老師オグチの家電カンフー
脳をサル状態からヒトに戻す、孫悟空のヘッドバンド
2017年1月25日 07:00
今どき肉体労働と頭脳労働の区分けには、あまり意味はありませんが、自分の仕事をどちらかというと頭脳労働と考えている人は多いのではないでしょうか。精神にストレスがかかりがちな、ややこしい仕事が多いですもんね。
私のしている原稿書きにしても、頭の調子が悪いとほとんど進みません。作家先生がネタにするスランプほどではありませんが、メンタル面が作業効率に大きく影響するわけです。ストレスが高まる→頭の働きが低下する→仕事の生産性が落ちる→さらにストレスが高まる、のループ!
しかし、肉体をメンテナンスする家電は数あれど、頭脳を直接メンテする家電はまだ少ない。まぁ、身体と心は繋がっているので、マッサージ機などで身体をリラックスさせれば、心も自然に落ち着きます。しかし、AIに仕事を奪われないためにも、もっと直接的に頭脳労働の生産性を高めるデバイスが求められているのではないでしょうか。
実際に、集中力を計測するメガネデバイスの「JINS MEME」、デジタルペンと脳波データから喜怒哀楽の感情データをモニターするワコムの「感情を伝える手紙」など、脳や心の領域に踏み込むデバイスが実用化しつつあります。
私も、日常的に脳の働きをモニターしようと、脳波計のヘッドバンド「MUSE」を購入してみました。
「MUSE」は、欧米のビジネスマンに人気のマインドフルネス(瞑想)やヨガをサポートするアイテムとして人気で、スマホやタブレットとBluetoothで接続し、専用アプリでは、ヘッドホンで脳波の状態をフィードバックします。
具体的には、心が落ち着いた状態になると、小鳥のさえずりが聞こえ、感情が高まるなど落ち着きがなくなると、強い風の音がして、自分の状態がわかります。ビュービュー風が吹き荒れていても、自分の呼吸などに集中するといずれ小鳥が鳴き出す。瞑想のトレーニングにはかなり有効で、使い続ければ、リラックスと集中力が両立したいわゆる「ゾーン」の感覚が、デバイスなしでもわかるようになるでしょう。自分がヨーダなら、パダワンに使わせますね。
面白かったのは、けっこう瞑想が上手くいって小鳥がずっと鳴いていたのですが、ふとエロい妄想が起こり、とたんに暴風が吹き荒れたこと。脳波は嘘つかないんだなと感心しました。これを付けてデートして、お互いにモニターしたらどんな感じでしょうね。
その見た目からも、「MUSE」は西遊記の孫悟空が、三蔵法師にはめられた頭の輪っかに似てるなと思いました。「緊箍児(きんこじ)」って言うらしいですが、悟空が暴れると呪文でキリキリ締まって大人しくさせるアレです。怒りや欲望といったサル的の本能(煩悩)が暴走した状態から、落ち着いた状態に戻す。三蔵法師の呪文が、音声のフィードバック。頭こそ締め付けられませんが、機能は似ています。
そもそも西遊記が仏教をテーマとした話であり、孫悟空自体が心や瞑想のメタファーなんでしょうが、オカルティストであれば、「西遊記は未来を予言していた!」と断言したいところです。