ、カーキ、ネイビー、黒の4種類。ライトベージュはなかり人気なようで、店頭では見つけられなかった

 まぁ、デザインは普通です。いわゆるタウンユース、子連れのお母さんが使っているようなイメージのデザインで、ビジネスリュックのスタイリッシュ感や高級感はありません。しかし、そもそもファッションの専門家は、「リュックはビジネスに相応しくない」と言っていたわけで、ビジネスリュックみたいなものこそ亜流といったら言い過ぎですかね。そのうち、「ビジネス短パン」や「ビジネスサンダル」なんてものが出てくるかもしれません。

大きく開くので内側へのアクセスはしやすい。PC用のポケットを備える

 ポケットの類もいたってシンプルです。正面にジッパー付きのポケットと、サイドにペットボトルや折りたたみ傘を入れられるポケットが2つ。内側には、パソコンの収納ポケットがあるだけです。小物入れやペンホルダーなどありませんが、個人的にはインナーケースを使うので、もともと不要です。そのぶん内容量が確保されており、パソコンに加えてタブレット、紙の書類、折りたたんだジャケットぐらいは楽々吸収します。見た目より機能を重視するのが、我々正統派のリュック使いです。

 そして、謳い文句となっている「肩の負担を軽くする」ですが、これまでと同じ量の荷物を詰めて10分程度歩くだけで実感できました。肩へのズーンとした重みがなく、MacBook1台分ぐらいは軽く感じるのです。肩紐は何の変哲もない見た目ですが、内側と外側で厚みに差を付けることで肩への負担を軽減しているとか。不思議。

見た目普通の肩紐だが、内側より外側の方が若干厚くなっており、内側に集中する肩への負担を分散するという

 何にせよ、意識低い系仕事人として、ラクなのがいちばんです。これ、ラクでヒットしたという意味で、個人的にはユニクロの「ブラトップ」くらいのインパクトがありますよ。もちろん、ブラトップはしてませんが。

カジュアルでありながら目には見えない性能と実用性が高い。ホンダの「スーパーカブ」的なリュックだ

小口 覺

雑誌、Webメディア、単行本の企画・執筆、マンガ原作、企業サイトのコンテンツ制作を手がけるライター。日経MJの発表した「2016年上期ヒット商品番付」では、命名した「ドヤ家電(自慢したくなる家電)」が前頭に選定された。

Webページ「有限会社ヌル/小口覺事務所」
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